ゼノサーガ レビュー

2002年2月28日、ファンの大きな期待を背負ってナムコから発売されたRPG『ゼノサーガ』。このタイトルはスクウェアから発売された『ゼノギアス』のシリーズ作で、宇宙創生にまつわる壮大な物語がウリ。RPGとしては珍しいスペースオペラタイプのストーリーになっています。

一般的には、RPGと言うとファンタジーが主流。その他の設定(現代、SFなど)はどちらかと言えば亜流と言えるでしょう。

読者の皆さんも、スペースオペラと言うと普段あまり親しみがないかもしれません。かく言う僕もあまり詳しくないので、今までスペースオペラの映画やゲームなどは敬遠していました。

が、『ゼノサーガ』をエンディングまでプレイしてみると「ガンダムを見て育った世代なら何とか楽しめるかも!」と言う感じ。『スターウォーズ』などの古典SFを楽しめた人でもある程度楽しめそうです。

レーザービームが飛び交う派手な艦隊戦、小型ロボットが活躍する戦闘など、サイエンスフィクションの魅力がふんだんに散りばめられ、映像的にも見所はたくさんあります。

ですが! このゲームを楽しむためにはいくつかの注意点があるのです。安易に手を出してしまうと「騙された!」と言うことになってしまう恐れもあります。実際僕にはいくつか納得できない点がありました(それってゲームとしてどうなのよ?参照)。

今回はこれらの注意点をふまえながら『ゼノサーガ』の楽しみかたを検証してみましょう。



プレイ感は「まぁまぁ楽しめる」。だが油断するな!

ゲームをスタートさせると、早速綺麗な画像に目を奪われます。宇宙船などは3DCGがよく合うようです。キャラクターの表情がわかりづらく、若干マネキンっぽいのが気になりますが及第点ではないでしょうか。

しかしここでポイントが一つ。主人公がメガネをかけた美少女という点です。アニメ絵が嫌いな人はここで拒絶反応がおきるかもしれません。僕はちょっと引きました。

そして、ゲームがスタートしてもなかなか自分を操作することができません。ここでもポイントがひとつ。基本的にストーリー志向のゲームなので、イベントがやたら長く作られています。

去年発売された『ファイナルファンタジー10』もストーリー志向でしたが(ここでレビュー記事が見れます)、『ゼノサーガ』はよりストーリー志向が強まっています。ひどいときは30分くらい何もさせてもらえませんでした。

以上の点で、「ストーリー重視でアニメっぽいつくりのものがダメ」という人は避けたほうが無難でしょう。逆に「RPGはシナリオが決め手」「アニメに抵抗がない」といった人にはおすすめできます。

ゲームはキャラクターの会話などにより物語が語られるイベントシーン、キャラクターを操作して移動などを行うクエストシーン、そして戦闘シーンに分かれます。感覚としては「イベントシーンの合間にクエストシーンがある」といった印象。あくまでストーリーを語るのが主軸で、ゲームは2の次という感じがします。

しかし、戦闘や成長のシステムはよく作られていると思います。戦闘自体は前作『ゼノギアス』を髣髴とさせる作りですが、今回は「ブースト」という独特のシステムがあり、これが非常に特徴的なのです。


ゼノサーガはSFマニア専用RPGなのか?(このページ)
練られた戦闘と成長、しかし終盤はやや単調に
それってゲームとしてどうなのよ?
そうならそうと最初に言って欲しかった

(c) 2001 NAMCO LTD., ALL RIGHTS RESERVED


練られた戦闘と成長、しかし終盤はやや単調に

戦闘は『ファイナルファンタジー』などでおなじみの、キャラクターが敵と対峙して、素早いキャラクターから行動していくというもの。しかし『ゼノサーガ』独自の要素がいくつかあります。

今回はその中の「ブースト」を紹介しましょう。各キャラクターが攻撃をすると「ブーストゲージ」というゲージが溜まります。「ブーストゲージ」が満タンになると「ブースト」という能力が使え、「敵の攻撃や味方の攻撃の直後に割り込んで行動する」ことができます。

攻撃をすればブーストゲージが溜まり、さらに攻撃のチャンスが増えるというわけです。ただし敵もブーストを使ってくるので、大事なときに割り込まれて攻撃を受け、一気にゲームオーバー…なんてことも起き得ます。このシステムは独特の緊迫感と爽快感があって面白いと思いました。



成長システムがまた独特で、一般的なRPGと同じように経験点でレベルを上げるほかにエーテル(魔法のようなもの)や必殺技などを個別に成長させることができます。

戦闘で得られるE.PT(エーテルポイント)やT.PT(タレントポイント)などを使い自由に成長させることができるので、バランスよく成長させることも一つの技にこだわって成長させることもできます。

ただし、成長に自由度があるわりに「敵に有効な攻撃」がある程度決まっているので、終盤戦がややワンパターンになりがちなのは気になりました。後必殺技の演出が長いのがテンポを悪くしているように感じます。

ビーム兵器などで敵を倒すのはロボットアニメやSF映画が好きな人にはたまらないでしょう。このゲームではロボット(A.W.G.Sと呼ばれています)があまり強くないのでそっちの活躍は期待できませんが、ムービーなどではその勇姿を堪能することができます。



豪華なミニゲームはハマルこと間違いなし?

特筆すべきなのはオマケのミニゲームが充実していること。特にカードゲームはそれだけで一本のゲームが作れそうな完成度です。ゲーム中に登場するA.W.G.Sで対戦ゲームのようなミニゲームも遊べます。

カードゲームがRPGのミニゲームに収録されるのは定番ですが、『ゼノサーガ』のものはかなり本格的です。思わず本編そっちのけで没頭してしまいました…。他にもカジノがあり、ポーカーやスロットが遊べます。こちらもかなり作りこまれていました。

ここまでの説明を整理すると、『ゼノサーガ』は「アニメ的な演出があるシナリオ志向RPG」であり、クセのある戦闘や豪華なミニゲームなどが楽しめるゲームと言えそうです。しかし僕はゼノサーガを気軽にオススメする気にはなれません。それには次のページで語る、いくつかの理由があります。


ゼノサーガはSFマニア専用RPGなのか?
練られた戦闘と成長、しかし終盤はやや単調に
それってゲームとしてどうなのよ?
そうならそうと最初に言って欲しかった

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それってゲームとしてどうなのよ?

まず最初にRPGとして大いに疑問に感じるのが、「スペースオペラというジャンルとRPGとの食い合わせの悪さ」です。

過去、ファンタジー以外のRPGはいくつか発売されています。『スターオーシャン』シリーズがSF、『マザー』シリーズが現代、『俺の屍を超えていけ!』が中世の日本を舞台にしていますが、本格的なスペースオペラというのはあまりありません。

スペースオペラというと「宇宙を舞台にした壮大な叙事詩」といった印象があります。『スターウォーズ』などの映画でも見所の多くは宇宙での艦隊戦や戦闘機でのドッグファイトでしょう。

対してゼノサーガはRPGの基本を踏まえ、人(或いはサイボーグ、アンドロイドなど)が地上で戦闘します。艦隊戦などもありますが、それらはムービーで流れるだけでプレイヤーは関与することができません。必然的に、ストーリーの上で重要となる大掛かりで派手な戦闘は「見ている」だけ、ということになります。

主要キャラクターが自分の手を離れ、戦闘機を駆って緊迫感溢れる宇宙船を繰り広げているのを「コントローラーから手を離して」眺めているのにはゲームとしての違和感を感じずにはいられません。



ゲームを進める上での明確な目的の欠如

それに、ゲームをスタートしてからというもの主人公はいろいろな勢力の思惑に踊らされてストーリーが進んでいくのですが、ストーリーを進める上でプレイヤーの目的意識がほとんどありません。

シナリオ志向で有名な『ファイナルファンタジー10』ではゲームを通じて「ヒロインを守る」という「目的」がありました。が、ゼノサーガは単に事件に巻き込まれるだけなのでいつまでたってもゲームを進める意欲が湧きません。ストーリーの多くが謎で包まれていることもあり、主人公が何をしたいのかさえも明かされないままなので感情移入もほぼ無理でしょう。

これらの点から、ゼノサーガは作品としては「スペースオペラアニメにRPGをくっつけた」だけと言わざるを得ません。ゲームとしての統合性に著しく欠けると言えるでしょう。なので、ストーリーの続きが気になるという人じゃないとゲームを続ける意欲は保てないかもしれません。



それってシリーズ作としてどうなのよ?

一般的には『ゼノサーガ』は『ゼノギアス』の続編である、と捉えられていると思います。しかし高橋監督の正式な続編ではないというような発言があり、実際には「『ゼノギアス』の世界観を継承し、根本からリメイクした」上での続編であるようです。

シナリオを進めていくと、明らかに『ゼノギアス』との関連を思わせるいくつかのキーワードが登場します。(ゾハルの存在、謎の少女が前作のヒロインに似ている、エンディングでワンカットだけ登場する少年など)

『ゼノギアス』は壮大なストーリーの一部として発表されました。その『ゼノギアス』のエンディングに「エピソード5」という表記もあることから、ファンは『ゼノサーガ エピソード1』を正統な続編だと認識したでしょう。

しかし監督のインタビューでは「続編と思われがちだが違う」との発言があり、さらにユーザーを混乱させているようにも思えます。発売元が違うので続編とすることに問題があるのかもしれませんが、もう少し明確にして欲しかったところです。

そしてこれが最大の問題点なのですが、実はこのエピソード1では物語が完結しないのです。


ゼノサーガはSFマニア専用RPGなのか?
練られた戦闘と成長、しかし終盤はやや単調に
それってゲームとしてどうなのよ?
そうならそうと最初に言って欲しかった

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そうならそうと最初に言って欲しかった

『ゼノサーガ』はある場面を終えると非常に中途半端なところでエンディングを迎え、最後に「To Be Continude」と表示されて終わります。

最初からそれを知ってプレイしたユーザーは問題ないでしょうが、「さぁ、これからどうなるんだろう」と期待していて突然エンディングを迎えたユーザーは不本意だったことでしょう。何せラストボスをラストボスと知らずに倒してしまったのですから。

これにはしっかりしたアナウンスが必要だったと思いますし、「エピソード1」という表記が誤解を生んだとも言えます。『ゼノギアス』は「エピソード5」でありながら単体で物語が完結しているからです。
もし「前編」などの表記だったなら誤解もなかったでしょう。伏線と謎だらけの状態で放置され、「続きを待ってネ♪」では納得できません。

エピソード1という区切り方で思い出されるのはSF映画の代表作『スターウォーズ』ですが、あちらはエピソード1で物語が一区切りします。その作品の中で盛り上がりがあり、謎や伏線は残されているものの単体で楽しめる作品になっていました。ゼノサーガが制作費や容量などの問題もあって未完で出さざるを得なかったのはわかります。が、せめて相応のアナウンスがあって然るべきでしょう。



個人的には好きな作品だが、ユーザーへの考慮不足は不服

『ゼノサーガ』をプレイしていると、さまざまなSF作品のオマージュを感じます。キャラクターの個性や、作りこまれた背景世界を膨大な情報で提示する方法論などは、社会現象にもなったアニメ『新世紀エヴァンゲリオン』を彷彿とさせますし、スペースオペラとしては永野護氏のライフワーク『ファイブスターストーリー』を思い起こさせます。

あくまで『スターウォーズ』や『スタートレック』などよりも国産アニメを感じさせるつくりなのですが、緻密な設定で圧倒する方法論は僕の好みで、ストーリー自体は楽しめました。

途中で終わるらしい、という話もWEB上で得ていたのでさほど失望感はありませんでしたが、やはり納得できるものではなかったです。

全体的に「ゲームを楽しむ」というより「アニメの合間にゲームを楽しませてもらっている」という感覚がぬぐえず、シナリオとゲームが別の方向を向いていたような感じでした。

ゲーム中音楽がない部分が多かったのですが、これは個人的には問題ありませんでした。おそらく映画的な効果を狙ったのでしょう。しかし戦闘シーンの音楽が一つだけ(最終ボス以外)というのは少々寂しいかもしれません。

ただ、やはりある程度ユーザーを突き放した「ついて来れるヤツだけついて来い」的な雰囲気を感じました。「登場人物の喋っている内容は一語一句理解したい」という人には徹底的に不向きといえるでしょう。彼らはプレイヤーがまったく知らない単語も説明なしでポンポン使います。



「ガンダムなら見た」程度なら避けたほうが吉

この記事の冒頭で、「ガンダムを見て育った世代なら何とか楽しめるかも!」と発言しましたが、こうやって検証してみるとちょっと難しそう。この記事で列挙した注意点が許容できて、さらに国産のSFアニメがある程度好きならば楽しめるかもしれません。

僕としては「SFの基礎知識がないと楽しめない」「シナリオが盛り上がりかけたところで突然エンディング」などの要素が気になりました。特にSFが好きと言うわけではないユーザーこそが楽しめるRPGであって欲しかった、と残念に思います。


ゼノサーガはSFマニア専用RPGなのか?
練られた戦闘と成長、しかし終盤はやや単調に
それってゲームとしてどうなのよ?
そうならそうと最初に言って欲しかった

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