気高い価値のある酒

今年も父の日がやってくる。早くに交通事故で父を亡くした私は、その日に何かしらの行為をしたという経験がない。

ただ父の日と聞くと、幼い頃に目にした、角瓶を飲んでいる父の姿がすぐさま心のスクリーンに浮かび上がってくる。父の享年よりすでに10も長く生きているいまの身であっても、それは忘れられない記憶だ。

角瓶
10月8日、発売70周年を迎える角瓶。
記憶が失せないのは、角瓶のせいだろう。この1瓶は今秋10月8日、発売70周年を迎える。ロングセラーゆえの凄味。多くの消費者に、角瓶の記憶を刻み、思い出を紡ぎつづけている。
長く愛されるブランドを育てるのは容易なことではない。だが苦心して育てることにより、ブランドに社会性が生まれる。そして人々の生活の中に息づき、ブランド価値が生まれる。

シングルモルトほどの気負いもなく、気安く飲める大衆酒でありながら、角瓶70周年の価値は気高い。

いいじゃん、を見つけた

さて今年も、父の日に何を贈ろうかと悩んでいる方がいらっしゃるだろう。悩むことはない。どうぞ、ウイスキーを。

あなたのお父さんはいま、何がお好きか。かつてはどんなウイスキーを飲んでいらっしゃったか。それでいい。その中から選べばいい。

かつては角瓶、オールド、リザーブ、ローヤルといったものがお父さんの酒だった。スコッチのブレンデッドではシーバス・リーガル、ジョニーウォーカーの赤と黒、オールドパーといったものが人気を得ていた。
これらはいまでも根強いファンに支えられているが、ワインや焼酎というブームを含めて、ひと通りの酒を飲みこなしたお父さんたちには思い出の酒でもある。

そんな中から、今年の父の日のおすすめを選んでみた。というのは嘘で、選んでなんかいない。この日曜日にたまたまスーパーの酒売り場を歩いていたら、「これ、いいじゃん」と見つけたから紹介する。(次ページにつづく)