体重は変わらなくても、見た目は締まる

脂肪が厚いのは本来存在する末梢毛細血管が眠っている状態
脂肪が厚いのは本来存在する末梢毛細血管が眠っている状態
超スローでも体にこんなにいいランニング」では、超スロージョギングによって末梢毛細血管が増え、スタミナがついて体調がよくなるというところまで解説しましたが、もう少し検討してみましょう。

ジョギングを始めたきっかけとして、ダイエット効果を期待したという人が少なからずいると思います。NHK『ためしてガッテン』の登場モデルもダイエット効果があることを発表していました。かなり太り気味の28歳女性は経験1年でなんとマイナス12kg。5~6kgぐらいの減量はごく当たり前のようです。

しかし、実験台となった3人の場合は開始25日間ほぼ毎日走っても体重変化はわずかなもので、必ずしもダイエット成功とは見えない結果でした。ただ、400mを走って息があがっていたのが、「どこまでも走れるような感じ」がして、50分走をしたり7kmぐらい走れるようになったと言っています。これはなぜ?

私がアドバイスをしてきた初心者の場合も同じ傾向が見られます。走り始めの1、2ヶ月は目に見えるようには減量しません。場合によってはわずかですが体重が増える例もあります。この理由ですが、脂肪は徐々に落ちてはいるのですが、筋肉がついたり骨の質量が増加して体重が変わらないのではないかと思われます。体重は変わらなくても、外見から明らかに体が締まっているのは見てとれます。

長く走れるようになってグングン減量

ダイエットは、そこから。遅筋が増え末梢毛細血管が増えると長く走れるようになってきますが、そこからが減量の本番です。長く走ることによって脂肪の燃焼に加速度がついてくるのです。

1日に1時間程度の超スロージョグ、距離にして4~5kmでは、ダイエットにはもの足りません。やはり7~10kmぐらい走りたいところですが、その距離を苦しく感じず走れるようになるには、やはり、3ヶ月の実績を積まなければ体が変化してくれません。体の質が変わることによって、長時間速く走れる=長い距離を走れる=たくさん脂肪を燃焼するという方程式でダイエットが進みます。

1~2ヶ月で「効果がない」と思いこまないこと

ところが、残念なことに1ヶ月くらい続けても体重が減らないと、疑問とむなしさが頭の中にもたげてきます。次第に疎遠になり、いつしか止めてしまうという例が多いのです。体重の変化に物足りなくても、3ヶ月は続けてみるべき。3ヶ月も経つと、明らかに減量効果を数字でも感触でもバンドの穴でも感じるはずです。

超スロージョギング、ぼけ予防にも

歩きもいいけど、さらにいいのがジョギング。走れるならスピード度外視で走ってみよう
歩きもいいけど、さらにいいのがジョギング。走れるならスピード度外視で走ってみよう
『ためしてガッテン』では、これからの日本における重大問題解決に超スロージョギングが役立つのではないかという提示をしていました。それは何か?というと、ぼけ予防です。

番組では、大脳生理学の久保田勝先生が解説していました。それによると超スロージョギングによって脳が大きくなるというのです。実際に脳にテスターの電極を取り付けての実験でも、脳の血流の増加を証明していました。その結果運動野と前頭前野が大きくなります。前頭前野は、判断力、決断力、ワーキングメモリ、他人とのコミュニケーション、想像・記憶力、行動・感情の抑制力、集中力の働きをつかさどっています。人間と他の動物との違いを最も示す脳活動といっていいでしょう。うつのみならず、認知症にも深く関わっていることがわかります。

走ると、気持ちが前向きになる

番組に登場するランナーによれば、

・悩みごとを忘れるようになった
・子供を怒る回数が減った
・気持ちが前向きになった

といった感想を報告しています。夫婦喧嘩が減ったという方もいました。行動・感情の抑制力が増したんでしょうか。

これは、ガイドも以前からよくランニングの効能として話していることです。仕事や家庭のことで問題が生じているような時でも、少なくとも走っている間は問題を忘れていい気持ちになってしまいます。βエンドルフィン(脳内麻薬様物質)の作用が大きいのかと思っていましたが、また違う理由があるようです。

「気持ちが前向きになる」というのも常々感じること。何に付けても物事をポジティブに考えるようになります。

スピードが超スロージョギングと同じウォーキングでは効果はないのか?というと不思議ですが、ウォーキングでは運動野だけ拡大するものの前頭前野は拡大しないのです。やはり、ゆっくりでもいいから走った方がよいのです。

ガイドも48歳でガン。でも、走った

ストレス解消に効果絶大なジョギングは、都会生活者にはもってこいの運動だ
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先日、日本女子マラソン界の先導役を果たした永田七恵さん(旧姓・佐々木)が、53歳の若さでガンで亡くなられました。本当に残念でした。健康によいランニングをしているといえどもガンに対する直接の予防効果は期待できないようで、ガンにかかったランナーはたくさんいます。かくいうこのガイド自身も、46歳でガンを宣告されました。

私の場合はまだ初期ということで、すぐには手術をしてくれず切るまで3ヶ月待たなければならなかったのですが、その間の不安なこと。そこで医師に「走ってもいいか」と訪ねると、「OK」との返事でした。そこで相も変わらずランニングの習慣だけは手術直前まで変えなかったのですが、これが不安解消と手術前の体調・体力維持にたいへん役に立ったと思います。

ガンの手術をした後も走っている人に会うと、皆さんたいへん前向きに人生を生きていることに驚きます。最近は不景気もあり、精神的な症状を抱える人が増えているとのことですが、こんな時代だからこそランナーが増えているのでしょうか? メタボ対策だけではなく、気持ちの向上にもランニングは効果があるようです。

ダラダラだろうと、走ればいい

小学生時代には朝の全校ランニングなどというのがあって、全校生が10~15分くらい校庭をぐるぐる走ったりした経験があります。今も行っている学校はたくさんあるようです。一生懸命走っている子もいますが、ダラダラと走っている子もいます。以前はダラダラ走っていてはろくに運動にもならないだろうと思っていましたが、ちょっと認識を変えました。一生懸命でものんびりでも、とにかく走ることがいいのです。

日本からメタボを減らし、精神的な向上をはかるジョギング。ぜひもっともっと広めたいのですが、ここまでご紹介したこと以外にも健康効果があります。次回は健康にいい超スロージョギングの最終回、その他の効果と超スロージョギングの実践法をご紹介します。



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