これからのたとえは、女性に格好よくセクシーにウイスキーを愉しんで欲しいためのものである。「ウイスキーは香りの花束」だと理解していただきたい。

1の数種のバラとカスミソウや小花は、ブレンデッドウイスキーのこと。バラは大麦からつくられたモルト原酒。カスミソウたちがトウモロコシや小麦からつくられたグレーン原酒。ブレンデッドウイスキーはいくつものモルト原酒やグレーン原酒がブレンドされたものだ。
ゴージャスな香りの花束であり、誰もが受け入れやすく、まろやかな香りの花束といえる。私が好むこの花束には、ジョニーウォーカー・ブルー、響、フェイマスグラウスなどがある。

2の数種のバラだけの花束はピュアモルトとかヴァッテッドモルトといった呼び方をされているウイスキー。これはふたつ以上のウイスキー蒸溜所のモルト原酒を使ってつくられている。
北杜を例にしよう。ベースとなっているものはあくまで白州蒸溜所のモルト原酒たちだが、山崎蒸溜所のモルト原酒もアレンジされている。白州を赤いバラ、山崎を白いバラと思えばいい。



3の赤いバラだけの花束。もちろん白だけ、黄だけの花束でもいい。つまり単一色のバラの花束。これがいま人気のシングルモルトウイスキーだ。ひとつの蒸溜所のモルト原酒だけで生まれたもの。
混乱されると嫌だから赤いバラの花束に限定してしまおう。同じ赤いバラでも赤黒色から深紅、オレンジがかったものまでいろいろとある。山崎12年の赤いバラもいいが、マッカランの赤いバラの花束も素敵だ、ということだ。

4は赤いバラ一輪。これはシングルカスク。ひとつの蒸溜所のたったひとつの熟成樽の味わい。だから個性が強い。ちなみにカスクとは樽のことだ。
山崎庭園の南側の垣根、それも右端の上の方に咲いた赤いバラがなかなかのもので、一輪しか分けてあげられませんが飾ってください、といった感じ。つまり山崎蒸溜所の何号棟貯蔵庫奥の右隅上段で熟成した一樽がなかなかのもので、一樽分しか瓶詰めできませんがご堪能ください、というものだ。
 

水がなくては枯れてしまう

あなたはどんな花束を選ぶだろうか。シングルモルトの赤いバラの花束を花杯に満たしたなら、さり気なく「いい香り」とポツリと言えたらいい。そしてあとはゆっくり愉しく味わう。
男のビー玉ごっこの横でやっていただきたい。
バラの花束を愉しんでいるという精神性が、あなたをどれほど優雅にセクシーに見せることか。(次頁へつづく)