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ウイスキー&バー/ウイスキー&バーの美味しい話

ウイスキーづくりの職人 第3回 ドレスアップの前に、まずは骨格

美しいドレスを身にまとう前に、ボディを磨かなければならない。中年の腹の突き出た私がこう書くとお笑いなのだが、でもやっぱり骨格とか姿勢とかほどよい肉のつき方とか重要だよな。多くの人を魅了するためにはね。

協力:サントリー
達磨 信

執筆者:達磨 信

ウイスキー&バーガイド

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モルト原酒はどうして生まれるか。ご存知の方も多いだろうが、ちょっとだけ説明しておく。
ウイスキー蒸溜所ではまず大麦麦芽(モルト)を仕込むことからはじまる。良質の水、その温水で砕いた麦芽を溶かす。すると麦芽中のデンプンが糖分に変わり、甘い麦のジュース、麦汁(ばくじゅう)が得られる。そして麦汁を濾過して酵母を加えると発酵がはじまる。

発酵液はビールに近いものと考えてよい。その発酵液をポットスチル(単式蒸溜器)にかけて、通常2回蒸溜する。そこで得られるニューポットと呼ばれる無色透明の強い酒をオークの木でつくられた樽に詰め、長い年月をかけて熟成させて生まれる。

ニューポットは無色透明といったが、アルコール度数は60~70%もあり、それでいて特長的な香りを持っている。リンゴや梨のフルーティな香り、同じフルーティでも柑橘系の爽やかな香り、もちろん大麦由来の穀物の香り、その他にも花やフェノール様、皮やゴム、海藻のような香りもある。

ここでは細かなつくり込みのことまでは説明しないが、仕込みからニューポットが生まれるまでにさまざまな方法をとることによって、こうした多様な香りが育まれる。ニューポットの香りを、とてもセクシーだと思うのは私だけだろうか。

モルト原酒づくりを簡単に表現すると、ニューポット誕生までは原酒の骨格づくり、その後の樽熟成は原酒のドレスアップの時間といえるだろう。


骨格はテロワールが影響する

松田健二氏。サントリー山崎蒸溜所醸造グループで、長年モルト原酒の骨格づくりに携わっている人だ。
松田氏は生まれも育ちも山崎。幼稚園へは蒸溜所の構内の道を歩いて通った。高校だけは京都市内の空気を吸ったが、もちろん山崎からの通学だ。山崎一筋の人間であり、これほど山崎のモルト原酒の骨格づくりに向いている人はいない。

名水の地に銘酒が育まれるというが、ウイスキー蒸溜所も良い水のあるところに立地している。そして良いモルト原酒を生むには、ワインでいわれるところのテロワール、人を含めた立地や環境条件が大切になる。
山崎の気候風土の中で育ち、名水と高い評価のある山崎の水を飲みつづけてきた松田氏。つまり彼の骨格が山崎なのである。(次頁へつづく)
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