夜空を駆ける「ロンドンウィッチ」

「ロンドンウィッチ」
味とスタイリングの一体感「ロンドンウィッチ」
さて「ロンドンウィッチ」(¥1,000)。これもストーリーが明快だ。ビーフィーターはいまもロンドンで蒸溜されている唯一のロンドン・ドライジン。ウィッチ(witch)は魔女。このカクテルは月明かりのロンドンの夜空を駆ける魔女をグラスに投影している。
だが店で供されるときはビーフィーターの大会作品のデコレーションはない。手間がかかる。写真はこの記事のために林氏がわざわざつくってくれたものであることをご理解いただきたい。

レシピはビーフィーターにラズベリー(木いちご/仏はフランボワーズ)のリキュール、ストーンズジンジャーワイン(ボトルラベルにロンドン市の紋章/生姜の根の粉砕を白ワインに浸漬)、レモンジュース、グレナデンシロップ。柔らかい甘さのなかに独特のエキゾチックな感覚が潜んでいて、お茶目で悪戯好きの魔女的な味わい。店では甘さを控えめにしている。食後におすすめだ。
そのスタイリングは、ブラックチェリーは夜を、パイナップルの葉で魔女の箒を、レモンピールで三日月をあしらったもので、ネーミングにぴたりとはまっている。

ウイスキー良し、料理良し

カドボールのカウンター
カドボールのカウンター
さてカドボールのウイスキー。林氏はシングルモルトに造詣が深く、客にはウイスキーファンも多い。よく飲まれているのは山崎、白州、ラフロイグ、グレンモーレンジなど。価格はリーズナブル。角、デュワーズなど¥700。
またフードも充実していておすすめは牛ヒレのカツサンド(¥1,600)、ドライカレー(¥1,000)、クロックムッシュ(¥700)。すべてに林氏の細やかな心遣いにあふれた品だ。

繁華街を少し外れると、最近はすぐになんでも隠れ家的と表現される。バーっていうのは基本が隠れ家であって、煩雑な一日の止まり木みたいなものだ。ほんとうに隠れ家と表現する場合、繁華街にあろうがなかろうが、店主の波長、酒の品揃えをはじめ音楽やいろいろな要素がからみあって特別な感覚を醸している店にしか当てはまらないと思う。
カドボールは堅苦しくなく柔らかい空気感に包まれている。構えず、旨い酒を愉しく味わえる、極めてスタンダードなグッドバーである。林氏の右腕、船越葉子氏の接客もよく、わたしは彼女との文学談義が好きだ。気軽に扉を開けよう。

店内
 
BAR CADBOLL
大阪市中央区石町2-2-20 近松ビル1階
tel.03-6944-2918
17:30~1:00(日祝休)
チャージ¥500、ウイスキー¥700~、カクテル¥900~、フード¥700~


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