東京ゲームショウ2003で一つの胎動を感じた。




デジタルゲームの華やかなブースに紛れ見落としがちだが、会場の片隅にひっそりと、しかし毎年確実にその面積を広げているカード・ボードゲームといったアナログゲームのコーナーが設置されていることをご存知だろうか?

●アナログゲーム地殻変動の予感

ゲームキューブ・ゲームボーイガイドの川島さんの記事によればデジタルの世界ではゲーム離れが起きている。この世界的な不況により人々が疲れ娯楽に徹し切れなくなった背景があるのかもしれない。

その一方でアナログゲームの販売はゆっくりと、しかし着実に伸びており、大きな潮流になりそうなのだ。この変化を兆しを「3つのD」というキーワードからから説明してみよう。

ドイツのD(DEUTSCH)

現在ドイツゲームというジャンルが日本のみならず世界を席巻している。ドイツは一大ゲーム先進国。その所以はアナログゲームだけで年間数百タイトルが発売され世界中に輸出されていることに由来する。アメリカや韓国などでもドイツゲームの人気は高い。



日本において数年前までこれらドイツゲームは入手が困難であり、一部のエッジなプレイヤーの間でのみ楽しまれていたに過ぎない。しかしインターネットの普及や取扱い店の増加などにより個人でも簡単に購買できる環境が整ってきた。また95年の発売された『カタン(の開拓者たち)』によって(世界で500万セット以上を販売された!)ドイツゲームを遊ぶという流れは徐々に浸透していく。

さらにはあのカプコンが「ブレインスポーツ構想」を打ち出しアナログゲームの販売を開始。その第一弾としてこのカタンを選びカタン世界選手権 日本大会まで開催。都市圏の大きな百貨店行けばカタンをはじめとするドイツゲームを見かけることが多くなった。



もちろん海外の名作はドイツ産だけではない。ビバリーが販売するフランス産の「ブロックス」は世界中のゲーム賞を総なめにしている傑作である。



このように海外ゲームの充実・入手の容易さは格段にアップしている。
デジタル化のD(DIGITAL)

良質なコンテンツは常に不足している。評価の高いアナログゲームが現在次々にデジタルに移植されているという事実はなんら不思議ではない。

先のカプコンにぬかりがあろうはずもなく、カタンのデジタル展開はすでになされ現在ネット上ではオンライン対戦用のβ版まで始動している。(詳細はカタン公式サイトへ)


欧州系のボードゲームを大雑把にドイツゲーム言い表しているが、作家自身がドイツ国籍でないなど必ずしも名と体を厳密にあらわすジャンル名ではない。

ならばヨーロピアンゲームとカテゴライズしそれをソフト名にしたのがディースリー・パブリッシャーから発売されたプレステ2用『ヨーロピアンゲームコレクション』だ。



5つもの名タイトル集めたこのソフト(前にこのコラムで紹介した「ミッドナイトパーティー」や「ガイスター」もインクルードされている!)ボードーゲームファンにとっては大変豪華なラインナップになっている。



(C)2003 DREI MAGIER SPIELE, Alex Randolph
(C)2003 Venice Connection, Leo Colovini
(C)2003 KNIZIA-GAMES, Reiner Knizia
(C)2003 KRAMER SPIELE, Wolfgang Kramer
(C)2003 SPIELE VON DORIS & FRANK, Frank Nestel
(C)2003 TOMCAT SYSTEM
(C)2003 D3 PUBLISHER

デジタル化のDのつづき
 
アナログゲームのデジタル化は、どちらかがもう一方のシェアを侵食してしまうといったアナログVSデジタルという対立構造ではなく、むしろ相互補間関係を生み出すように思える。


アナログゲームで大変なのは相手探しだ。忙しい現代人が一つの場所に集まるということは大変だ。しかしソフトならプログラムが相手を、オンライン対戦ならインターネットを介し相手を見つけられる。



ビギナーには負担のルールを覚えることもデジタルであればそれをチュートリアルという形で1人で簡単に学ぶことができる。例えば囲碁サイトの『playgo.to』の「インターラクティブ囲碁入門」では簡単な小問を少しつづ解いていくことで(このときプログラムが応手してくれる)ビギナーが楽しみながらルールを理解できる

他にもデジタルであれば麻雀の点数計算やトランプの手札やカウントや判定などビギナーにはめんどうな計算的負担はすべてプログラムが行ってくれる。

一方アナログの優れている点はライブ感である。デジタルの世界ではオンラインゲーム華盛りだが、いつまでも彼らが飽きないのはパソコン介しながらも結局は「人間」とのコミュニケーションが最も面白いからだ。



その対戦者が目の前いるとしたらこれに勝ることはない。デジタル・インターネットでゲームを覚え、実際の大会に出てみたら生の方が断然面白かったという意見は良く聞く。間口広さと手軽さがデジタルの強み、相手を目の前にしたコミュニケートの楽しさはアナログである。
国産ゲームのD(DOMESTIC)

ラインナップの多さでは外国産にかなわないが面白いゲームといえば国産も負けてはいない。ガイドが一番注目しているのがグラパックジャパンだ。




とにかくルールやコンポーネントが凝りに凝っている。ワールドカップにあわせて発売され大ヒットしたサッカーゲーム『レジスタ』や、ギラギラのファイルで人目を引くエアロノートファイルゲームシリーズなど、どの作品も他とは一味違ったこだわりがあり、詳細は近くこのコラムでも紹介する予定だ。

●アナログゲーム環境を取り巻く変化

現在都内を中心にアナログゲームを置き始めているおしゃれな店も増えている。例えば若者を狙ってアミューズメント空間を渋谷・池袋に展開しているBEE(アナログゲーム中心)やハイソな雰囲気で女性にも人気の高い代官山のカフェ・ミケランジェロ(バックギャモン)などである。

この他の展開として『ボードゲーム天国』(オフィス新大陸 竹内書店新社)といった質の高い専門誌の発売やアナログゲームの普及を目的として特定非営利活動法人(いわゆるNPO法人)のゆうもあが設立されたりと、環境の面でも日々充実度があがっている。



過去にも固有のゲームが一時代のブームを築いたこともあった。しかし今の流れは一過性のものではなく、ごく一般の人々が・・・例えばデートで、家族の団欒で、ご近所の集まりで、仲間とのパーティーなどでコミュニケーションツールの一つとして普通にゲームをするといった文化に近いところまで浸透しそうな気がするのだ。

東京ゲームショウで感じた大きな潮流が生まれそうな予感。そのはじまりにいる気がしてならない。

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