船橋屋のくず餅

関東育ちの私にとって、「くず餅」といえば、乳酸発酵させた「小麦でん粉」を使った乳白色の餅のこと。東京・亀戸天神門前の「船橋屋」の「くず餅」の歯応えと弾力は、小麦でん粉を15か月間乳酸発酵させることにより生まれます。

(目次)
P1 発酵食品の「くず餅」
P2 「くず餅作り」の全工程
P3 「くず餅」の美味しさと店舗情報

創業から200余年!

船橋屋本店
店の前には見事な藤棚
本店隣の建物が工場
関東を中心に親しまれている、乳酸発酵させた小麦でん粉で作る「くず餅」。歯切れがよくプリッとした食感と、ほのかな酸味を残した独特の風味が魅力です。

船橋屋本店
船橋屋のくず餅は独特の台形
黒蜜ときな粉との「三位一体」
東京の亀戸天神、川崎大師、池上本門寺などの名物としても知られ、店ごとに食感や風味の異なるくず餅が作られています。

船橋屋本店
店内には、店を贔屓にしたという
小説家、吉川英治氏の
手による看板がかかる
でも実際のところ、この「くず餅」の正体を知っている人は、そう多くはないのでは。そこで今回は、亀戸天神前に本店を構える文化2年(1805年)創業の「船橋屋」にお邪魔して作り方を拝見してきました。

発酵期間は15ヶ月!

小麦でん粉
くず餅に使うのは小麦でん粉
生麩などに使うのは
小麦たんぱく(グルテン)
船橋屋の「くず餅」の材料は、15ヶ月間乳酸発酵させた小麦でん粉と水だけ。8ヶ月間寝かせればくず餅は作れるそうですが、さらに熟成させることで歯ざわりも弾力もより良くなるのだそうです。

ふるい
まずはでん粉を水に溶かし、
ふるいで漉して
不純物を取り除く。
まずはでん粉の下処理から。不純物を取り除いたでん粉は数日かけて水洗いをして、余計な発酵臭や酸味を取り除きます。

水洗い
次に2tタンクへ送る。
でん粉を沈殿させて水を替える。
数日かけて4~5回くり返す。
理想の歯応えになるよう、粒子の大きさの異なる数種類のでん粉をブレンドしているのだそう。

温度管理
水洗いを終えたでん粉は倉庫へ。
水温が上がらないよう厳しく温度管理。
数種類のでん粉はここでブレンド。
1階で下処理を経たでん粉は、パイプを通って3階の製造所へ送られます。

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