未体験者、本コラムへの入山を禁止する

火吹山の魔法使い』 それは「ゲームブック」というジャンルの確立を決定的づけた空前絶後の大傑作です。

ゲームブックとは、シーケンシャルに物語を読み進めるのではなく、チャプターの最後に選択肢があり、指示されたページに飛ぶというインターラクティブノベルです。

再販された『火吹山の魔法使い』
当時、子供たちを熱狂させたあの名作が完全復活。現在は扶桑社から発刊されている。
双六屋と同世代(30代前後)の方であれば小学生あたりで衝撃的なこの本に出会っているはずです。


その本の威力たるや、今まで活字など読まなかった仲間たちをいとも簡単に書店に走らせました。しかも休み時間はいうにおよばず、給食中、いや授業中にでさえ冒険の旅に出るヤツが続出!

まだファミコンさえ一部の子しかもっていなかったあの時代、小学生のこづかいで購入できるゲームブックは、他に比肩するものがない最高のエンターテイメントだったのです。

今日ばかりは火吹山の未体験者の立ち入りは一切厳禁! 本日のコラムは、火吹山のゲームブック体験者に向けて書いてあります。未体験の方には、必然、ネタバレに近い内容があります。というわけで是非一度ゲームブックの『火吹山の魔法使い』をプレイしみてください。

旧『火吹山の魔法使い』
1984年に社会思想社から発売されたもの。20年振りに本棚から引っ張りだしてみました。


今回のコラムは火吹山のボードゲームが存在していたことに端を発しています。双六屋がボードゲームの存在自体を知ったのは、不覚にもつい2~3年前(ボードゲーム天国という書籍の中でのこと) 

その頃にはボードゲーム版はすでに絶版になって久しく、入手は超困難となっていました。先日、ようやくそのプレイをする機会を得ることができ、そのレポートがメインの内容です。

本コラムは、あの目の醒めるような冒険を共に体験した戦友たちに捧げます。

ああ、もちろん了解しています。お約束のあの言葉を忘れる双六屋ではありません。コホン、では襟を正してあのセリフを……



さあページをめくりたまえ!→

ボードゲームも傑作だった火吹山

ボードゲーム版は1986年に発売されています。これを手がけたのはスティーブン・ジャクソン。そう、ゲームブック版と同じ作者です。そんな彼が普通のボードゲームを出すわけはありません。

ボードゲーム版『火吹山の魔法使い』
文句なしの激レアアイテム。日本のネットオークションでン万円の高値がついたことも・・・
タイトル:The Warlock of Firetop Mountain
プレイ人数:2~6名
プレイ時間:120分位



ゲームは双六です。プレイヤーは冒険者となって、サイコロを振り、地下迷宮を進んで行きます。プレイヤーの目的は火吹山の最深部に鎮座する、魔法使いの打倒です。

で、実際プレイしてみたのですが、ボードゲーム版はこれはこれで素晴らしい出来栄え! ボードゲーム単体としてみても掛け値なしの傑作なのです!



危険極まりない火吹山。だがしかし、そこには目も眩むような大冒険が待ち受けている。


まず、双六とはいえ、ゴール目指して、闇雲にコマを進めればよいという単純なゲームではありません。なぜなら、火吹山の魔法使いの力は強大で、途中で武器・防具や食料・薬といったアイテムを手に入れてプレイヤー自身のレベルアップをしないことには、とても太刀打ちできません。というわけで、プレイヤーたちは、まずはアイテムを求めて地下迷宮を奔走することになります。


地下迷宮を彷徨せよ!

そのアイテムはどうやって手に入れるかといえば、地下迷宮に点在する部屋に置かれています。しかし、どの部屋にもモンスターや罠が待ち構え、これらをクリアしなければアイテムを手に入れることができないのです。

行く手を阻むモンスターの群れ
地下迷宮を徘徊するモンスターたち。ゲームブック版の体験者であれば、どの怪物にも見覚えがあるはず!
つまり、プレイヤー達は互いに競ってゴールを目指すも、対魔法使い戦に備え、敢えて回り道し、しっかりとアイテムを収集する必要があります。急ぎたいが、急げない、このジリジリ感が堪らない!


火吹山に眠るアイテム
同じく、ゲームブック体験者であれば、これらのアイテムの効用は一目瞭然に違いありません。
アイテムとモンスターはともにタイルになっており、各部屋に裏向きに(そしてランダムに)伏せて配置されています。部屋にプレイヤーが入ればモンスターのタイルをオープンにして戦闘開始! 

序盤から思わぬ強敵に遭遇し、苦戦の末に倒したはいいが、手に入れたアイテムがショボかったときの落胆といったらありません。(もちろん、逆にザコが素晴らしいアイテムを守っている場合もあります) どんな敵が潜んできるいるのか? どんなアイテムが手に入るのか? モンスター・アイテムタイルのオープン時はいつもドキドキです。


プレイヤーコマ揃い踏み
僕らの分身たる、個性豊なプレイヤーコマ。この立体フィギアを見ただけで、今すぐ冒険に出立したくなる!
また入り組んだ地下迷宮は一方通行ではなく、その通路は自由に行き来できます。どの部屋を選び、どのようなルートを取るかはすべてプレイヤーの自由意思。この行程は、まさに地下迷宮をさ迷い歩いている気分になります。


火吹山ファンが落涙する仕掛けはまだまだ続く→

モンスターとの戦闘、それはサイコロに決まっている!

モンスターと遭遇した場合どうやって戦うのか。ここで2つのサイコロが登場します。

冒険記録紙
冒険記録紙もすべて英語。でも僕らにとって、各項目が何を意味するのかは、一目瞭然。
プレイヤーはゲーム開始時に「INITIAL SKILL」と「INITIAL STAMINA」、そして「INITIAL LUCK」という以上の3つのパラメーターを決定し、各プレイヤーに渡される冒険記録用紙に書き込みます。

おっと、みなさんの頭の中ではこの3つが何を意味しているか、一瞬で翻訳が終わっているはずです。そう、これは原技術点、原体力点、原運点に他なりません。


戦闘方法ですが、プレイヤー、モンスターと双方のためにサイコロを2つ振ります。そして・・・

・プレイヤーの技術点+2つのサイコロの目
・モンスターの技術点+2つのサイコロの目

上記の合計が大きい方が相手に手傷を負わせたことになり、傷を負った側は、その体力点から-2ポイントします。

そうです。これはゲームブック版の戦闘方法とまったく同じ!

もちろんブック版と異なる点もあります。仮にプレイヤー同士が同じマスに入ったときは、プレイヤー同士で対戦することが出来るのです! 戦闘方法は、モンスター戦と同じ。しかしこれは互いのゲームの進行具合に直接影響を与える戦いですので、とてもシビアな戦闘となります。これが熱すぎる! 

なぜって、勝ったプレイヤーは相手の所有していたアイテムをごっそりいただくことができるのです。では負けたプレイヤーはどうなるか? そのプレイヤーはアイテムを強奪された上に、迷宮のスタート地点付近にまで戻されてしまうのです!
 
しかし、必ずしも最後まで戦闘をしなければならないわけではなく「逃げる」ことも可能ですし、また戦闘を行わずに「交渉」によって、お互いのアイテムや金貨を交換することも可能です。

次ページはいよいよ火吹山の魔法使いが登場!→

最終決戦! 火吹山の魔法使い、そして・・・・・・

ラストボスは火吹山の魔法使いです。しかし魔法使いを倒したとしても、ゲームは終わりません。

なぜなら、魔法使いは宝箱を所有しており、その宝を最初に得たプレイヤーがこのゲームの真の勝者となります。しかし魔法使いの宝箱にはしっかりと鍵がかかっており、正しい3本の鍵を差し込まないと開錠することは不可能なのです!

魔法使いが現れた
最後の強敵、魔法使い。その莫大な財産は目前。が、最後にキーチャレンジが待っていた!
鍵はアイテム群の中に紛れています。こういったことからも、スタートから一直線にゴールを目指すことはできず、最低でも鍵の入手は必須です。

ここでみなさんには、思い当たる節があるはずです。そう、ゲームブック版では、魔法使いを倒したあと、冒険者が旅の途中で得た数本の鍵のうち、3本を選び、鍵に刻まれた数字を合計した数が、次に進むページ(つまりは宝箱の開錠に成功)になります。

このボードゲームは、あのゲームブック版にあったキーチャレンジまでもを忠実に再現しているのです。つまりは・・・


ファンも脱帽の、完璧なまでの再現度

思い出してください。ボードゲーム版に登場するモンスター、アイテムは一部を除き、すべてゲームブック版と同じです。それだけではありません!

大砂蛇が現れた
挿絵のみのだが、ボード上に大砂蛇も登場。ゲームブック版の挿絵とそっくり!
冒険記録紙のフォーマット、サイコロ2つを使った戦闘方法、ボード上のイラスト、そしてラストの魔法使いの宝箱を開錠するためのキーチャレンジ。すべてはゲームブック版からの移植なのです。

しかも、これらのシステムがただ盛り込んであるだけではなく、ボードゲームを盛り上げる要素として完全に機能しており、抜群のおもしろさと完成度を誇っています。火吹山関連のグッズの中でも頂点に君臨するアイテムの一つです。


携帯からでも遊べる火吹山

もしかしたら、たった今この瞬間から火吹山の冒険に旅立ちたい方がいるかもしれません。ボードゲームは絶版のため、入手は困難です。ゲームブックなら一般書店やネットで購入できますが、その時間さえ惜しいですか? ならば携帯版の火吹山を遊んでみるのはいかがでしょう。

携帯版『火吹山の魔法使い』
たぎる血を抑えられないならば、たった今からでも携帯から火吹山に挑むことができる。
現在、デジタルスタジオという会社から火吹山は携帯ゲームとして配信されており、DoCoMo、au、vodafoneとすべてのキャリアでダウンロードが可能です。
(携帯版ダウンロードページ:TOP>Works>携帯)






今回の火吹山の魔法使いコラムはいかがだったでしょうか? 機会があれば、次回は「ソーサリーシリーズ4部作スペシャル」をお送りするつもりです(いつになることやら・・・)


本日の関連・参考サイト

火吹山の魔法使い(ガイドおすすめ書籍)
ファイティング・ファンタジー(公式サイト 英語)
デジタルスタジオ(携帯版ダウンロード:TOP>Works>携帯)
NO-FUTURE (ファイティング・ファンタジーシリーズのプレイレポート)
spring2496 Homepage (火吹山の魔法使いプレイレポート)
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