Wiiスポーツリゾートのピンポンだけをご紹介します

マリンバイクの図
マリンスポーツなども収録されて、リゾート感満載のゲームになっています。夏休みに遊ぶにはピッタリですね
仕事に支障をきたすほど、肩と腕が痛いです。Wiiスポーツリゾートのせいですね。いや、日頃の運動不足のせいと言った方がよいでしょうか。というわけで、2009年6月25日に任天堂が発売したWii専用ソフト、Wiiスポーツリゾートのお話です。

Wiiと同時発売し大ヒットしたWiiスポーツの続編ということもあり、大きな期待が寄せられていましたが、その期待に応えて初週約35万本を売り上げています。しかも、長く時間をかけて売れることが予想されるソフトですから、これからの伸びがさらに期待できそうです。

12種目の競技が楽しめるWiiスポーツリゾート、今回はあえて、その中から1種目、ピンポンだけを取り上げてご紹介してみたいと思います。何故、ピンポンだけを取り上げるのか。それは、ただリモコンを振ってボールを打つという単純な競技に見えるピンポン1つとっても、奥深く作りこまれているからです。

遊び方は、振るだけ。

ピンポンの図
Wiiスポーツリゾートのゲームに複雑な操作を要するものは1つとしてありませんが、ピンポンはその中でもとりわけシンプルに操作できる競技です
まず、Wiiスポーツリゾートのピンポンがどんなゲームなのか説明しましょう。といっても説明する必要が無いほどシンプル。Wiiリモコンを振ってボールを打ち合うだけですね。リモコンを2つ使って対戦したり、コンピューターを相手に1人で遊んだり、ひたすらミスをしないように打ち返す連続リターンなどのモードもあります。コンピューターを相手にする場合は、熟練度というポイントが設定されていて、勝つたびにポイントがあがり、負けると下がります。熟練度が高いと登場する対戦相手も強くなるので、勝てば勝つほど強い相手と対戦することになります。

今回、WiiスポーツリゾートにはWiiモーションプラスという周辺機器が同梱されています。これはWiiリモコンのお尻に接続することで、Wiiリモコンの複雑な動きを感知できるようになるものです。ためしにピンポンでゆっくりリモコンを動かしてくると、Miiの手元のラケットが見事にリモコンの動きとシンクロします。これを利用して、上から被せるように捻りながら打つとドライブ回転がかかります。逆に掬い上げるように捻りながら打つと、バックスピンがかかります、卓球用語でいうところのカットですね。

最初のうちはとにかく球がきたら振るというだけで遊べます。右に左に打ち分け、カットもドライブも簡単にできます。ただ球を打ち返すだけなのに実に楽しい。しかし、コンピューターとの対戦を進めていくと、途中から急にコンピューターがビックリする球を打ってきます。なんというか、スピードを殺したフワッとした球が飛んでくるのです。今までテンポよくラリーをしていたのが、そのフワッとした球によってタイミングをはずしてきます。

実はここから、このピンポンはさらに面白くなります。

テレビで見た卓球の選手のように振ってみる。

カットの図
もちろん、カットだけではなく、ドライブの応酬なんて展開もできたりします。Miiがピンポン台からドンドン遠ざかり、強烈な球を打ち合うピンポンはなかなか豪快です
フワッとした軌道の正体はカットでした。下から掬い上げるように捻って逆回転をかけると、フワッとした球があがります。しかし、ガイドが普通にカットしてもコンピューターのフワッと具合に及びません。もっとフワッとさせたい……。しかも、カットすると球が横方向にカーブするのですが、この曲がり具合もコンピューターのほうが大きく曲がります。

コンピューターができるのですから、プレイヤーにだってできるはずです。こうなったらコンピューターから技を盗もうとじっくり観察してみました。すると、コンピューターは球がピンポン台の下に落ちそうになるぐらい待ってから打っていました。なるほど! テレビで放送していた卓球の試合で見たことがあります。素人からするともう球が台の下に落ちてしまってるように見えるところから回転をかけて戻す打ち方。試しにギリギリまで溜めて溜めて引き付けてから、手首を捻って打ってみると、見事にフワッとスピードを殺して大きく曲がる球が打てました。

はっと気がついて、今度は台の上で球が跳ねる瞬間を狙って、さっきとは逆にドライブ回転をかけながら打つと、今度は低く鋭い打球で速攻ができます。すごい、楽しい!

ただリモコンを振るだけなのに。

アーチェリーの図
ピンポンだけでもこの完成度。こんなものが12種目も収録されているんですからたまりません
手元にあるのはリモコン1本。しかも、一切のボタンを使わずにプレイできます。ただ振るだけ。にもかかわらず、左右の打ち分け、回転のかけ方、そしてタイミング、スピード。なんという多彩な球が打てることでしょうか。これを駆使して、コンピューター相手ではなく今度は2人で対戦してみると、手に汗握る駆け引きが生まれていきます。

最初はただ振るだけ、ボールを打つだけのゲームでした。リモコンを振ると、画面のMiiが同じように動くことはそれ自体楽しいですし、何より誰でも遊べるくらいに分かりやすい。しかしそこからやりこんでいくと、プレイヤーがやることは振るだけなのに、ゲームは限りなく複雑な展開を見せてくれます。

対戦するたびに、ここが失敗した、今度はああしてみよう、もう1回、となかなかやめられません。気がつけば、体が熱くなり、汗もかいています。翌朝目覚めた時には見事に筋肉痛でした。

本当に凄まじい完成度のピンポン。そしてこの完成度の高さには、任天堂の戦略が隠れています。

みんなのゲーム戦略

Newスーパーマリオブラザーズの図
ニンテンドーDSでは500万本を超える超ヒットのNewスーパーマリオブラザーズ。4人同時プレイでどんなゲームにしあがるのでしょうか(イラスト 橋本モチチ
任天堂がこのWiiスポーツリゾートで挑戦しているのはコアユーザーの獲得です。それも、ただコアユーザーを獲得するだけではなく、今までどおりライトユーザーや非ゲーム層への拡大をしながらの、コアユーザーへの獲得です。つまり、全ての人に遊んでもらえるゲームです。

Wiiスポーツリゾートのピンポンが素晴らしい点の1つは、まず振るだけで遊べること。大人も子供も、ゲームをやる人もやらない人も、誰でも簡単に遊べるのはWiiスポーツの時と同じです。素晴らしい点のもう1つは、繰り返しのプレイに耐えられること。コアユーザーがやりこんだ時、あらたな展開を見せてゲームを複雑にしていきます。しかも、操作そのものは複雑化しないで、です。このことは、ピンポンだけに言えることではありません。Wiiスポーツリゾートに収録された多くの競技で、敷居の低さと、ゲームの奥深さを両立しています。

Wiiはライトユーザーや、ゲームをいままでしなかった人をゲームの世界へ招待しました。しかし、新しいユーザー拡大には目を見張るものがある一方で、従来のゲームユーザーの獲得はイマイチ進んでいない感もあります。その点で、ゲーム機のスタンダードたる地位を獲得してたくさんのサードパーティーから多様なゲームソフトが発売されるニンテンドーDSにはまだ及びません。発売されるタイトル数も、据え置きのトップを走るハードとしては、あまり多くありません。

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この状況を覆すべく、任天堂が打ち出している方針が、1つの商品で全てのユーザーに満足してもらえる、みんなのゲームの実現というものです。この戦略そのものがうまくいくかどうかを判断するには、いま少し時間の経過をみなければなりませんが、Wiiスポーツリゾートという商品は、見事なまでの完成度によって確かにライトユーザーからコアユーザーまで楽しめるゲームに仕上がっています。

このみんなのゲーム戦略で、次に掲げているタイトルがWiiで発売予定のNewスーパーマリオブラザーズWiiです。NewスーパーマリオブラザーズWiiは4人でやれるスーパーマリオということですが、Wiiスポーツリゾートにならうのであれば、これも簡単に誰でも楽しめる操作でありつつ、コアゲーマーをも唸らせる仕上がりを目指すということになります。

任天堂は、本当に難しいチャレンジを選択しています。しかし、これをやり遂げた暁には、WiiはDSに並ぶゲームハードのスタンダードになれるのかもしれません。

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