サントリーのドレスアップ

サントリーのドレスアップモルトはどういうつくり込みから生まれるのか。詳しく述べるときりがないので単語を羅列する。エール酵母、木桶発酵槽、直火蒸溜、小さなポットスチル。この組み合わせから生まれるモルト原酒がドレスアップの役割を担っていくのではなかろうか。

ひとつひとつの説明は別の機会にするとして、ポットスチルだけを挙げると、小さなもののほうがパワーのある原酒を生む。大きくて背の高いポットスチルはライトで軽快な原酒となる。
蒸溜したばかりの原酒(ニューポット)にパワーがないと長期熟成には耐えられない。
原酒
山崎、白州は多彩な原酒づくりをおこなっている世界でも類を見ない蒸溜所だ。
そしてホワイトオーク、スパニッシュ、ミズナラとさまざまな材の樽で原酒を熟成させる。蒸溜までのつくり込みのバリエーション、また樽のバリエーション、こんな多彩な原酒づくりをおこなっている蒸溜所は世界でも、山崎と白州だけである。

パワーのあるニューポットは、ホワイトオークやスパニッシュのシェリー樽、あるいはミズナラ樽で長期熟成され、それらがドレスアップしていくのだ。

頑張れ、ジャパニーズ

サントリーのことばかりを書いた。何故か。悲しいかな、日本の蒸溜所で、真にいまのつくり込みのことを語れるのはサントリーしかいないからだ。
ニッカ、メルシャン、キリン。それぞれのメーカーがそれぞれに蒸溜所を持つが、原酒生産量でいえば山崎、白州の生産量に遠くおよばない。

ウイスキーづくりは未来へ継承していく仕事。過去も重要だが、いまはもっと大切になる。未来へのつくり込みが十分にできていなければ次世代が困るのだ。
面白い事業で、先行投資が大変なだけに、もしいま原酒づくりをストップしても10年やそこらは金が入るのがウイスキー事業だ。それまでにつくった原酒が貯蔵されているから、そのストックで製品化できる。ただそれは遺産を失う作業でしかない。

キリンとメルシャンがくっつく。ワインのことばかり語らないで、この時こそ、キリンの御殿場とメルシャンの軽井沢の蒸溜所とで、本腰を入れて未来へのつくり込みをしてもらえないだろうか。

ジャパニーズはサントリーだけじゃない。世界中でいろんなジャパニーズが評価され、飲まれる日が来ることを願う。

このシリーズはもう少しつづけようと思う。
前回の第1回『酒質の高い日本のウイスキーを教える』
第3回『世界の名ブレンダー、山崎に集う』も是非
ご一読いただきたい。
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