飛塚氏は決して構えたバーテンダーではない。やたらモルトと声高に言うこともない。おそらく200本以上はあるだろうが、客から聞かれない限りモルト講釈はしない。
昔はどうだったかは知らないが、モルトが人気となったいまは逆に淡々としている。マニアックな印象が希薄なところがいい。
だからすすめるウイスキーも、肩の凝らない銘柄だ。


ブレンデッドはデュワーズ、ジョニ黒。シングルモルトはクラガンモア。差し障りのない飲みやすいタイプのウイスキーである。
よく出るシングルモルトはラフロイグ、アードベッグといったアイラモルトと言うから、彼の自然体の営業がわかるだろう。
レアものがあったとしても、決して自慢げに語るバーテンダーではない。
細身で愛嬌のある髭面の気さくな男だ。


この店で飲んでいるとスコットランドを思い出す。とりあえずのギネスを口にしながらモルト・リストを眺めていると旅の心象を呼び覚ます。
ついで一杯目のモルトの香りが鼻腔をくすぐる。ダフタウンの町が浮かび上がってくる。
(写真・佐藤慎吾/新潮OH!文庫『日本のグッドBAR』より)

THE DUFFTOWN
神奈川県横浜市石川町2-62 嘉山ビル2階
Tel.045-663-7936 18:00~3:00(日祝~1:00)無休

チャージ無し、ブレンデッドウイスキー¥700~、シングルモルトウイスキー¥900~、
カクテル¥800~
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