9月から配信開始されている、PS3のアニメ配信サービス。
これはPS3からオンラインで決済し、いつでもアニメが視聴可能になるという便利なものである。
注目は何と言ってもPS3オンリー配信の『亡念のザムド』。『鋼の錬金術師』や『エウレカセブン』を製作したボンズの新作とあって、注目度がかなり高いアニメである。
さて、実際問題PS3のアニメ配信サービスはどんなものなのだろうか?

割高だがマジ便利!

おなじみPlayStation@Store。ここを見るだけでも結構な時間がかかる。
PS3の動画配信サービスはPlayStation@Storeにある。
Storeの一番上にはビデオのタグがあり、こちらをクリックするとページが横に回転して動画配信のページに切り替わる。これはちょっとかっこいい。
テレビ放送されたものやOVA、劇場作などでジャンル分けされ、人気作のわかるダウンロードランキングも用意されている。
今回は注目作の『亡念のザムド』をダウンロードしてみよう。

『亡念のザムド』は現在、1週間に2話ずつ配信されている。テレビ番組より配信スピードが速いのはありがたいし、観たいときに観れるというのはかなり便利だ。レンタルDVDのように返却の手間もない。

このサービスは一度ダウンロードしたら30日保持され、最初の視聴から72時間は観る事ができる。
言い換えると30日以内には観ないといけないし、再生し始めたら72時間以内には見終えないといけないわけだ。
ちなみに一度試してみたのだが、30日後に視聴を始めても、そこから72時間見れるというわけではない。きっかり30日前にダウンロードした時間が来ると見れなくなるので注意されたい。

ちなみに『亡念のザムド』の視聴料はHD版で400円、SD版で300円。HDは720pのハイビジョン画質でSDは480pのDVD画質となる。音声はどちらも5.1chに対応する。
オンラインレンタルというサービスを考えても、DVDなどのレンタル価格と比較して高いという意見が多いし筆者もそう思う。

実際、レンタルDVDの価格はかなり下がってきているし、PCでの動画視聴サービスは1話105円のものが多い。
だが、最近のTVが対応してきているアクトビラというオンラインレンタルサービスでは、30分アニメで210円というものがほとんど。TVの大きな画面で視聴できるという利点を考慮しての値段だと言う。
事実、PS3のサービスで『亡念のザムド』以外のTVシリーズは200円で配信されている。

これは完全新作でありPS3独占配信の『亡念のザムド』が特別だということだろう。
どうやら、この作品はオンラインレンタルというよりPPV(ペイ・パー・ビュー)方式と見なしたほうがよさそうだ

PPVってなに?

最初の再生から72時間以内なら、何度でも再生できる。
PPVとは、観たい番組に対して金額を支払って視聴するというタイプの番組。
有名なところではスカパー!で放送された『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX』がある。同作品は後にDVDになり、TVでの無料放送もされている。

通常のような、TVシリーズで放映されたものをDVD化するのとはビジネスモデルが異なり、まずは番組が有料放送されるということである。早めに観たいなら有料放送でね、というわけだ(ちなみに『亡念のザムド』のメディア化の情報は現在出ていない)。
 
『亡念のザムド』が『攻殻機動隊』と同じような道を辿るなら、まずはPS3での有料配信、その後BDやDVDのパッケージとして販売されることになるだろう。
とすると、今1話400円を払って観るか、後のメディア化に期待して我慢するかだが…。
アニメファンなどはコンテンツを保持していたいという欲求が強いと思われる。熱心なファンであれば「どうせパッケージ版を購入するからそれまで我慢しよう」ということになりそうだ。
何せ26話全部視聴すると10,400円。
コレはちょっとした出費だ。
後に予想されるBlu-rayDiscBOXなどを考えると、この時点で支払うのがちょっと躊躇われてしまう(くどいようだが、メディア化の情報はまだない)。

せめて、配信と配信の合間の1週間は観られるようにするとか、価格的なメリットを打ち出すとか、1話を無料配信するとか、そういった方向での「PS3なりの良さ」が感じられるようなものだと良いのになぁと感じた。

視聴は快適。何せ止め処ない!

で、実際に視聴してみた。
しかし、30分アニメが1話400円。新作Blu-rayDiscのレンタルとあまり変わらない。
照明を消してアンプの音量を上げ、飲み物を用意し、お手洗いも済ませ、厳かな気持ちとなって最良のコンディションでの視聴を心がけた。

結論として、このアニメの完成度は凄い。
背景の書き込みからアクションシーンの躍動感、これはテレビシリーズでは味わえないクオリティーの高さだ。解像度は720pとフルハイビジョンではないが、十分に精細感が味わえる。
唯一音声が物足りないと感じた。
発表時には5.1chと明記されていたはずだが、さて、迫力不足ではないか? …と思っていたが、△ボタンで設定画面を呼び出して音声を切り替えたらしっかりと5.1chで再生された。この辺は説明が少なく、若干不親切だと思う。
5.1ch対応アンプであれば音圧も音場も十分、映画のような迫力が味わえる。

家族で1話を視聴したが、そのまま「後1話ね!後1話だけね!」と言って続きをダウンロード。
ちなみにダウンロードしながら再生もできるが、回線速度が不安なら「バックグラウンドでダウンロード」を選んでから、ダウンロード中のものも再生可能だ。
XMBの「ダウンロード状況」の中の該当ファイルで△ボタンを押して「再生」を選ぶことで再生できる。

しかし、この手軽さは逆に怖いものがある。
続きが観たいと思ったらタイムラグなしだ。レンタル屋さんに走る必要もなく、ボタンをポンポンポンと押せば続きが観れてしまう。
今は『亡念のザムド』も各テレビシリーズも、途中までしか配信されていない。
これがしばらくして全話配信になったらとめどなく観てしまいそうである。

また、先日実施されたアップデートも快適な視聴に一役買っている

万能動画再生機、それがPS3

シーンサーチは本当に便利。残念ながらBDやDVDなどには適用されない。
10月15日から提供が開始されたPS3のファームウェアVer2.50では、動画関連機能が強化されている。
従来対応していなかった連続再生に対応したのも大きいが、特筆しておきたいのはシーンサーチという機能だ。

シーンサーチとは、動画を一定間隔で区切って好きなところから再生できるという機能。
動画再生中に□ボタンを押すと画面下部に1分刻みのサムネイルがズラーっと並ぶ。左右で再生開始したい部分を選んで○ボタンを押すとそのシーンから再生開始になる、という感じである。

これは非常に便利な機能だ。
特に配信サービスの動画はチャプターが切られていないので、目的のシーンを探すのに苦労することがある。そういうときに□ボタンをポン、と押すだけで呼び出せるのは便利だし、シーンの間隔は上下ボタンで簡単に変更できる。

また、PS3特有の機能としては動画のアップコンバートがあげられる。
DVDやHDD内のSD画質の動画に対して1080pまでアップコンバートしてくれる機能だが、コレの性能が非常に良いため、SD画質の動画配信でもかなりの精細さを感じることができる。

現状、PS3は動画再生の万能機と言えそうだ。
惜しむらくは配信動画のラインアップ。
『マクロス』『ガンダム』『鋼の錬金術師』『天地無用』などなど…豊富なラインアップとは言え、アニメだけというのはなんとも寂しい。
テレビドラマや映画、ライブなどのコンテンツをどんどん追加して、さらにPSPで簡単に視聴できるようになれば、コレはもう新しいソリューションと呼べることだろう。

ラインアップと認知度の向上に期待

PS3の動画配信サービスは、基本的な使い勝手としてはまったく問題のないものと言えそうだ。
値段の高さがネックだが、一度設定してしまった価格はなかなか変わらないかもしれない。だが、旧作の価格を下げるなどの思い切った戦略に期待したい。

どうしても動画配信はインターネットのインフラを利用するため、ビットレートに問題が残る。
よく地上デジタル放送された作品とBlu-rayDiscなどのメディア化された作品の画質比較が話題になるが、基本的にはPS3の動画配信も地上デジタルレベルのレートといえそうだ。つまり、Blu-rayDiscの作品と比べると圧縮率が高いと言える。

パッケージ品のように手元に残るわけでもないし、画質も最良というわけではない。

ならばパッケージ品ともレンタルとも違うサービスとして、消費者の手に届きやすい価格にする必要があるだろうと思う。安価で手軽なサービスと認知されれば、かなりの競争力を持つプラットフォームに成長するだろう。

そうすれば最終的に、動画共有サイトの違法アップロードへの牽制になると思うのだが。

(奇しくも、同じアップデートにより多くの動画共有サイトが利用できるFlash9に対応したのである)
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