おじさんの街、新橋駅で電車を降りる

黄昏時に「新橋駅」に降り立った。人の流れのままに歩いていくと、そこは汐留口だった。その先には「ゆりかもめ」の新橋駅がある。今風の駅だ。高架をくぐり、烏森口へ出て振り返ると大正3年の高架になったJRの線路とその向こうにビルが見えた。
薄暮の新橋駅。後ろに見えるのは汐留側のビル
大正3年に完成したアーチ型の高架。関東大震災も崩れなかった。

駅の東側は南に烏森口があり、その前に「ニュー新橋ビル」がある。その先はSL広場である。

汽笛一声、新橋を~

テレビでサラリーマンをインタビューするときはたいていこの新橋駅前のSL広場である。蒸気機関車、C11がいつの頃かそこにたたずんでいる。喫煙所も駅周辺にいくつかある。これもオヤジの街、新橋ならではのことか。
オールアバウトのプロデューサーEくんからケータイへメールが入る。
「SLの前におります」
急いで行ってみると彼は学生のような格好でそこに立っていた。
考えてみればEくんもサラリーマンなのだが、新橋の街には似合わない。
さて、今回の散歩はそのEくんが選んだお店をのぞいてみることにした。
薄暮の新橋駅前SL広場
実際はかなり暗かったが、高感度で撮影したSL広場

かつての東海道線の起点駅であったということだ。
「汽笛一声、新橋を~」
と歌われる「鉄道唱歌」も一番の歌い出しは新橋である。
それが、大正時代になると東京駅に起点が移ってしまう。
もっともこのときの新橋駅は今の新橋駅ではなく、その後「汐留駅」となった。
今の新橋駅はかつて「烏森駅」と呼ばれているものが新橋駅になったのだ。
新橋の駅は高架線によって西と東に分けられている。西側は南が汐留口。北が銀座口。東側の南が烏森口、そしてSL広場があるのは日比谷口である。
さて、飲み屋街の探訪は次ページから!

新橋駅→「大衆酒場 ニコニコ食堂」→「新橋地鶏屋」→「金春湯」→銀座駅に至るコース。


ニュー新橋ビル内を徘徊する

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ニュー新橋ビルの地下一階。手頃な値段で飲めそうなお店が並ぶ。
それにしても寒い。夕暮れの新橋SL広場は、冷たい風が僕たちに吹きかかっていた。
「ニュー新橋ビルへ行きましょう」
Eくんはまるで寒風から避難するようにビルに入っていった。
このニュー新橋ビルの建設計画が持ち上がったときのドキュメンタリーをNHKで見た気がする。小学生の頃だから昭和40年代ころだろうか。
小さな飲み屋が軒を連ねる小路の映像。焼鳥屋などが並んでいる。ここに新しいビルが建設され、今度はそのビルの中で商売をやっていくという。ビル建設に対する人々の期待と不安を描いているようなドキュメンタリーだったと記憶している。
あの映像に出ていた人たちはどのくらいこのビルに残っているのだろうか。
チケットショップやらゲームセンターなど、当時はまだなかった商売も今はこのビルの中に多数ある。
地下一階に下りて、ぐるりと回ってみた。手軽に飲める居酒屋などがたくさんある。
和服姿のきれいな女性とすれ違った。背の高い美しい女性はいきなり、
「いかがですか?」
と声をかけてきた。どうやら、その先が彼女のお店のようだ。
適当に断って先へ進む。Eくんが興奮気味に
「久しぶりにあんなきれいな人を見ましたよ」
と言う。ならば、あのお店に行こうよ、そう言ったのだが、
「いえ、ちゃんと調べてきているので、そこにします」
とキッパリ。なるほど、きょうの行き先はすでに決まっているようだ。

大衆酒場 ニコニコ食堂

地上に出ると再び寒風が吹き付けてきた。寒い。プリントアウトした地図を手に歩くEくん。
「あ、ありました」
と指さす看板を見れば「大衆酒場 ニコニコ食堂」とある。いいネーミングだ。
大衆酒場 ニコニコ食堂
店の前で焼き鳥をほおばっている客がいた。旨そうだ!

店の前で、焼き鳥が焼かれている。仕事帰りのサラリーマンが足を止め、立ったまま食べている。これが実に旨そうだ。中に入ってみることにした。
さて、「大衆酒場 ニコニコ食堂」のメニューは次ページで!

豚レバー刺身がおいしい!

店内はまだいくつか空席があった。
店内に入ってメニューを見ると、
ニコニコおすすめ<豚レバー刺身>400円
とあった。僕はレバーが苦手なのだが、おすすめと言われれば試してみないわけにはいかない。店の女将は、
「ニンニク、ショウガ、ごまだれがありますけれど」
と言う。Eくんがすかさず、ニンニクを注文。
豚レバー刺身
独特のタレででいただく「ニコニコ食堂」の豚レバー刺身

醤油をベースにしたタレに摺り下ろしたニンニクがたっぷり入ったものにレバー刺しをつけて食べる。
クセも臭みもない実に新鮮なレバーである。まったく驚きの味だ。これは美味い。お酒も進む。

これも絶品!牛煮込み

メニューを見るともうひとつおすすめがあった。「牛煮込み」である。これもさっそくたのんでみよう
牛煮込み
「牛煮込み」400円。美味い!

居酒屋にある煮込みも僕は苦手なんだけれど、ここのは実においしかった。レバー刺身と同様に臭みなどはまったくない新鮮な素材を使っている。味はまろやかで、玉ネギをスライスしたものが上に乗っていて、これがまたいい。
これに焼き鳥もたのむ。これもまた美味い。
一軒目を軽くして、さて、次の店へ。
会計をするときになると、店はすでに満席状態だった。
人気のお店なのだ。

柳通りと赤レンガ通り

店を出ると赤レンガ通りという案内板があった。
新橋の烏森口を出て、JR線にたいして垂直に日比谷方向に延びているのが、烏森通り。
交差するように延びているのが、柳通り、赤レンガ通りということになる。
柳通り
これは柳通り。ちょうどニュー新橋ビルが面している。

せっかくだからと、大きな通りから路地にもどんどん入っていく。いろいろなお店がたくさんある。
「あ、このラーメン屋は、前の職場から近かったので通いましたよ」
とEくん。すれ違うのはサラリーマンのグループが多い。
「部長、部長、こっちですよぉ」
誰かが路地の向こうで叫んでいた。
さて、お次はリーズナブルでおいしい焼鳥屋さん「新橋 地鶏屋」さんへ行く

「新橋 地鶏屋」へ!

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外見からはちょっと想像つかないが、おいしい焼鳥屋さん「新橋 地鶏屋」。
路地には飲み屋が軒を連ねている。そこを歩くサラリーマンたち。ああ、これぞ新橋だ。次に行くのも焼き鳥屋なのだとEくん。少しさがして、見つけたのは「新橋 地鶏屋」であった。店内の様子はわからないのだが、一歩は入って驚いた。
ネクタイ姿のサラリーマンでいっぱいだ。
予約を入れているかと聞かれる。していないんですよ、とEくん。20分だけならと言われ、お店の中へ。時計を見たら、6時40分だ。まあ、ひとくちでも食べようと、中に入った。ちなみにこの日は水曜日の夜であった。

これは絶品だ! 特上白レバー

というわけで、中に入り、串の「おまかせ6本セット(1500円)というのをたのんでみる。ねぎ間、つくねタレ黄身付き、手羽塩、うずらとその日のオススメの2本がついてくるそうだ。「これだけでお腹いっぱいに」なんてメニューに書いてあった。んなわきゃないだろうと思ったが、それがあるのだ。ここの焼き鳥は大ぶりなのだ。とくに手羽塩の大きさにはびっくり。
特上白レバー
これが「特上白レバー」500円。とろけるおいしさ!

ビールで乾杯をしたところで、お店の人から、
「予約のお客様が遅れるとのことなので、8時まで大丈夫ですよ」
と言われた。ラッキー。そこで、Eくんは、店の人に
「なにかオススメはありますか?」
と尋ねた。それで注文したのが、特上白レバーである。
「運良く1本残っていました」
とお店の人。食べてみれば、これは絶品。表面をあぶっただけで、中は生。トロリと舌の上でとろけた。旨い!

歯ごたえがあり、おいしい手羽塩

焼き物で最後の出てきたのが、手羽塩。レモンが一緒についてくる。レモンを搾るとこれまた旨い。単品でたのむと550円だ。
手羽塩
これが「手羽塩」550円。噛めば噛むほどうまさがある。

最後にスープをいただいたのだが、これも実においしかった。
それにしてもEくんはよく食べた。30歳になるからもうおっさんだと笑うが、なかなかどうして若々しい。
と、Eくんが、こんなおいしい焼き鳥を食べたことがあるかと聞く。
実は食べたことがある。
しかし、そこはここより価格が倍以上であった。
というわけで、我々は銭湯へ!

金春通りから銀座へ抜けよう

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まずは銀座御門通りまで行く。
新橋駅の銀座口に出て、金春通りに行こうとEくんが言う。
金春とは「こんぱる」と読む。ここには幕府直属の能役者の金春家の屋敷があったところである。
まずは、日比谷口から高架を抜けて、銀座口へまわる。
そこから銀座御門通りへ。
この通りが銀座の端ということになる。
それにしても寒い。

今も残る金春小路

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いまも金春の名前が残っている。
金春屋敷は相当広い地域だったようだ。
銀座八丁目の6~8番地がその地域である。
この屋敷が移転したあと、ここは花街として発展した。
後に「金春芸者」という名前でここの芸者は有名だったそうだ。
今は渋い大人の店の多い地域である。
派手ではないネオンがずっと道なりに続いている。
それにしてもお酒を飲んでいるのにやはり寒い。
背中を丸めて歩く。

「金春湯」という銭湯に浸かる

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温泉マークを見つけてホッ。ここが有名な「金春湯」である。
「寒い、寒い」とEくんと歩いていると、温泉マークを発見。ああ、これが有名な「金春湯」である。
銀座の中にある銭湯として有名だ。
さっそく湯に浸かることにした。
散歩者ゆえにタオルを買い、石けんも買った。
ついでに歯ブラシも。
そして、Eくんと僕は湯に浸かる。
ずっと若いと思っていたEくんの裸になった腹に僕はオヤジを見てしまった。
それにしてもいいお湯、いいお酒の散歩であった。



<関連リンク>
JR東日本:駅構内図(新橋駅)
新橋 地鶏屋(しんばし じどりや)/新橋/居酒屋、焼鳥、鳥料理、焼き鳥、鶏料理[食べログ.com]
金春湯
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