じっくりと後熟に1年

白州蒸溜所の秋
白州蒸溜所の秋。熟成を終えた原酒が樽払いへと向かう/川田雅宏撮影
白州25年は深い森に生まれ、澄んだ清々しい森で熟成した長熟モルト原酒の中から吟味厳選した原酒が主体となっている。
クリーミーでウッディーな原酒、ピートを効かせたスモーキー原酒、果実味濃厚なシェリー樽原酒。これら個性の異なるものをヴァッティングし麗しい新たな香味を生み、それをさらに後熟させてより秀麗に仕上げた。後熟にかけた期間は1年にもおよんだ。

「成分がリッチなものほど後熟に時間がかかりますが、白州25年はその典型です」と輿水チーフは言う。通常、後熟は4ヵ月から長くても6ヵ月。2週間に1度の割合でサンプリングし、テースティング。それを繰り返していたら結局1年という時を要した。
香味の調和、というより熟れ(なれ)という表現のほうがいいかもしれない。25年を超える熟成をした原酒たちが熟れるのに1年かかったということだ。ここまで丁寧にじっくり後熟させる製品は極めて少ない。

25年は職人のスピリッツの結晶

白州の木桶発酵槽
白州の木桶発酵槽。森に棲む乳酸菌がクリーミーな香味を生む/川田雅宏撮影
さて“輿水チーフの佳品”というタイトルでこの記事を語っているが、輿水氏だけがスターではない。彼がいくら鋭い感性をもっていても、香味豊かなモルト原酒がなくては実力を発揮することはできない。
白州25年は1981年、82年はじめに仕込まれたモルト原酒が中心となっている。白州蒸溜所が木桶発酵、直火蒸溜という設備を導入したのが81年。革新と進化をつづけ、職人たちが真摯につくり込み、愛情を注ぎ見守りつづけて誕生する多彩な香味の原酒があるからこそブレンダーの感性が生きる。
とくに25年ものとなると、何人の先人たちが愛情を注いできたか。ウイスキーづくりはいかに遺産の継承であることか。白州25年は多くの職人たちのスピリッツの結晶だ。

白州25年を味わいながら思う。ウイスキー飲みは長生きしなければならない。長生きすればするほど、麗しい香味のウイスキーに出会える。
もしいまこの時、革新的なつくり込みをしているモルト原酒があるとする。それを味わえるのは早くても10年、12年後。ましてや25年ものとなると、なんとわたしは75歳となる。いつまでも麗しいウイスキーとの出会いをつづけたい。

最後になったが、白州25年は¥100,000で年間1,000本の限定品である。
INDEX『世界のウイスキー』も一読いただきたい。
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