東京アンダーワールドを歩く

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2000年に発行されたロバート ホワイティング著「東京アンダーワールド」(角川書店)。今は文庫本にもなっている。
以前、吉原の散歩に出かけたいということでご一緒した女性、Kさんからメールがきた。
「東京アンダーワールド」という本の舞台になっている赤坂、六本木を散歩したいとのこと。
あ、この本は読んだことがある。というか、『STUDIO VOICE』誌に長い書評を書いたこともある。
話は終戦直後から始まる。1945年、24歳のニコラ・ザペティが進駐軍のGIとして日本にやってくる。戦後すぐの混乱期、誰もが一攫千金のチャンスがあった。闇市などで大金を儲けたものの事件に巻き込まれて、投獄される。刑務所を出たニコラは、まだ何もなかった六本木に「ニコラス」という名前の、本物のピザが食べられる店をオープンするのだ。これが大当たり。
この店にはいろいろな人間がやってきた。政治家、プロレスラー、娼婦、闇社会の人間などである。そしてなにうより、生き生きと描かれているのが、昭和時代の六本木、赤坂などの町である。たしかにこの本を読むと、赤坂、六本木界隈を散歩したくなる。
というわけで、今回は赤坂から六本木まで歩く。最後はピザを食べる予定だ。

力道山が刺されたナイトクラブ「ニューラテンクォーター」

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かつてホテルニュージャパンのあった場所に今はプルデンシャルタワーが建っている。
東京メトロの赤坂見附駅から地上にあがったのは夕刻。
まずは、プロレスラー力道山にゆかりのある「ニューラテンクォーター」の跡地である場所へ。今はオフィスビルのプルデンシャルタワーが建っている。
この場所には、料亭「幸楽」があった。昭和11年、二・二六事件のときに反乱軍の一部が占拠した場所だ。その「幸楽」は戦時中、撃墜されたB29がここに墜落し、建物は全焼する。
そして、その後にできたのがホテルニュージャパンである。
1982年(昭和57年)に起きた火災で33人が亡くなっている。その後、ホテルニュージャパンは、営業せずにそのままの建っていた。
その地下にあったのがナイトクラブ「ニューラテンクォーター」である。
ここで、プロレスラーの力道山が刺された。1963年(昭和38年)のことだ。彼はその傷がもとで、数日後に山王病院で亡くなった。実にあっけないヒーローの死だった。

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今も赤坂には多くのクラブがある。そろそろネオンがつく時間だ。
かつて、「コパカバーナ」という高級クラブがあった。ここでかつてデビ夫人が働いていたそうだ。その後彼女は、インドネシアのスカルノ大統領の夫人となる。
どうやって、この2人が出会ったのかは「東京アンダーワールド」に書かれている。
Kさんはそう言いながら文庫本を取り出して、お友達に渡した。
そろそろ日が暮れかかっている。

ニコラスピザを探し、赤坂から六本木へ

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とても急な坂である稲荷坂をあがったところにリキマンションがある。
赤坂通りを赤坂小学校前の交差点を右に入る。
今回、同行してくれた2人の女性、とくにKさんは、リキマンションに行きたいそうだ。
少し道に迷いながら、なんとか稲荷坂までやってきた。
急な坂だ。テレビがやっと各家庭に入り始めた昭和30年代、プロレスラー力道山はヒーローだった。同時に力道山は、実業家でもあった。
リキマンションというのは、マンションのさきがけである。
今でも坂の上にある高級マンションである。
2人の女性はゆっくり見ている。複数の人間が散歩をすると足を止める場所が違ってこれまたおもしろい。
リキマンションも有名だが、同時代にやはり川口松太郎の川口アパートというのが有名だということを話したら、それはご存じなかった。
川口浩探検隊って知ってる? と聞けば、それは知っているとのこと。
そんな話をしながら、僕たちは六本木に向かうことにした。

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これがニコラスピザハウスだ。すっかり日が暮れている。
赤坂通りから、乃木神社を通り過ぎて、外苑東通りへ出る。
かつては防衛庁があった場所に、東京ミッドタウンがある。
このあたりでもKさんは、この本ゆかりの場所を探している。
暑い日だった。汗を流しながら、早くニコラスのピザを食べながらビールを飲みたいと思った。
現在のニコラスピザハウスの場所は、昔よりもちょっと六本木1丁目よりの場所にある。
経営者もかわっている。そんな話をしながら、やっとお店を発見。
赤坂見附からまっすぐ歩けばなんということはない距離だったが、
なんだかんだでずいぶん歩いた。

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もちろんピザを注文。それから生ビール。いやぁ、散歩の後のビールはうまいねぇ。ピザも美味!
メニューを見るとこう書かれていた。
「1954年(昭和29年)ニコラスピザハウスは日本で最初にピザを紹介しました」
とある。実際、当時の味と変わっていないのだそうだ。
本の中に書かれているのは、それまで日本人はパンの上にチーズを乗せたものがピザだと思って食べていたそうだが、ニコラ・ザペティはちゃんとしたパイ生地にナチュラルコーダチーズをたっぷり乗せたものを出し、大人気を博したとある。
なるほど、その当時の濃厚な味が口の中に広がった。ビールがうまい。
いやぁ、夏の散歩の後はビールがいいねぇ。



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ニコラス六本木店
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