テレビが無いとゲームができないという弱点

据え置きハードに元気がない図
いまや主流はすっかり携帯ゲーム機になり、据え置きゲーム機はどうしてもかつてのような賑わいがありません。
ちょっと前までは、ゲームはテレビでするものでした。テレビの前に座って、何時間も遊ぶのがゲームでした。しかし、いつの間にか据え置きゲームハードは元気がなくなり、携帯ゲームハードが主流になりつつあります。

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テレビが無くても、ゲームが遊べる時代が到来すると、据え置きゲーム機の弱点が浮かび上がってきます。それは、テレビが無くてはゲームができないという簡単なことです。そんなことにたいして意味があるのかとお思いになるかもしれません。今まで据え置きハードというのはテレビの前に座って遊んでもらっていたんですからね。

しかし、いざ冷静に考えてみると、このことはユーザーに大変な負担を強いている部分なんです。

RPGをクリアするのは、大河ドラマを全部見るようなもの

ゲームとビデオを比べる図
ゲームのプレイ時間に匹敵する時間のビデオコンテンツを横に並べたら、おそらくちょっと観るのを躊躇するぐらいの量があるでしょう。
ちょっとボリュームのあるRPGだと、プレイ時間50時間というのは、そう珍しくありません。場合によっては、さらに長い間プレイし続けるゲームだってたくさんあります。でも、よくよく考えると50時間というのは大変長い時間です。

分かりやすくする為に、これをDVDやテレビの視聴と置き換えてみましょう。RPGを1ヶ月でクリアするとして、2時間の映画なら25本です。月に25本の映画を観てたら相当映画好きですよね。ほぼ毎日見てるようなイメージです。1時間のテレビ番組なら50本。NHKの大河ドラマのようなものでしょうか。30分のテレビアニメならドーンと100本。もうなんだかマニアの領域ですね。

この大量の時間、テレビの前に座ってもらうというのが、とても大変なんです。家の中の、決まった場所に座っていないとゲームができない。しかも、それが1つのゲームを遊ぶのに、大河ドラマを全話鑑賞するような時間です。よっぽどゲームが好きな人でないと、中々遊んで貰えないということが想像できるのではないでしょうか。

しかも、さらに大変なことには、その間テレビを占領しなくてはいけません。

テレビをゲームで占領するということ

同居人の視線が気になるの図
なかなかゲームで40時間も、50時間もリビングを占領できない、という人もきっといるはず。
50時間という長時間、テレビの前に座ってもらうのは並大抵のことではありません。しかし、据え置きハードで長時間プレイするということは、それだけではないんです。もう1つ、大変に高いハードルとして、その時間だけテレビを占領するということを忘れてはいけません。テレビを占領するということは、プレイヤー以外の、一緒に住む人の了解がいるということです。

しかも、ゲームの場合は、テレビ番組や映画と違って、普段からゲームをしない人にとってはワケが分からないものであったりします。同じシーンが何度も繰り替えされたり、必殺技をひたすら叫んでいたりするかもしれません。そういうもので、長時間リビングとテレビを占領するというのは、なかなか理解を得られない場合もあるでしょう。明確に駄目だと言われなくても、ユーザー自身が、はばかる、ということはあるはずです。

全くそれが問題のないユーザーもいます。1人暮らしの人や、自分の部屋にテレビがある人、家族がいない時間にプレイする時間を確保できる人。しかし、そういう人だけを想定していると、ユーザーの幅はどうしても広がりません。

テレビの前にいかなくてもゲームはできる

ドラクエをするももんじゃの図
ドラクエ9のすれ違い通信をすると、50時間どころか、もっと長い時間遊んでいる人もたくさんいますね。
今まで、ゲーム業界では据え置きゲームハードが主流でしたから、長いプレイ時間を使ってじっくり遊べるゲームがたくさん登場していました。しかし、それはコンテンツのパワーで大変に高いハードルを乗り越えて実現していたんです。テレビを占領して、何十時間もの時間を費やしても、他には無い面白さが、価値があると認識されていたんですね。良く考えるとすごいことです。

ところが、現在では携帯ゲームハードの市場が拡大しています。幅広い年齢層のユーザーを獲得したニンテンドーDS(以下DS)と、携帯ハードでありながら高いスペックを実現したPSPの隆盛は、据え置きハードにとって脅威です。

据え置きハードで、RPGという分野を確立してきたドラゴンクエストシリーズの本編最新作であるドラゴンクエスト9 星空の守り人(以下ドラクエ9)がDSで発売されたことが象徴的ですが、据え置きハードの市場を携帯ハードが完全に食っている状態です。携帯機でたっぷりとドラクエ9を遊んだユーザーの中で、据え置きハードでも腰をすえてRPGを遊ぼうと思う人が、いまどれ程いるでしょうか。

かつては携帯ゲームハードでゲームを売るには携帯ハードでやる理由をしっかりと考えなければいけませんでした。しかし、今はそれが逆です。据え置きハードが売れる為には、わざわざテレビでゲームを遊ぶ理由が必要になってしまいました。

テレビでテレビゲームを遊ぶ理由が必要

WiiFitの図
2009年10月1日に発売されたWii Fit Plusは、据え置きハードで遊ぶ理由が分かりすいソフトです。(イラスト 橋本モチチ
携帯ゲームハードが主流になり、立場が逆転すると、据え置きのゲームハードは改めてユーザーにプレゼンテーションする必要がでてきます。テレビでゲームをすると何が素晴らしいのか。最後にこの点について、3つ例を挙げてお話しようと思います。それぞれは、据え置きハードの優位性ですが、課題をはらんでもいます。

1つ目は、映像や音。2009年の年末商戦でPS3最大の目玉となるであろうキラータイトル、ファイナルファンタジー13(以下FF13)はまさにこの路線です。緻密なCGと、オーケストラのBGM、流石に携帯ハードのゲームとは比べようもありません。しかし、この方法で差別化する場合、ちょっとやそっとの映像では駄目です。ユーザーを驚かせるぐらいのインパクトが必要になります。FF13ほどのタイトルであれば申し分ありませんが、どうしても売れるソフトは大作に限られていってしまうのが問題です。

2つ目は、オンラインサービス。オンラインに初期の頃から積極的に取り組んでいるのは、Xbox 360ですね。もちろん、携帯ゲームハードでもオンライン対戦や協力プレイはできますが、多人数で、ボイスチャットもしながら、となるとスペック的に厳しい部分もあります。また、携帯ハードは直接の無線通信によるマルチプレイが主流になりつつあることからも、住み分けが可能かもしれません。ただし、オンラインサービスは、接続の手続きや、課金の問題など、まだまだクリアするべき課題があります。

3つ目は、インターフェース。任天堂のWiiがこの路線ですね。WiiリモコンやバランスWiiボードを使った新しい遊びは、携帯ゲームハードには真似できません。問題点としては、現状でWiiのインターフェースを上手に使ったヒット作のほとんどが、任天堂によるものであるということ。やはり、たくさんのメーカーから多様性のあるゲームが出てこそ、ゲーム業界は盛り上がります。Electronic Entertainment Expoで発表された、PS3のモーションコントローラー、そしてXbox 360のProject Natalが発売されることで新しいインターフェースがスタンダードになると、状況が変わる可能性はあります。

分かりやすくする為に、それぞれ具体的なハードと絡めながら例を挙げましたが、3つの点は全ての据え置きハードにとっての携帯ハードに対する優位性でもあります。しかし、いざその優位性を並べてみると、逆にそれが生かせていない現状から、課題の方がくっきりと浮かび上がります。

テレビの前に座ってもらって、何時間もゲームを遊んでもらうということは大変なことなんです。据え置きのゲームは、ハードも、ソフトも、何でテレビの前でゲームをする必要があるのかを、もういちど真剣に考えなくてはいけないように思います。

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