PSP go発表!

PSP go発表の図
E3で行われたSCEのプレスカンファレンスにて、平井社長じきじきにPSP goを発表しました。
ソニー・コンピュータエンタテインメント(以下SCE)は、アメリカで開催されたゲームイベント、Electronic Entertainment Expo(以下E3)で新型PSPを発表しました。その名もPSP go。それはなんと、UMDドライブが無くなったPSPでした。UMDはPSPのゲームソフトが入っているディスクのことですから、つまり、PSPはゲームソフトを挿入する場所が無くなってしまったというわけです。代わりに16GBのフラッシュメモリーを内蔵し、UMDを挿入する代わりに、オンラインに接続してゲームをダウンロードすることを基本とするようです。思い切ったことをしたものですね。

UMDドライブがないPSPが売れるのか、オンライン販売が拡大すればゲーム販売店はどうなってしまうのか、など様々な議論を呼んでいるPSP goですが、今回ゲーム業界ニュースで取り上げたいのは、PSP goではなく、PSP goと一緒に発表され、PSP goに同梱予定のPC用ソフトMediaGoです。

何故新型ハードではなくPC用ソフトの話をするかといいますと、PSP goが成功するカギは、PSP go自体よりもむしろMedia Goが握っているかもしれないからです。

PSP goは何が変わった?

PSP goの図
下に飛び出しているコントローラー部分は、普段は液晶の裏側にスライドして格納しておくことができます
まず、PSP goが従来のPSPと比べてどう変わったのか、UMDが無くなって16GBのフラッシュメモリが標準搭載されることについてはお話しましたが、その他の要素についても簡単にご紹介していきたいと思います。

UMDドライブが無くなったことにより、本体が小さく、軽くなりました。また、それにあわせて液晶部分も若干従来のPSPよりも小さいようです。アナログパッドやボタンなどの操作部分は液晶の裏側に格納され、遊ぶ時にスライドさせて液晶の下側に出して使います。

その他にも、ゲームを遊んでいる時に、ゲームをスリープ状態にして本体操作を行うゲームスリープ機能、無線ヘッドフォンなどに使えるBluetooth無線機能を搭載。また、動画などを見るときに手で持たなくてもいいようにPSP goを立てることもできる、別売りの充電用クレイドルも発表されました。そして注目のお値段は26,800円を予定しています。

従来のPSPから大胆な変貌を遂げたPSP go。しかし、これらの新しい機能のほとんどが、ゲームを遊ぶためというより、別の目的のために作りこまれているように思います。MediaGoに注目すると、新しいPSPのあり方がみえてきます。

iPodのようなPSP

iPodの図
iPod Touchはタッチパネルを搭載することでゲームコンテンツを大きく取り込もうとしていますが、PSP goは逆にもともとゲームハードであるPSPをiPod側に近づけたような印象です
先ほど紹介した、PSPの新しい機能。正直言って、ゲームハードとしての進化はほとんどありません。しいていうなら、UMDを使わずにフラッシュメモリにゲームをインストールすることで、ロードが減り、動作も静かになることは予想できます。しかしそれも、従来のメモリースティック デュオでも可能なことですし、UMDが使えなくなるというデメリットと引き換えにするほどのことかは微妙なところです。

しかしこれを、マルチメディアプレイヤーとして進化させたPSPだとすると、答えがでてきます。まず、16GBのフラッシュメモリ。音楽や動画をたくさん入れて持ち歩こうと思うなら大容量のフラッシュメモリは重要です。それから常にポケットに入れて音楽を聴くために使うとするなら、液晶サイズを犠牲にしても、本体サイズを小さくすることには意味があります。

ゲームをスリープして本体操作ができることも、マルチメディアプレイヤーならあってしかるべき機能ですよね。無線ヘッドフォンも使えることも、手放しで動画が見れるクレイドルがあることも、音楽や動画を鑑賞するハードとしての完成度を高めています。

そして、こういったマルチメディアプレイヤーとしてのハードの作りこみを、ソフト側からサポートするのが、Media Goなんです。

iTunesのようなMedia Go

Media Goの図
Media GoでPlayStationStoreにアクセスしてコンテンツをダウンロードするのは、iTunesでApp Storeにアクセスするのに近いイメージです
E3でSCEはPSP goを発表するにあたって、ゲームや動画などのバラバラに存在するコンテンツをPSP goに集約して、新しいデジタルライフを提案、実現していくとしました。PSP GoをiPodのような携帯マルチメディアプレイヤーとするなら、ハードウェアだけでは足りません。コンテンツを管理する為のソフト、iPodにおけるiTunesのような存在が必要になります。PSP goにおけるiTunes、それがMedia goです。

MediaGoはPSP go本体に同梱される予定のPC用のソフトです。既に、オンラインで無料ダウンロードすることもできます。これをPCにインストールすると、PC内の音楽、動画、写真などをPSPに転送することができるようになります。また、PCでPlayStationStoreに接続し、PSP用のゲームコンテンツなどをダウンロードすることもでき、遊びたいソフトだけをPCからPSPに転送したり、ゲームのセーブデータをPCでバックアップするなど、PSPで扱うほとんどのデータをPCで管理することができるようになります。

Media Goを使うことで無線LANの環境がなくてもPCを通じてあらゆるデジタルエンターテイメントを管理、転送することができますし、音楽CDをPCで読み込んでPSPに転送することも可能です。こうなると本当にiPodみたいですね。

PSP goの新しい機能とMedia goを使い、あらゆるデジタルコンテンツをPSPに集約して持ち歩く、これがつまり、SCEが提案するところの新しいデジタルライフであると考えられます。しかしこの提案、今回のE3できちんと理解されているのでしょうか?

目的じゃなくて手段が語られているPSP go

色々できるPSPの図
もともとPSPだって色々できる子なんです。でも、実際に使ってもらえるかどうかというのは、また別の問題もあります(イラスト 橋本モチチ
Media GoでPSPのあり方が大きく変化するといった話をしといてなんですが、実は今までもPSPは似たようなことができました。Media Manager for PSPというソフトがありまして、これをPCにインストールしてPlayStationStoreに接続したり、PSPにコンテンツを転送したりすることができました。Media GoはこのMedia Managerの新バージョンとでも呼ぶべきソフトです。また、従来のPSPでもMedia Manager for PSPはもちろん、Media Goも使うことができます。つまり、もともと、PSPでデジタルコンテンツを集約して持ち歩くというのは、可能だったんです。

ただし、できるということとユーザーがやるということには大きな違いがあります。今まではPSPはやっぱりゲームを中心に据えて作られたハードですし、そういう売り方をしてきたんです。Media Managerの存在も、おそらくはごく1部の詳しいユーザーしか知らなかったでしょう。

そこにPSP goが登場し、Media Goを同梱し、新しいPSPのあり方、デジタルコンテンツを集めて持ち歩くハードだという打ち出しをしました。おそらくはアップルがiPodで音楽やゲームやアプリケーションのダウンロード販売に大成功している北米市場を狙ってのことでしょう。今度こそ、広く、訴えかける必要があります。新しいデジタルライフとはどんなものであるのか。誰が、何の目的で、どんな風にPSP goを使うのか。それがなくては、UMDが無くなっただけのPSPにも見えてしまいます。

しかし、今回のE3ではその部分がすっぽり抜けていました。もちろんPCを使ってPSPにコンテンツをダウンロードする方法としてMedia Goは紹介されましたが、扱いは決して大きくありません。従って、PSP goがどうやってエンターテイメントを集約していくかも強調されず、PSP goとMedia Goを組み合わせた新しいPSPの使われ方、ライフスタイルの具体的イメージが伝わってきません。

結果的に、多くのメディアで流れたのは、UMD廃止、小型化、ゲームソフトのオンライン販売、高くなった価格といったものばかりが中心で、ちっとも新しいデジタルライフというところに焦点があいません。

本来はSCEのいう新しいデジタルライフがどんなに魅力的なものであるか、業界関係者や、メディアや、その先のユーザーにプレゼンテーションされるべきで、UMD廃止や小型化やオンライン販売は、あくまでその手段であるはずです。このことは、PSP goという商品の存在理由をあやふやにしているようにも感じます。

これは販売戦略の第1歩としては、かなりマズイ状態かもしれません。とは言え、まだ発売まで半年近い時間があります。今後、PSP goがその存在意義を強く打ち出し、新しいデジタルライフというものを見せてくれることを期待して、動向を見守りたいと思います。

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