金沢咲希に続く「自力出場枠」は誰の手に?

「卓球日本一」を決める全日本卓球選手権大会が1月10日から15日まで東京体育館で開かれる。一般男女のシングルスで優勝した選手は、世界卓球選手権ブレーメン大会(団体戦、4月24日~5月1日、ドイツ)の出場権を獲得することになっている。ちなみに女子は昨年暮れに代表選考会が開かれ、1位となった金沢咲希(日本生命)が、男女を通じて日本代表一番乗りを決めている。金沢に続き「自力出場枠」を勝ち取るのは誰になるのか。

男子──本命は吉田海偉

男子シングルスは、昨年中国から帰化した吉田海偉(日産自動車)が圧倒的な強さを見せつけて初優勝を飾った(前回大会記事)。しばらくのあいだ絶対的本命の不在だった男子に、ようやく「核」となる選手が出現したといえよう。世界選手権上海大会ではいまひとつ力を発揮できなかったが、昨年11月の全日本社会人では2連覇を達成。コート全面をカバーするほどのフットワークを駆使し、破壊力抜群のドライブを繰り出すプレーは、国内ではやはり頭一つ抜きん出ており、今大会もまた吉田を軸にレースは展開されるだろう。

対抗は岸川聖也

吉田の対抗となりそうなのが、昨年3位の岸川聖也(仙台育英学園高)だろう。バランスのとれた両ハンドを武器に、昨年はインターハイで宋海偉(いわゆる吉田)に続く史上2人目の3連覇を達成した。何より彼の持ち味は劣勢になったときのクレーバーな戦術にある、と思っている。彼は相手のミスが自分の得点に直結する「ネット競技」の本質をよく理解している。

水谷隼も可能性十分

岸川に続いて対抗馬にあげたいのが水谷隼(青森山田高)だ。世界選手権上海大会で世界ランク8位(当時)の荘智淵に勝った試合は見事だったし、アジア選手権では中国の主力・王皓に勝った。まだ若いだけに試合による出来不出来の波は大きいが、世界も注目する潜在能力を秘めているだけに一気に頂点に駆け上がったとしても、私は驚かない。ちなみに、もし岸川、水谷ともに勝ち進めば、ベスト8決定戦で対戦することになる。

そのほかの有力候補

このほか、昨年ベスト8の高木和卓(青森山田高)は、上位進出者が若手中心になればその爆発力が生きるかもしれない。ベテランの松下浩二(グランプリ)、偉関晴光(TEAM JUIC)は調整がうまくいけば、その実績と経験が生きるだろう。ただし、かりに優勝しても代表入りを辞退する可能性が高いので、モチベーションはいかほどか。

女子──平野早矢香の3連覇なるか

女子シングルスは、3連覇のかかる平野早矢香(ミキハウス)を中心にレースが展開するのではないか。というのも、前回大会での彼女は11月の社会人あたりまでは「世界向け」のパワーアップを図り、国内試合で勝つための調整はしなかった。その後、全日本に向けて仕上げにかかり、見事に2連覇を飾った。非常にクレーバーな戦略といえよう。だから、秋ごろまでの成績がどうだろうが、きっと全日本までには仕上げてくるだろう──と思っていた。

ところが、である。昨年暮れに開かれた代表選手選考会ではあまり振るわなかった。見に行けなかったので試合内容まではわからないが、5ゲームズマッチとはいえ、この時期にこの成績だとさすがにちょっと気になる。そう思って、選考会を見に行った「信頼筋」から情報をキャッチしたところ、やはり「いまいち」のようだった。それにしても、全日本のわずか2週間前に選考会をやるメリットが私にはほとんど理解できないのだが、それはまた別の話になるのでやめておこう。

平野のことだから全日本までには間に合わせてくるとは思うが、「万全」とまではいかないのではないだろうか。そう考えると、平野は対抗、そして本命はやはり福原愛(グランプリ)となるだろう。

本命は福原愛

昨年の世界選手権上海大会では準優勝の郭炎に2-4で敗れベスト32で終わったものの、その後、「次なるステップアップ」を目指して選んだのが中国超級リーグへの参戦だった。超級に参戦したことも大きいのだろうが、王楠とチームメイトになり、その薫陶を受け始めたのが何より大きいと思える。「世界の女王」からじかにアドバイスを受けられるのだから、これは効果抜群であろう。

その成果か、12月のワールドカップでは、当時世界ランク3位のリ・ジャウェイに勝ち、10位の林菱に勝ち、13位の柳絮飛に勝ち、3位決定戦では帖雅娜に勝った。上海で負けた郭炎には再び負けたが、セットカウントで3-2と王手をかけている。世界ランキングも自己最高の16位(2006年1月発表)まで上げた。同じ仙台出身の佐藤利香さんと並ぶ「同学年優勝(高校2年生)」の可能性は高い。

そのほかの有力候補

このほか優勝争いに絡んできそうなのは、代表選考会を制した金沢咲希を筆頭に、代表選考会で惜しくも同率2位だった樋浦玲子(ミキハウス)、全日本社会人を制した小西杏(アスモ)、昨年ドイツ・ブンデスリーガに渡った実力者の梅村礼(文化シャッター)あたりか。ダークホースとして、バック面のラバーをやっぱり表ソフトに戻した藤沼亜衣(ミキハウス)をあげておきたい。