ラムベースのカクテルはよく飲むのだが、ダークラムをストレートやロックで飲むことはあまりない。理由は単純明快だ。ウイスキー党なんだからしょうがない。
でも長期熟成のブランデーのような香味のラムに出会ったりすると、ちょっと唸ってしまうこともあり、人にすすめたりもする。これがウイスキー好きのいいところだ。味覚の許容が大きい。
何でも飲めて、何でも認められるのだ。ウイスキーを飲みこなすと、酒の香味に対する懐が深くなる。


東京・目黒にある『Bar Day Break Tokyo』のオーナー・バーテンダー、船木勝美氏はラム好きだ。バーテンダーでラムが好きという人は、ほとんどが大酒飲みといっていい。
船木氏と一緒に飲んだことはないが、プライベートではきっとかなりの酒豪ではないかと思っている。
その船木氏がデメララ・ラムのボトルを4本、カウンターに置いた。
「ちょっとお試しになりませんか」
彼がニッコリと微笑んで言った。そして「どれから行きますか」とそれぞれのラベルに手を添えた。


よく見ると、ラフロイグ、アードベッグ、タリスカー、ポートエレンと書いてある。
シングルモルトウイスキーをよく飲む人なら、誰でも知っている銘柄がラベルに印字されていた。つまり、それらのモルトを一度寝かせた樽に、ラムを熟成させたものだったのだ。

口にすると意外に面白い香味だった。ラムはラムなのだが、キレがよく、ベタッとした後口があまり残らない。そして色濃くはないのだが、なんとなくかつて寝かされていたモルトウイスキーの個性が口中に浮かび上がってくる。アフターテイスト、余韻もいい。
おそらく何も言われないで出されたなら、ウイスキーと勘違いして飲む人もいるのではなかろうか。