3DSが話題を独占したE3

岩田社長の図
E3初日に行われた任天堂のメディアブリーフィングでは、岩田社長自らがステージで3DSをアピールしました。
北米はロスアンゼルスで開催された世界最大のゲームイベント、エレクトロニック エンターテイメント エキスポ、通称E3。2010年のE3は、PlayStation3のPlayStation Move モーションコントローラー、Xbox 360のKinectと、ゲーム業界の今後を占うプレゼンテーションが次々に登場して大変盛り上がりましたが、その中でもひときわ大きな話題となったのがニンテンドーDSの後継機、ニンテンドー3DS(以下3DS)です。

3DS最大の特徴は立体映像。DSに搭載された2画面のうち、上の画面で3D映像を表示することができます。しかも、メガネなどの付属物は必要なく、裸眼で映像が3D化するという優れもの。

しかしこれ、大変な問題点があります。というのは、3D化した映像は、写真に撮れません、映像にも映りません。多くのWebサイトなどで3DSのスクリーンショットや動画なども公開されていますが、それらはほとんど意味を持ちません。実機を手にとってみないと、その魅力は伝わらないのです。

というわけで、今回ガイドがE3に行って参りましたので、3Dの画面はどんな具合なのか、また3DSは今までのニンテンドーDSと比べて何が変わるのか、そしてそこから考えられる任天堂の方向性について、お話してみたいと思います。

画面のむこうに、もうひとつの世界

立体化するマリオの図
E3会場では、マリオカートなどの任天堂タイトルの他、バイオハザードシリーズやメタリギアソリッドシリーズなど、サードパーティーのタイトルデモも数多く用意されていました。
まず、3D画面ですよね。E3の会場では、任天堂ブースは3DSを体験するための行列で完全に埋まって、行列の脇にWiiのゲームなどが展示されるという構成になっていました。間違いなく、E3会場で最も大きな行列を作っていたでしょう。

3Dの画面を見た多くの人の最初のリアクションは歓声です。驚きの声があがります。実際ガイドも、思わず声が出てしましました。飛び出す、というよりは、画面の中に奥行きが出るというイメージです。そして、より驚くのは、画面の中にいるキャラクターの実在感です。DSの画面の中に実際マリオが入ってる! ちっさいおっさんが入ってる! そんな不思議な感覚に襲われ、びっくりして声を出してしまうのです。3DSの画面が窓になっていて、その窓の向こうにおもちゃの世界があって、フィギュアのようなキャラクター達がジオラマのような感じで立っている、そんな印象を受けました。

画面そのものも現行のDSとは比べ物にならないぐらい精細になりました。感覚的にはゲームキューブぐらいでしょうか。立体化するのは上画面だけで、下画面は今までと同じようにタッチパネルになっています。nintendogsの続編、nintendogs+catsのようなソフトを遊ぶ際には、下画面のタッチパネルを操作して、上画面に表示された3Dの犬と遊びます。変に感じるかもしれませんが、マウスと同じだと言えば、それほど違和感がなく操作できることが分かると思います。

デモ画面を少し動かすだけでも、その画面に目が奪われます。触っているだけで楽しい、面白い、魅力的、これが3DSの最大の武器かもしれません。しかし、3DSになって変化するのは画面だけではありません。

操作機能がさらに多彩に

3dsの図
スライドパッドがついた分、十字キーは従来よりも若干下の位置に。裏面にはカメラが2つ付いていて、3D写真も撮ることができます。
どうしても立体画面に話題が行きがちですが、3DSはその他にもたくさんの機能を強化してきました。その1つが操作面です。まずは、スライドパット。据え置きゲーム機におけるアナログスティックの役割を果たすもので、PSPには近いものがすでに搭載されてますね。実際に触ってきましたが、丁度いい大きさと位置、深さと動かし安さで、実に遊びやすいと感じました。アナログパットがついたことで、十字キーは若干下の位置に。位置関係からすると、アナログパッドを使ったゲームが主流に据えられるのかもしれません。

それからもう一つ、モーションセンサーとジャイロセンサーが搭載されました。これは、Wiiリモコンのように3DSを動かして遊べるようなものだと考えていただければいいでしょう。例えば、3DSの画面を傾けて覗き込むと、ゲームの中の世界も傾くとか、レースゲームを遊ぶときに3DS自体をハンドルがわりにして遊ぶ、なんてことが考えられます。

ただ、若干気になるのは、立体表示との相性の悪さでしょうか。3DSは真正面から画面を見た時は立体に見えますが、ちょっと横にずれると画面が2重になって映ります。画面を傾けたり動かしたりするゲームとあまり相性が良くありません。もっとも、3DSの立体表示はボリュームのようなスイッチで簡単にオンオフできますから、そういうゲームは単純に3Dを切って遊べばいいということになるでしょう。

すれ違い通信の強化

電車の図
3DSを常に持ち運んでいれば、次に開いた時にはとにかく何か変化が起こる。そんなゲームハードになったら楽しいですよね。
もう1つ、3DSならではのユニークなポイントがすれ違い通信の強化です。ドラゴンクエスト9などで話題になったすれ違い通信、今まではソフト側のプログラムで動かしていたので、ゲームを起動して行っていましたが、3DSではハードウェアの機能としてサポートする仕様になりました。

3DSは電源を入れている状態だと、常に他の3DSや、また、無線アクセスポイントを探して、勝手に通信を行います。簡単に言えば、3DSを持ち歩いてさえいれば、今ハードに挿入しているゲームだけでなく、色んなゲームのすれ違い通信が起こったり、新しいゲームコンテンツや、情報がダウンロードされて、次に開く時には3DSに何らかしらの変化が起こっているという仕組みです。

持ち歩くと面白いことが起こる、というコンセプトですれ違い通信を強化してきた点は、とてもユニークで、任天堂らしいと言えます。それは、3DSがiPhoneなどの情報端末ではなく、あくまでおもちゃであると、示しているように感じます。

とびきりのおもちゃ

子供の図
子どもがプレゼントに貰ったら飛び上がって喜ぶ姿が目に浮かびます。やっぱり、おもちゃなんです。それもとびきりの。(イラスト 橋本モチチ
3DSが素晴らしいところは、おもちゃであるというところです。3D表示が何かの役に立つとか、すごい迫力があるとか、そういうことではなく、単純に3D表示されたゲームの世界を動かすのが面白い、楽しい、不思議、そういう作りになっているんです。

デモ画面の中に、ピクミンがありました。3Dによって空間がはっきりし、ピクミン独特の小さな庭のような空間に、もっと小さなピクミンがいる様子がなんとも楽しい。スライドパッドでカメラをちょっと動かすだけで、嬉しくなります。これでピクミンを動かして、あの奇妙な生き物達がボコッと現れたら、それは面白いだろうなと、容易に想像がつきます。

モーションセンサーやジャイロセンサーを搭載したことも、すれ違い通信を強化したことも、全てこの3DSを、持っていて楽しい、いじって面白いおもちゃとして進化させるでしょう。

なんでも出来る情報端末ではなく、子供も大人も目を輝かせて欲しくなるようなおもちゃを、任天堂は作ったのではないでしょうか。E3の会場で、国籍も人種もばらばらな人達が、3DSを手に持って、ランランと目を輝かせていたのを見て、そう思いました。

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