購入顛末記

3月1日。この日にはどうしてもほしいソフトがあった。『ガンダム無双』である。PS3は持っていても遊ぶタイトルが少ないと常日頃から感じていた私にとって、『無双シリーズ』の新作が出ると言うだけでも大ニュース。しかも今回は『ガンダム無双』。どんな無茶な世界が繰り広げられるのかと、楽しみで仕方がない。

まずはゲームショップに入る。
PS3の売り場はWiiの売り場の裏である。
すっかり日陰者気分で裏に回りこんで『ガンダム無双』のジャケットを手に取る。
…?
待てよ。
帯には真っ赤な字で『新品:売り切れ中』とある。

ぴ。
PS3のソフトが。
売り切れております!(テンション急上昇)

PS3が発売されて3ヶ月余、初めての体験である。
ぴ、PS3、わりといけてるんじゃないですか?
いつの間にここまでの負け癖がついたのかわからないが、こうなると売り切れを示す空のパッケージにも後光が射して見える。

これで一気にテンションが上がり、近所のほかのゲームショップを訪れた。
なんとここも売り切れ!
脳裏に「2連チャン」と言う言葉が過ぎった。何故かは良くわからない。

そのままのテンションで3軒目までハシゴしてみると、そこには『ガンダム無双』が4本。微妙に残念な気持ちになりつつ、そのパッケージを手にレジに進んだのだった。

『ガンダム』も『無双』もご存知の方は次のページに進むべきだと思う

 
発売中:7,800円:バンダイ
と言うわけで『ガンダム無双』です。
『機動戦士ガンダム』のキャラクターで『無双』をやるから『ガンダム無双』です。なんという堂々としたネーミングでしょう!
そこには開発陣の一点の迷いも感じられません。

『ガンダム無双』は数多くのガンダムゲームを生み出してきたバンダイナムコと、『真・三國無双』『戦国無双』などの『無双』シリーズのコーエーがタッグを組んで作り出したアクションゲームです。
『真・三國無双』はPS2で4作品(と膨大な派生作品)が発売された、三国時代をモチーフに作られたアクションゲーム。『無双モード』と呼ばれるメインモードでは、多彩な登場人物の中から主人公を選び、そのキャラクターのストーリーを追う形でゲームが進みます。

特徴的なのは箱庭的なステージ。刻々と変わる戦況を判断しながらその中を駆け回り、敵武将を倒したり、補給を断ったり、自軍の武将を助けたりするわけです。

さて、ガンダムと言う素材は『無双』には合うのでしょうか?

こりゃ面白い!

 
山のように出てくる雑魚キャラを薙ぎ倒すのはまさに一騎当千の爽快感! ニュータイプ気分を手軽に味わえます。
結論から言えば「改善点はあるけれどこの無双は大いにアリ!」の一本。まずはオープニング。宇宙を埋め尽くす大量のザクでひとしきり笑いました。この時点で「ガンダムのリアリティーを失わないように気をつけて製作した」と言う匂いはまったくしません。変に気を使うより、まずは無双らしさを追求しようと言うことでしょう。

ゲームモードは『機動戦士ガンダム』『機動戦士Zガンダム』『機動戦士ガンダムZZ』それぞれのストーリーを追う「オフィシャルモード」、そして様々なガンダム作品から主要登場人物が参加する「オリジナルモード」がメイン。

この作品のオススメは「オリジナルモード」なんですが、やはり馴染んだガンダムがどう料理されているのかが気になると言うことで、まずは「オフィシャルモード」の主人公、アムロを選んでみました。
その後の内容は『真・三國無双』ファンにはおなじみのもの。ブリーフィングでステージの勝利条件、敗北条件、戦況などが説明されます。

もともと『真・三國無双』は同じ戦場、同じ戦況を様々な武将、様々な立場で攻略すると言う楽しみを持った作品でした。
その点ガンダムには名場面と言える戦場が多く存在し、それぞれの状況で魅力的なキャラクターがどう行動し、どう感じたかを追体験するのに『真・三國無双』のシステムはピタリと合致してるように思います。

ガンダムを駆るアムロのファーストステージは、原作ファンにもおなじみ「オディッサ作戦」。
フィールドと呼ばれる拠点で敵を蹴散らすとフィールド耐久力が下がり、これをゼロにするとそのフィールドは制圧したことになります。これが今回の作品では戦略のキモになっており、隣接するフィールドは強化し合うのです。

隣接する敵軍フィールドを分断することでフィールドを孤立させ、逆に自軍のフィールドを隣接させることで戦局を有利に展開していきます。
同時にランバ・ラル、黒い三連星などおなじみのキャラクターが登場して常に変化していく戦局でもっとも有効な行動を選択していくことが重要なのです。

まぁ、基本的にはフィールドを制圧しつつ「どこそこでだれそれが現れた」と言われれば制圧に向かい、「どこそこでホワイトベースがピンチ」と言われれば援護に駆けつける、と言うことになるわけです。

バッサリ感はガンダムでもバッチリ再現

 
要所要所で出現するライバルとの名場面を体験できます。「お、俺を踏み台にしたっ!?」
『真・三國無双』では刀だった近接戦闘ですが、もちろんガンダムではビームサーベル。面白いようにザクをバッサバッサ切り倒せます。

やはり「ガンダムならビームライフルじゃないのかなぁ」などと一瞬頭を掠めますが、実際問題ビームライフルは物量の前には無力です。目の前にはザクの山。悠長に遠距離からビームライフルでチビチビ倒すよりダッシュで突っ込んで蹴散らしたほうがよほど効果的。
この辺の違和感は人によっては残るかも知れませんが、コンセプトが「爽快なガンダム」なわけなので楽しんだ者勝ちでしょう。「こんなのはガンダムじゃない」と感じる原典主義なユーザーは手を出さないほうが無難かも知れません。

今回の「大量のザクを切りまくる」と言う爽快感を再現するためには、おそらくPS3の映像能力が必要だったことでしょう。
正直ガンダムやザク一体一体のディティールはそれほど綿密ではありません。リアル系では『機動戦士ガンダム ターゲット・イン・サイト』と言う作品があるわけで、あちらで楽しむのが吉。
今回はとにかくザクやジムが画面を覆いつくし、さらにそれらをコンボ攻撃やSP攻撃(無敵時間のある必殺攻撃、従来作の無双乱舞に相当する攻撃)などでなぎ倒して進むと言うカタルシスが重視されています。

プレイの上でも従来作にはなかったダッシュが採用され、非常にスピーディーな戦いが可能になっています。
いたるところで敵味方が入り乱れているのは戦場の混乱を非常に良く現しています(わりと棒立ちの機体が多いのは気になるところですが)。その混戦状態の戦場を、圧倒的な戦力と機動力で立ち回るのが今作の醍醐味なのです。

守備隊長、エースパイロットは侮るな!

 
SP攻撃の使用タイミングが命運を別けます。ご利用は計画的に!
雑魚敵の見事なやられっぷりとは対照的に、一部のフィールドを守る守備隊長、または固体の戦力が桁違いのエースパイロット級のキャラクターはなかなか歯ごたえがあります。
雑魚キャラクターがほぼ棒立ちなのに比べ、エースパイロットたちはしっかりとガードをし、隙を突いてSP攻撃を仕掛けてきます。
今作で始めて無双系アクションに触れるユーザーは少し戸惑うかも知れません。
基本的には
○防御をしっかりと固める
○周りの雑魚キャラクターを倒してSPゲージを溜める
○距離をとってビームライフル(チャージ攻撃)で牽制する
○自分の体力がなくなってくる(ゲージが赤くなる)とSPゲージが自動で溜まるので、逃げ回ってSPゲージを溜めつつ隙を見てSP攻撃を仕掛ける
などの戦法が有効です。

ちなみにエースパイロットとしてアナベル・ガトー、ジョニー・ライデンなどと戦えるなど、ファンにはたまらない演出も。
艦隊と直接戦闘が出来ないのは残念ですが、コンセプトから言っても仕方ないかも知れません。

「オフィシャルモード」は原作の名場面などを凝縮したものになっており、正直物足りなさを感じます。出来れば短いステージを含めてしっかりとストーリーを追ってプレイしたかったと思います。

が。

このゲームの真の醍醐味は「オリジナルモード」にあったのです!

あはは、こりゃむちゃくちゃだ

 
中でも『Gガンダム』のはまり具合は絶妙!
オリジナルモードは『機動武闘伝Gガンダム』『新機動戦記ガンダムW』『∀ガンダム』からも主人公が登場し、『ガンダム無双』のみのオリジナルストーリーが進行します。

これはもうある種シュールです。
謎の惑星を舞台に、各キャラクターの個性がぶつかり合うような展開を見せます。作品の垣根を越えて会話が成立する様はある種のカタルシスを感じます。
比較的最近の作品、いわゆる平成ガンダムを視聴した層にはたまらないシチュエーションではないでしょうか。特に原作自体が格闘がテーマと言う異色作『機動武闘伝Gガンダム』のハマり具合は絶妙です。

ガンダムファン、無双ファンに捧ぐ!

 
これはもうお祭り感覚で楽しむのが良いでしょう。ありえないシチュエーション、ありえない台詞のやり取り。一部のキャラクターと機体の組み合わせでは気の利いた台詞も。
本作は「ガンダムのキャラクターで無双をやる」と言うお祭り的な要素を非常にうまく消化した良作だと言えます。「かつてない爽快なガンダムを!」と言うキャッチコピーはまさに体現されていますし、無双のシステムを求める層にも訴求できる完成度には達成していると言って良いでしょう。

ですが良作なだけにいくつか残念な点も。

ガンダムファンとしては、「オフィシャルモード」のダイジェスト的な作りはやや残念なものがあります。それぞれの作品をもっと丁寧に再現して、なおかつ『逆襲のシャア』などを網羅していたら登場人物や舞台が時と共に移り変わる様を表現できたでしょう。
また、無双ファンとしては連続攻撃の種類が少ないなど、少し練りこみ不足を感じる点はありました。
結果としてはそれぞれのファンに少しずつ残念な点があると言う感じでしょうか。

しかし、起動時のロードが済めばほぼストレスレスの読み込み時間、強引に宇宙空間を表現してしまった点など評価する点も多く、『真・三國無双』でおなじみの追加ディスクなどの登場も期待してしまいます。

本作はPS3の可能性を感じさせると言った点でも興味深く、ボリュームの面でも遊び応えはかなりのもの。特に「オフィシャルモード」をアムロでクリアしたとき、あの人が選択できるようになった時点で思わずガッツポーズしてしまいました。その後もクリアするたびに新しいキャラクター・要素がオープンしていくのはやりがいを感じます。

同時に「これならあれも実現してほしい」「これも実現してほしい」というリクエストが無限大に出てきてしまいました。
宇宙世紀モノのみに絞って、ケンプファーやデンドロビウムを操作できる無双…もしくは『機動戦士ガンダムSEED』版の無双…いちユーザーとして非常に興味があります。

というわけで現在のPS3では圧倒的にお勧めできる良作です! 次回作への期待も含めてぜひ体験していただきたい!

ガンダム無双



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