走りに飽きず、疲れも少ない「カメラン」とは

ブランデンブルク門をバックにコースのど真ん中で撮影。カメランでなければ撮れないシーン
ブランデンブルク門をバックにコースのど真ん中で撮影。カメランでなければ撮れないシーン
10kmを走れたら、東京マラソンは時間内完走できる!というテーマの2回目です(1回目は「超練習不足初心者向け東京マラソン完走術」)。

6時間30分以内で完走しようというわけで「疲れがなるべく起きないように」「疲れや痛みを回復をしつつ」という、走ったり歩いたり作戦をご紹介しました。それだけでもなんとかなるとは思うのですが、なんといっても6時間30分の長丁場(箱根駅伝の片道より時間がかかる)。そんなに長時間同じ事を続けたことがありますか? 仲間でもいないと飽きてしまうということもあります。飽きると余計に疲れを感じてしまうものです。そこで気を紛らせ時間が経つのを早めて飽きが来ないようにし、ついでに疲れを忘れるという超入門者向け作戦が今回のテーマです。

ひとつの方法は、音楽やラジオを聞きながらというテクニックがあります。一人だけで走っているときはそれもいいんですが、折角当たった東京マラソン。声援を耳にして臨場感に浸りながら走りたいものです。そこでおすすめするのが、カメラン(これも小生の勝手なネーミングですが……。亀のようにゆっくり走るというつもりで付けたわけじゃないですが、そう思われても結構)。写真を撮りながらのランニングです。実はこのテクニック、「そういえば写真を撮りながら走っていると疲れ方が少ないみたいだし飽きない……」との自分の体験から気が付いたことです。

こんな具合に止まらず走りながらでもちゃんと撮れる
こんな具合に止まらず走りながらでもちゃんと撮れる
私がカメラを持って走るようになった最初は、トレイルランニング。いい景色の中を走る仲間をカメラに納めようと、マラニックなどにカメラ持参していたのですが、そのうち富士登山競走にも持って走るようになりました。

そして海外のマラソン大会に出場するとき、折角だからと記念に撮影しながら走るようになったのです。国内のロードレースでのカメラン経験はまだ東京マラソンだけですが、後から思うと撮影しながら走ったいずれのレースでも、フィニッシュ後の体が楽なのです。フルマラソン5時間程度の友人も撮影しながら走ってましたし、昨年2008年アディダスランニング共和国からベルリンマラソンに派遣されたお一人も、なんと初マラソンをカメラ片手に完走です。彼はペット医で、沿道のワンちゃんを撮影しながら走っていたそうです。

なぜ撮影しながら走ると楽なのか、私なりに考えてみると次のような理由があげられるように思います。

・被写体を探しながら走っていると次の目標物を追う気持ちになるし気が紛れる

・被写体を探すには、力一杯走らないので余裕が生まれる

・時々撮影のために立ち止まるのが疲労回復になる

絵になるシーンが少ないコースでは撮り甲斐がないのですが、東京マラソンや海外マラソンは撮りたいシーンがいっぱい。ぜひあなたもチャレンジしてほしいのですが、安全にそして上手に撮るには、カメランならではの機種選びや撮り方があります。それは……。

「カメラン」に必要となるスペック3条件

走りながらの撮影。旧機で 左の写真の部分拡大
左=長らく愛用しているデジカメ機で走りながら撮影。ISOは限度いっぱいの400に設定しているがブレている 右=左写真の部分拡大 いずれも下の写真と同ピクセル、同倍率
LUMIX FX37のスポーツモードで走りながら撮影 左写真の部分拡大
左=LUMIX FX37のスポーツモードで走りながら撮影。スポーツモードで撮影。拡大するとブレていることがわかるが、Lサイズプリント程度ではまったく気にならない 右=左写真の部分拡大
まず機材です。重い一眼レフカメラを持って走る気はしません。ランニングのお供にできて、ふらふらしながらでも撮影できるカメラを選びます。そのポイントは以下のとおり。

・軽い
200g以下でないとウエストポーチに入れておいても揺れます。手に持ち続けてはとても走れません

・ワイドレンズ
ランナーの流れの中に入ります。望遠は不要です。なるべくワイドレンズを装着しているモデルがベター

・高感度
走りながら撮影するにはシャッタースピードが速いほど有利。速いシャッタースピードを使うには高感度機能(ISO800以上。曇の日なら1600ほしい)が必要です。

以上3点が選択の条件です。

35mm換算25mmのワイドがすごい「FX37」

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FX37の自分撮影例
旧機での自分撮影例
携帯電話での自分撮影例
上=FX37での自分撮影例。さすがに25mm相当だけの画角がある。仲間と一緒でも撮れる。背景も広く入るので状況がわかりやすい。中=旧機のほぼ38mm判相当で撮影。自分の顔だけなら問題ないけれど。ちなみに手が短いとさらに顔の締める面積が増えることになる。ちなみに私の身長は177cm。下=携帯電話に付いているカメラで撮ってみた。320万画素で昨年9月に購入した新型。ワイドなのは横だけで縦は旧機にも劣る。ちょっと外すとこの通り。シャッタースピードも遅く、シャッターボタンが自分を撮るのに適さない位置にある。
LUMIX FX37
パナソニック LUMIX FX37
FX37のアップ
FX37のアップ。パワーボタンと撮影再生切り替えボタンがスライド式なのが使いやすさを高めている
そこで、花盛りのコンパクトデジカメの中からこの条件をクリアするカメラを探してみた結果、現在最もおすすめできるのはパナソニックの「LUMIX FX37」のようです。1010万画素、質量約146g(メモリーカード、バッテリー含む)レベルの製品は他にもありますが、FX37がもっとも卓越しているのがレンズの画角。35mm判換算で25~125mm相当あります。一般のコンパクトデジカメのワイド側焦点距離は35mm程度、ワイドをうたっていても28mm止まりですから25mmは越えています。

ISO感度は上が1600、さらに高感度モード時には6400までOK。1600で撮影しても暗部の荒れは気が付かないレベルです。そしてシャッタースピードは最高1/2000秒。走っている程度の動きはみんな止めてしまいます。

音声や連写、動画も撮ってみよう

そして約6コマ/秒の高速連写モードを使えば、シャッターチャンスのミスもないでしょう。

音声(5秒)を付ければ臨場感もいっぱい。10秒のアフレコも付けられますし、秒30コマで動画撮影もOK。マラソンは動きのあるものなので動画撮影も良い記念になります。音声や動画を撮るとメモリーを使いますが、高速大容量のSDHCカードも使えるのでメモリ残量を気にせずどんどん撮れます。

パワースイッチと撮影再生切り替えスイッチがスライド式なのもグーです。押しボタン型だと、うっかり押していたというミスが結構あるからです。

カメラン専用型と言いたいくらいの「FX37」は、現時点でのカメランカメラのスタンダードモデルといえると思います。他機種に惹かれたときも「FX37」と比較対照するといいでしょう。これ以上の機能を持っていたらそのカメラは合格です。

さて、カメラは決まりましたが、走りながら撮るにはそれなりの撮影技術やマナーがあります。それは……。

カメラを持っての走り方

落下を避けるためストラップを袈裟懸けに、さらにウエストポーチも使う
落下を避けるため長いストラップ2本をつないで袈裟懸けに、さらにウエストポーチも使う
150g程度とはいえ、42.195kmを手持ちで走るのはたいへん。カメラはウエストポーチに入れて走ります。しかし、それだけでは使用中に手を滑らせて落としてしまう恐れがあります。他ランナーとぶつかるかもしれません。

そこで落下防止のため必ずストラップをします。それも長いネックストラップを2本つなぎにし、袈裟懸けにかけます。これで紐がばたついて走りを邪魔することも無くなりますし、ストラップを何かにひっかける恐れもグンと減ります。撮影しない間は、カメラをウエストポーチに入れて腰の後ろに回せば、ストラップは遊びがなくなり走りを妨げません。駅伝選手がタスキをかける要領です。

撮影モードや設定は走る前に

落下の次のカメラの強敵は水です。給水時は必ずカメラはポーチに入れて腰の後ろに回しておきましょう。間違っても頭から水を被るなんてしないこと。雨の日はカメランは諦めた方がよいと思いますが、それでも強行するときはレンズ以外にサランラップを巻いておくようにしましょう。

撮影モードや設定は走る前にしておきましょう。画像サイズ、画像品質、ISO感度の設定。スポーツモードがあればそれがいいでしょう。なければISO感度を800~1600に上げておきます。連写や動画を撮影する予定がある人は、その設定方法を練習してよく覚えておきましょう。

カメラで撮すときの安全策

東京マラソンを中央分離帯に乗って撮影
東京マラソンを中央分離帯に乗って撮影
コーナーで外側に出ればランナーの流れから外れられる。東京マラソンでの銀座4丁目交差点で
コーナーで外側に出ればランナーの流れから外れられる。東京マラソンでの銀座4丁目交差点で
カメランで最も注意すべきは、ちゃんと被写体が撮れているかということよりも、事故を予防することです。事故の発生が予想されるのは次のような場合です。

・撮影しようといきなりスピードを落としたり立ち止まって、後続ランナーに追突される

・ファインダーに夢中になり、足下や前方不注意でつまずいて転倒する

以上の事故を防止するために、次のように撮影します。

・ランナーの流れの中では立ち止まったり急にスピードを落とさない。立ち止まったり、ゆっくりしたスピードで撮影するポイントとしては、中央分離帯に上がる、人の少ない歩道に上がる、コーナーでランナーが走らない流れの外側の空間で撮る

・ファインダーは覗かず、極力ノーファインダーで撮影する

・走っている間は、再生して確かめたりしない

・ランナーの邪魔になるので、撮影のため手を横にしない(横から撮るとまた気分の変わった写真が撮れるんですが)

自分を撮すときのカメラの構え方

右手での自分撮りは、カメラを逆さに持ち親指の腹でシャッターを
右手での自分撮りは、カメラを逆さに持ち親指の腹でシャッターを
左手での自分撮りは、人差し指の腹でシャッターを
左手での自分撮りは、人差し指の腹でシャッターを
カメラのシャッターボタンは自撮用に設計されていません。右手で撮るならカメラを天地逆さに持ち、シャッターを親指の腹で押すようにします。指先で押す持ち方だと、カメラを安定して保持できません。左手で撮影するならそのままでいいですが、シャッターは人差し指の指先ではなく、やはり指の腹で押すようにします。

動画を撮影するときは、カメラを逆さにするわけにいかないので、左手で撮ることになります。

ローアングルでも狙ってみる

ローアングルでの見上げ自分撮り
上の写真を撮っているところ
背後に高い建物があるときは、カメラからは見上げるように構えて自分撮りをする。下の写真のポジションから上の写真が撮れる
慣れない撮り方だと思わぬアングルを生む結果も。それも良し
慣れない撮り方だと思わぬアングルを生む結果も。それも良し。結構新鮮に見える
東京マラソンはビルの谷間を走ります。とりわけスタート地点の東京都庁はポイントになる建物ですが、これを背景に写真を撮ってもらおうとするとカメラマンはかなりの苦労です。でも、自撮ならいとも簡単。カメラの位置を下げて見上げるように撮ればいいだけです。このテクニックは、カメランならずとも使いたいところです。

ハズレもまた楽し

写真はいつも狙った被写体が真ん中にあり、ピントがあって、ブレていないべきだという考えを捨てましょう。ちょっと外れたアングル、被写体がブレている写真も動感があっていきいきしたり、幻想的な絵になることがあります。どんどん撮っちゃいましょう。

被写体も名所や自分だけではありません。コスプレランナーや応援団にもカメラを向けてみてください。きっとポーズしてくれるでしょう。それはあなたへの応援メッセージでもあるのです。

どうですか? こんなふうにして走っているとあっという間に6時間30分が経ってしまいますよ。

ご注意! カメランはメーカー推奨ではない

私はカメランを推奨していますが、メーカーは推奨していません。それはカメラに過酷、走りながらの撮影には予期されぬ危険も伴うということだと思います。幸いにして小生は他メーカーを併せ4機種のデジカメをカメランに使用してきましたが、一度も故障を起こしたことはありません。事故については極力注意に努めています。読者の皆さまも、自己責任の上でカメランを楽しんでください。

さて、次回は走ったり歩いたりでフル完走の最終必殺技、食べたり走ったり歩いたりでフル完走です。BCAA飲料や補給ポイントの食品(パン、飴、チョコレート、レモン、梅干しなど)の摂り方でかなり疲れ具合が違ってきます。その摂取法をご紹介します。



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