2009年3月はPS3が据置ハード売上げトップ!

バイオハザード5の図
Wiiを抜いて月間販売台数でトップに立ったPS3。前に逆転したのは1年以上も前になります
任天堂の失速を懸念するような内容の記事が、ここ最近ゲーム関連ニュースサイトなどでいくつか掲載されています。それは主にWiiに対するもので、大きな根拠となっているのは2009年3月の月間据置ハード売上げでしょう。Wiiは約10万台、PLAYSTATION3(以下PS3)は約15万台で、PS3が据置ハード売上げトップの座をWiiから奪っています。

この結果を見て、WiiスポーツやWiiFitで非ゲーム層を取り込んだWiiのブームが失速しつつあると懸念するような声もありますが、それはさすがにちょっと早計な気がします。しかし、これはWiiが発売以来抱え続けている弱点が表面化した出来事でもあるように思います。逆転に至った経緯などを整理しながら、お話していきたいと思います。

龍が如く3とバイオハザード5で3倍

バイオハザード5の図
バイオハザード5はXbox360とのマルチですが、国内では4倍ほどの差をつけてPS3版の方が売上げを伸ばしています
まず、PS3の約15万本という数字がどういう数字なのかをお話したいと思います。分かりやすいのは2009年2月のPS3の売上げとの比較だと思うのですが、これが約7万台です。2倍以上の伸びですから、大躍進と言っていいでしょう。2009年2月の数字が特別低かったというわけではなく、2008年の年末商戦以前はもっと低い水準でした。ちなみに2008年10月の販売台数は約2万台です。さすがにちょっと寂しいですね。

この勢いを作り上げたのは、なんと言っても大型タイトルの発売です。2月末に発売されたセガの龍が如く3、そして3月頭に発売されたカプコンのバイオハザード5がハードを大きく牽引していると思われます。両者共に販売本数40万本を突破。龍が如く3はメタルギアソリッド4 ガンズ・オブ・ザ・パトリオット(以下MGS4)に次ぐPS3ソフト売上げ歴代2位、そしてバイオハザード5は歴代3位となりました。

サードパーティーの大作ソフトが市場に連続投入されたことで大きく数字を伸ばしたPS3。単発に終わらず、この勢いを維持して盛り上げ続けることができるかどうかが今後の鍵となりそうです。一方、Wiiの動きはどうだったのでしょうか。


年末年始商戦以降、動きが停滞している任天堂陣営

大乱闘スマッシュブラザーズXの図
2008年前半は、大乱闘スマッシュブラザーズX、マリオカートWiiと、任天堂の大作が立て続けに発売されたことで、市場が盛り上がっていました
今度はWiiの約10万台という数字について、考えてみたいと思います。同じように2009年2月の数字と比べてみると、こちらは約9万台。僅かに2009年3月の方が伸びていますが、あまり変わりません。これは2008年の年末商戦前とも同じ水準で、2008年10月の売上げを見てみると約10万台。つまり年末年始商戦を除くと2008年秋からほぼ横ばいです。

問題は、この10万台前後で横ばいという数字の見方です。2008年秋から比べると横ばいなのですが、それ以前から比べると、10万台程度に落ち込んでいるという言い方ができます。例えば2008年2月には30万台以上、2008年3月には25万台以上をWiiは売り上げています。2007年末に発売されたWiiFitの爆発的ヒットが継続的に続き、なおかつ2008年1月末には大乱闘スマッシュブラザーズXが発売、任天堂の有力タイトルが間を空けずに投入されることで、大きくハードを牽引していました。

それに比べると、2008年に発売されたWiiMusicや、街へいこうよ どうぶつの森はWiiFitほどのインパクトはなく、その後の展開もゲームキューブのリメイク作品であるWiiであそぶシリーズなど、スマッシュヒットはありますが、ハードを大きく牽引するタイトルは投入できていません。年末年始商戦以降の任天堂陣営の戦略が緩慢であることが市場にそのまま反映された形だと言えます。

本当はドラクエ9が盛り上がっているはずだった

ドラゴンクエスト9の図
ドラクエ9ほどの大型タイトルになると、ソフト単体だけの問題ではなく、ハードの販売戦略にも大きな影響を及ぼします。
2009年にはいると、任天堂の動きが鈍くそれがWiiの売上げに反映されているというお話をしてきましたが、それはもしかするとある程度は織り込み済みのことだったのかもしれません。というのは、任天堂の戦略に1つ誤算があったことが考えられるからです。そもそも春休み商戦でWiiは存在感を出すつもりがなかった可能性があります。そう、本来の主役はドラゴンクエスト9(以下ドラクエ9)とニンテンドーDSi(以下DSi)だったはずなんです。

今、テレビをつければDSiのカラーバリエーションのCMが大量に流れています。おそらくは、この新色と、ドラクエ9の相乗効果に注力して、一気にDSiを盛り上げる、というシナリオだったはずです。それがドラクエ9が2009年3月から2009年7月へ発売延期してしまった為に、盛大にズッコケタ形になり、Wiiの不調だけが浮き彫りになってしまいました。

春休みにドラクエ9で携帯機が大きく盛り上がり、続いてWiiリモコンの性能を高めるアタッチメント、Wiiモーションプラスを同梱したWiiスポーツリゾートで話題を作り、そして夏にはモンスターハンター3(以下モンハン3)という綺麗な流れが崩れたことで、任天堂はなんだか何も手を打っていないような印象すら感じます。

そこにタイミングよく、PS3でサードパーティーの大作ソフトが立て続けに発売され、逆転劇がクローズアップされた形になりました。この出来事にはWiiの強さと、そして弱点が示唆されているように思います。

良くも悪くも、任天堂頼み

モンスターハンター3の図
サードパーティーの大作ソフトとして期待がかかるモンスターハンター3。Wiiにサードパーティーのマーケットを構築するきっかけとなれるでしょうか
さて、任天堂の動きを説明する為に、ドラクエ9の延期のお話をしましたが、本来この延期で影響を受けるのはWiiではなく、ニンテンドーDS(以下DS)であるはずです。では3月のDSの売上げはどうだったのでしょうか? これがなんと、約29万台を販売して、携帯機、据置機あわせてトップを走っています。大躍進をしたPS3のさらに倍。王者の風格ですね。

もちろん本体カラーバリエーションの追加の影響があると考えられますが、それにしても凄いの一言。ドラクエ9の延期なんて何処吹く風です。つまりDSは超有名キラータイトルの延期ぐらいでは揺るがないほど磐石の態勢で売れているということが言えます。任天堂がビッグタイトルを発売しなくても、ドラクエ9が延期しても、それを補って余りあるぐらいたくさんのタイトルがあり、ユーザーを魅了しています。

逆に、Wiiは、任天堂がちょっとドラクエ9にあわせてDSの方へ注力し、手薄になるとたちまち売上げを落としてしまいます。Wiiで発売されているゲームタイトル、特に任天堂以外のメーカーのソフトがまだまだ少ないことが大きく影響していると考えられます。

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任天堂の、特にライトユーザー向けのビッグタイトルは長期的に売れる傾向があります。WiiFitも、マリオカートWiiも、いまだに売上げを伸ばしています。おそらくはそういった下支えも影響して、売上げが落ち込んでも10万台程度を保てるという状況だと思います。その意味で、冒頭でもお話したとおり、Wiiの売上げが多少落ちているからといって、Wiiの失速を語るのは早計でしょう。むしろ競合のPS3やXbox360と比較した場合には、ビッグタイトルが無い時に売上げが落ちるのは同じでも、任天堂のロングランタイトルがある分まだ安定しています。

ただし、Wiiの市場がこれから成熟して行く為には、サードパーティータイトルの充実が欠かせないことも、はっきりとしたのではないでしょうか。DSの時のようなサードパーティーの市場構築が必要だと言われ続けながら、既に発売から2年以上の月日が過ぎています。いかに今の任天堂が業界で追随を許さない力を誇っているといえども、やはり1社ではどうしても穴があいてしまいます。良くも悪くも任天堂、その状態から抜け出した時に、Wiiはさらなる発展を遂げるのではないでしょうか。

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