男同士でフレンチ。かっこいいじゃないか。そういう大人達は、数はそう多くはないけどいるだろう。彼らはピンクのテーブルクロスがかかったところや、夜景の綺麗なところにはまず行かない。男の食欲を満たす旨い料理、堂々としたワイン、雑然としているが気品ある落ち着いた店内。華やかさは必要ない代わりに、食に求めるもののレベルは一段高いことは間違いない。

こうした骨太な雰囲気と、上質な顧客に恵まれたレストランが銀座にある。

マルディグラ。ワインバーではなく、れっきとしたフレンチビストロ。ビストロの王道を行くといってもいいのでは。その料理は大きく太く、長い。ホロホロ鳥のローストなどは爆弾が炸裂するかのごとく肉がはじけ飛んでくる。厚い肉質が迫り、ナイフとフォークで格闘する醍醐味が味わえるのだ。ソースも濃く、味わいは重く深い。モレサンドニ97年はもう一つのソースとなり、味わいは香りと共に広がり、ペースは加速される。

同時進行で進むもう一皿は、ハラミの豪快なステーキ。肉汁がゆるやかに滲み、見ているだけで食べるという欲望に目が血走る自分に気付く。ガツガツいかなきゃ、せっかくの旨い肉に申し訳が立たない。

もちろん前菜のピンチョスもたっぷりとしたボリュームだ。生ハムも香りがいい上質のもの。手抜きなく仕上げられている。ワインは好ましい価格帯に必要最低限のものを揃えている。ここではテタンジェではなく、ポール・バラのシャンパーニュなど、さくっと選びたいものだ。

黙々と料理を創り出す3人の料理人。ところどころでシェフが若手を指導する。優しく丁寧に、必要最低限のコーチングに若い料理人もすばやく反応する。

マルディグラはカップル向けのレストランではないだろう。
愛を語るには狭く、おいしさを優しく共有するにはあまりにも皿がデカイ。
そうだ、大人の男達が4人で行ってガツンガツン魚や肉にまみれるところなのだ。
とは言ってもたものの、フランスのビストロではこれが普通であり日常だ。日本ではまだまだ少ないこの現実。

奥にカウンター席がある。ここは料理と格闘するシェフの姿がすべて見える最高の眺めが楽しめる展望台。どこぞの夜景よりこの迫力あるシーンを見ると、もっともっとフレンチが好きになるに違いない。

ほぼ料理を作り終えたシェフの表情は男の優しい表情だった。料理人のかっこよさはこんなところにもある。私は禁断の果実の香りをかいでしまったような気がした。僕は夢にまで追いかけてくる肉の塊から逃げられそうにない。

マルディグラ
中央区銀座8ー6ー19野田屋ビルB1
03-5568-0222
18:00 ~ L.O 24:00 日休