世界一のゲームの世界一のプレイヤー

モノポリーは全世界で累計ですでに2億5千万セット以上も売れているとんでもないゲームです。4年に1度(オリンピックと同じ年)に世界大会が開催され、各国の代表によって世界一の称号が争われます。2004年度の開催国は日本! しかもあの六本木ヒルズで開催されます。実は日本はモノポリー超強豪国。今までに2人も世界チャンピオンを輩出しています。(88年・ロンドン大会 百田郁夫さん 00年・トロント大会 岡田 豊さん)

今回のインタビューはディフェンディングチャンピオンとして、またまだ誰も成し遂げたことのない「2度の世界チャンピオン」を目指して2004年の世界大会に出陣する岡田 豊さんにモノポリーに必須の交渉術の秘密や大会直前の意気込みなどをインタビューしてきました。


 
岡田 豊(おかだ ゆたか)プロフィール

1967年生れ。日本モノポリー協会専務理事。97年にテレビでモノポリー日本選手権の告知をみて本格的に大会・例会に参加を始める。2000年の日本選手権で優勝し、同年のモノポリー世界選手権に日本代表として出場。そちらも見事に制し、日本・世界チャンピオンのダブルクラウンに輝く。みずほ総合研究所勤務。

インタビューの内容

【まったく勝てなかったプレイヤーが世界一に登り詰めた理由】
【各国の代表と渡り合う世界一の交渉術の秘密】
【世界王者の運に対する姿勢】
【モノポリーのトッププレイヤーは実生活でも大富豪になれるのか?】
【一夜にして有名人! 世界王者になった後に待ち受けるもの生活とは】

まったく勝てなかったプレイヤーが世界一に登り詰めた理由

誰しも最初からエキスパートだったわけではない。後の世界チャンピオンの岡田さんも公式大会に初めて参加したときは300人中150位の成績だったという。それが如何にして世界の頂点にまで登り詰めることができたのだろうか。

岡田豊
世界チャンピオンも最初はビギナーだった。

いつ頃から勝てるようになったのでしょうか―――

えっと1年後ぐらいですね。逆にいえば1年間はほとんど勝てなかった。びっくりするくらい勝てなかったですね。全然勝てない。

どうして勝てるようになったんでしょうか―――

自分なりのスタイルというのが見つかったからです。最初は上手い人と対戦するようると真似てしまうんですよね、つい。でも真似てるうちはあんまり上手になれなくて、自分なりのスタイルを開発してはじめて人より強くなれるんだ、と。

岡田さんはどんなプレイスタイルなのですか?―――

私は交渉の手数をかなり多くしますね。例えば一対一の交渉で決まるようなのをわざと二対二くらいにして他人の予想もしなかったような行動をとってぐちゃぐちゃにするんですよね。乱戦のほうが得意ですね。でも交渉自体に有利不利というのはそうそうあるわけじゃなくて、交渉したときはお互いにそれなりの利益がでるように、幸せになるようにやるんですけど、その最終形を他の人とは違うのをみているというだけで。

それでたった1年で日本チャンピオンに?―――

いやそれは絶対にありえないです。そんな楽なゲームではないです(笑)全国大会というのがありまして、あれにはじめて出れたのが1年後にあって、そうするとまあ強くなったのかな……

するとその後、上位に食い込めるようになるまでには―――

結構大変でしたね。全国大会は98年から、ずっといままで毎年でてるんですけど、98、99年はいわゆる決勝卓といいまして そこで勝てばいわゆる日本チャンピオンという卓にあと一歩、つねにあと一歩で出れないという。6位とか7位とか、1ドル差でいけなかったとか…… なんだろなと、これは越えられないんだろうと思っていたら2000年にドンといってしまった。初めてが日本チャンピオンでした。それまでは大会で優勝したこと一度もなかったです。

最後の壁を突破できたブレイクスルーは何だったのですか?―――

それまで大会でどう戦っていたかというと、とにかくしゃにむに勝ちにいくってっのをずっとやっていたんですが、勝とうという意欲はもっと強い人もいっぱいいて、その気迫に負けてしまうというというのがあったんで、これは楽しむしかないのかなと、徹底的に。全国大会を楽しむくらいのレベルに達して、はじめて他の人とは違う局面がひらけるのかなというのがあったんで。

すると全国大会の決勝は楽しんで臨んだ?―――

全国大会はむちゃくちゃ楽しみましたね。びっくりするくらいに。おそらく通常、全国大会では考えられないんですけど、当時は2回予選があって、私は1回目はグリーン1軒スタート、2回目は仮破産、途中のゲームで。そっから盛り返すっていうのが非常におもしろくて、たぶんそうでなかったらギチギチになってたら最後の最後で負けてたという感じでしたんでそういうふうな割り切ったプレイスタイルが功を奏したのかとともいます。

どのゲームももしかしたら同じかもしれないんですけど、勝ちにこだわってうまくいかないよりも楽しんだほうでプレイするほうががいいことはおおいですね。

【まったく勝てなかったプレイヤーが世界一に登り詰めた理由】
【各国の代表と渡り合う世界一の交渉術の秘密】
【世界王者の運に対する姿勢】
【モノポリーのトッププレイヤーは実生活でも大富豪になれるのか?】
【一夜にして有名人! 世界王者になった後に待ち受けるもの生活とは】

各国の代表と渡り合う世界一の交渉術の秘密

そのまま世界大会にも出場されたわけですが、世界大会では英語が共通語と聞いています。交渉はどうしているのでしょうか?―――
 

通訳がついてます。だから本当に困ったときは通訳だよりができるんですけど、ゲームの流れをとめるっていうことは通訳にはできないので、通訳に聞いている間に交渉がすすんでしまう、成立しちゃうかもしれませんから…… そうするとやっぱ難しいんで、まあ聞く能力と、少なくとも二三ことは話せる能力は必要だったかなと。それは中学生レベルの単語で大丈夫ですので。大概慣れますね。普通の人なら絶対に話せます。

外国人プレイヤー相手に難しい交渉もあると思います。どう渡り合っているのですか?―――

外国人プレイヤーというのは結構ハッキリしてて、私はこの通りやりますとか、 そういう感じていえば聞いてくれるんで。それでも価値観が違うというのはものいものがありますんで、各大会というか各国それぞれのスタイルが結構ありまして、その価値観をあわせるのはまあ日本国内でも結構シンドイですね。



その相手のスタイルや価値観はどやって見抜くのでしょうか?

やっているうちにわかります。で、世界大会のときは意図的に仕掛けます。全然わからなかったら困るんで、最初に軽く交渉してみて、どういう反応を見せるかってどうかってのはちょっと頭に置いておいて。それをしておかないと勝負どころでその人と交渉するときにちょっとリスクが大きすぎます。

ということは対戦相手の心理も大事ですね

交渉っていうのはどうしてもそういう側面があって、そのへんをまあ利用できるっていうか、学んでいる人のほうが強いですよね。場数を踏んでいるっていうので学べるし、またそういう職業についている人は学べるし、若年者の人は逆にしんどいですよね。

【まったく勝てなかったプレイヤーが世界一に登り詰めた理由】
【各国の代表と渡り合う世界一の交渉術の秘密】
【世界王者の運に対する姿勢】
【モノポリーのトッププレイヤーは実生活でも大富豪になれるのか?】
【一夜にして有名人! 世界王者になった後に待ち受けるもの生活とは】

世界王者の運に対する姿勢

ダイスを使うゲームのプレイヤーには毎回聞いているのですが、振るときに念力を入れますか?―――
 
私は他人に祈ってもらうタイプですね。自分は無心です。誰でもいいんですけど応援してくれる人にエネルギーをもらって。

岡田豊
王者の運の強さは、神頼みではなく他力本願だった!?
それはどんな場合でも?―――


どんなにきつい場面でもです。この目を振ったらいかんと思うとだいたい雑念が入りますね、それでその目を出しますから。自分で制御できる運て少ないと思うんです。だから世界大会のときでもそうでしたね。念力は応援団にまかせて、本人はたんたんと振る。振り時間もかわらないです。普通にやります。

ということは縁起やゲンもかつがないということですか?朝起きたら右足から床につくとか、必ず食べる物があるとか―――


食べ物もこだわらないですね、逆にいうと食べない。食べないほうがいいですよね 眠くなっちゃうから。朝から晩までゲームやっているときはあんまり食べない。飲み物程度で。

岡田さんにとってモノポリーの技術と運の比率は?―――

えっと微妙にいろんな段階があると思うんですけど、結構私は運に頼ってますね。6:4くらいでもしかしたら運に頼っているかもしれない。

運を動かすって方法がもしあるとするんであれば、そういうのがテクニックだと思ってます。運を呼び込もうというか流れを変えるテクニック。だから皆を味方につけて逆転していく… そういう意味では観客がいるゲームが好きですね。みんなの前でやるっていうのが私の力になっているような気が

ちなみに好きなカラーとか駒はあるのですか―――

私はダークブルーですね。一番リスクとリターンが難しい。だから逆のおもしろいので。好きな駒は車ですね。誰も取っていなかったら取りますど、だからといってこだわりません。トロントのときはカナダ版だったのでずっと熊だったんですけど(※ガイド註 モノポリーは各国バージョンが発売されている)

決勝のときにある女性のプレイヤーが熊を欲しいといったんで譲らざるをえなかった。それでもまあ気にしないですね。こだわり持たないほうがうまくいくような気がしますね。

【まったく勝てなかったプレイヤーが世界一に登り詰めた理由】
【各国の代表と渡り合う世界一の交渉術の秘密】
【世界王者の運に対する姿勢】
【モノポリーのトッププレイヤーは実生活でも大富豪になれるのか?】
【一夜にして有名人! 世界王者になった後に待ち受けるもの生活とは】

モノポリープレイヤーは実生活でも大富豪になれるのか?

モノポリーは不動産の要素や交渉の要素があって、最終的に富のモノポリー(独占)を目指すわけですが、強いモノポリープレイヤーなら実際にお金持ちになることができますか?
 
世界選手権で優勝したときに外国のメディアにも散々質問されましたけど、お金持ちになれるかは別のレベルの問題がありますよ。で、意識は人以上にしますね。まあ仕事柄もあるんで(※ガイド註 岡田さんの普段のお仕事はシンクタンク)

そういうのは人以上に関心をもつっていうのか…まあモノポリーしてなくても感心をもっていたかもしれない。そこんとこは微妙にわからないところですね。

ただアメリカや欧米の間ではこれはいわゆる投資とかリスクとかを学ぶにはそこそこ適したゲームであると思われているのは間違いなくって、例えば、フォーブスさんは(雑誌『フォーブス』の創刊者)はモノポリーから雑誌の経営の全てを学んだといっていますし、そういう人が実際アメリカ人にはいるっていうのはありますね。リスクとリターンを学ぶには非常にわかりやすいゲームかな…… 

今回審判で来るフィル・オーバンスさんはモノポリーのトッププレイヤーにいて会社の経営者もやっています。彼はモノポリーのプレイヤーは経営者に向いているという論文をハーバードビジ―――ネスレビュー(ハーバード大学が出しているビジネスの教則本)に出しています。

ということは会社でモノポリーの能力がいかされる場面があるということですか?―――


ドイツのテレビ局にも聞かれた(笑)えっとビジネスシーンで使うというのは難しいんですけどネゴシエーションは使えますよね、圧倒的に。モノポリーがすごくすばらしいなって思うのは交渉のテクニックとかを学べるところです。

トッププレイヤーになると二つのタイプがあって「オレは強いんだから誰でも交渉受けてくてくれるんだよって」交渉で手を抜く人と、自分がわざと素人のひとと価値観を無理やりにでもあわせて、難しい交渉をどんどん成功させるという二つのタイプがあって、後者のほうになると、実社会でかなり生きてくる。

私は後者のほうですね。私はなるべく初心者とやるほうが訓練になると思ってて、初心者は侮れないです、恐いです。何するかわからないですから。そういうなかでで苦労していいくと、人はそのスタイルに慣れてくる。それを楽しんでできるひとが強くなれます。

【まったく勝てなかったプレイヤーが世界一に登り詰めた理由】
【各国の代表と渡り合う世界一の交渉術の秘密】
【世界王者の運に対する姿勢】
【モノポリーのトッププレイヤーは実生活でも大富豪になれるのか?】
【一夜にして有名人! 世界王者になった後に待ち受けるもの生活とは】

一夜にして有名人! 世界王者になった後に待ち受けるもの生活とは

2000年の世界大会では見事優勝し、世界一の大富豪になったわけですが、その賞金と使い道は?
 
15000ドルですね。当時は200万円くらいですね。

※ガイド註 正確には15,140ドル。やや半端な金額の理由はこちらで↓
競技ゲーム高額賞金ランキング(ガイド記事)

使い道は、通訳に1000ドル払ったかな…… あと日本から応援に来てくれた人の宿泊代は全部出しました。6人来てたんで、それで2000ドルくらいになったかなぁたしか。帰ってきて宴会をしてそれで3000ドル使いましたかね。

あと凱旋帰国というか、協会から「全国回って来いって」感じで、いつのまにかすっかりなくなってましたね。モノポリーで稼いだお金はモノポリーで使う、というかむしろ赤字だったかも(笑)

優勝した後は忙しかったですね。だいたい外国のメディアが50社くらい来てたのかなぁ 向こうのスタイルって共同記者会見じゃないんですよ。何社かがまとまって聞き出して、はい次という感じでそれが5ヒートくらいあってそのあと観客からのサインがあって、それが終わった後、別室に連れてマイク向けられて、それが生放送でCNNとかに流れるんです。

じゃあ日本に帰っても反響はすごかったことでしょう―――

日本に帰ってからはすごかったですね。いきなり専務が来て「なにやってんだおまえは!」

ゲームの大会で会社を休んだからですか?―――

いえ、というのはあちらの様子が日本でも放映されていて、そのときテロップで私の肩書きが「大手シンクタンク所属」と書いてあったんですけど、「なんで会社の名前を出さないんだ!」と

シャレがわかる専務さんですね―――


はい(笑)そのあと社内では変なランチとか飲み会の誘いはいっぱいありましたね。

モノポリープレイヤーに必要な資質は何でしょう?―――

写真のタイトル
笑顔で2度目の世界チャンピオンを目指す!
我慢強さとあと社会性ですかね。社会性はものすごく大事です。全人格を問われているというか。

交渉のゲームなのでまとめるためにはやっぱり嫌な人よりはいい人をってなりますね、でも嫌な人でも交渉しなきゃいけないってのは社会性じゃないですか。嫌な人とかの対処とか学べます。

ボードゲームでは勝つテクニックを磨く人たちは非常に多いんですけど、そのへんのところはそれだけだと雰囲気を悪くするってのはあるんで、個人的には、楽しくやってみんなが得して、最後に自分が勝つというのはある意味理想ですよね。

だから負かした相手に「このゲームおもしろかったですね」いわれるのが一番好きですね。

2度目の世界チャンピオンを狙っていますか?―――

普通に狙ってます。楽しんで勝つというのは全然かわらないんですけど。

最後にモノポリーをこれからやる人へのメッセージをお願いします―――

このゲームはやってはじめてわかる楽しさっていうのが非常に多いゲームなので、ぜひとも勇気をだして来ていただきたいなという感じがします。

いろんな場にいろんな人がいまして、そのゲームはなかなか納得がいかないとか、嫌な人にあいましたとかそんなあるかもしれませんけど、そうですね 3、4ゲーム我慢して、めげないでやっていただければ楽しさが分かってくると思うし、普通にやれば1年目くらいで大会で優勝する実力をつけてくる人もいるし。

またそこそこ実力があれば、世界を狙える人がいっぱい世間にはいらっしゃるんではないかと思っていますのでぜひとも遊びに来ていただきたいなと思います。

本日はありがとうございました。是非2度目のチャンピオンになってください!―――

はい!

【まったく勝てなかったプレイヤーが世界一に登り詰めた理由】
【各国の代表と渡り合う世界一の交渉術の秘密】
【世界王者の運に対する姿勢】
【モノポリーのトッププレイヤーは実生活でも大富豪になれるのか?】
【一夜にして有名人! 世界王者になった後に待ち受けるもの生活とは】

本日の関連・参考サイト

モノポリーリンク集
モノポリーの世界(ガイド記事)
ほぼ日刊イトイ新聞 日本モノポリ協会
モノポリー世界選手権2004 詳細情報
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。