20年間ボードゲームファンに支持され続ける傑作

世におもしろいゲームは数あれど、10年、20年と遊び継がれるゲームはまれです。

ハゲタカの餌食
子供でもわかるルールの簡単さと大人でものめり込んでしまうおもしろさを兼ね備えたボードゲーム界の金字塔。

タイトル:ハゲタカの餌食
原題:Hol's der Geier
メーカー:Ravensburger
プレイ人数:2~5人
プレイ時間:20分位



今回の「偉大なるクラシックゲームズ」は、88年のドイツ年間ゲーム大賞ノミネートタイトルであり、発売から20年を迎え、もはや新古典といっていい傑作中の傑作カードゲーム、『ハゲタカの餌食』(以下「ハゲタカ」と略)です。


あのテーブル、またハゲタカやってやがんな

ハゲタカの餌食
ゲームはおそろしくシンプルだが、シングルモルトのようにプレイヤーを心地よく魅了する力強いゲーム
「ビギナーでもルールが即理解できて、かつ、すぐに盛り上るゲーム」のことを双六屋は「揮発性の高いゲーム」と呼んでいます。

そしてハゲタカは数あるカードゲームの中でも、桁外れの揮発性と、場を一瞬にして熱くしてしまう爆発力をもっています。

双六屋はゲームイベントをどきどき主催しますが、会場で「やけに沸いているテーブルがあるなぁ」とのぞいてみると、大抵このハゲタカが遊ばれています。

誰もが熱くなるハゲタカの訳とは→

大きい数字を出して得点カードを狙う

ハゲタカの餌食
1プレイヤー分の手札。ただ1~15までの数字があるだけなのだが、これが場を異常に盛り上げる燃料となる
この記事を読み終えれば、いきなりゲームを遊べてしまうほど、ルールはシンプルです。

各プレイヤーは、1~15まで、ダブりなく数値が記載された「数字カード」を手札として持っています。

毎ラウンドごとに、「得点カード」が場に1枚オープンされます。得点カードの数値が、このラウンドの勝者が得られる得点です。

プレイヤーは手札から数字の1枚カードを選び、伏せて出します。全員のカードが出揃ったら「せ~の」で一斉にオープン!

もっとも数値の大きい数字カードを出したプレイヤーが勝者となり、得点カードを受け取ります。

そして次のラウンドがはじまります。(数字カードは使い捨て)

ルールとしてはだいたいこれで全部。あとは数字、得点カードのいずれかがなくなるまでこれを繰り返すだけです。ゲーム終了時に、合計得点のもっとも高かったプレイヤーが最終的な勝者となります。


出会い頭の衝撃 バッティングが熱すぎる!

「大きい数字を出したものが勝つ」 たったそれだけのことなのですが、このハゲタカは、ボードゲームの神様、アレックス・ランドルフの手によるもの。

神様が神様たるゆえんは、こんな単純なゲームの中にも悪魔的に巧妙な企みが埋め込まれていることです。

それが通称「バッティング」と呼ばれているルール。最高値がかぶったら次点に勝利の権利が移動するというルールです。(つまり単独で1位でないとそのラウンドの勝者にはなれない)

ハゲタカの餌食
場の得点カードは「6」 5人のプレイヤーがカードを出すも、バッティングによって、この場合、青のプレイヤーの勝利となる!
たとえばここにA、B、C、D、Eの5人のプレイヤーがいて、それぞれ「15」「15」「14」「14」「5」と数字カードを出したとします。

この場合、AとBはこのラウンドの最高値をだしていますが、単独ではないので勝者にはなれません。次に大きい数値は「14」のCとDですが、やはり単独ではないのでNG。結局、このラウンドの勝者は単独で「5」を出していたEとなります。

ちっきしょう! 熱すぎるゼ!

これは熱くなります。というのも、絶対に勝てる思っていた高い数字カードが、バッティングによって、やけに低い数字のカードに得点をもっていかれることがあるからです。その口惜しさといったらありません。

頭をかきむしって「ムキーッ!」と叫びたくなります。


しかし裏を返せば、バッティングの漁夫の利によって、自分が低いカードでラウンドを勝ってしまうということもあるということ。幸運によって、思わぬ利益を得たとの高揚感と、他のプレイヤーにたいしてしてやったりの優越感もまた格別です。


バッティングによって悲劇と歓喜がミルフィーユ状に押し寄せてきます。

このふり幅こそハゲタカの魅力であり、悲喜交々のドラマこそ、ハゲタカの醍醐味なのです。

キャリーオーバーでゲームは最高潮に→

得点持越し後のラウンドは熱い

さらに熱いのが「キャリーオーバー」のルール。全員がバッティングしてしまい、そのラウンドに勝者がでない場合があります。そんなときは、得点カードは、次ラウンドにキャリーオーバーされます。

ハゲタカの餌食
たまった得点カードを奪われる悔しさといったらない。ハゲタカの餌食とは、ほかならぬプレイヤー自身のこと!?
高い得点カードがキャリーオーバーされ、バッティングが連発されるようなラウンドは、プレイヤー全員がエキサイトし、ゲームは最高潮を迎えることでしょう。


ハゲタカで勝つテクニックとしては「カウンティング」といって、すでにプレイされたカードをすべて記憶しておくという方法もありますが、それを駆使しても勝てないときは勝てない! 

プレイヤー間の熟練度に差があっても、それが問題にならないほど、いっしょに盛り上れるところもすばらしいところ。

もしあなたがゲームビギナーと遊ぶ、あるいは自分もビギナーで、入門編となるようなゲームを探しているなら、ハゲタカは鉄板いや、鋼板といっても過言ではない偉大なるカードゲームなのです。

本日のクラシックゲームな関連・参考サイト

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