前回、前々回と2回にわたって「フォアハンドの設定のツボ」を紹介した。
その狙いを簡潔にいえば、「パワーボールを打つための形づくり」となる。
紹介したからといって、この2つの設定はそうたやすく身につけられるものでもないが、その一方、早く次の「平岡理論」を知りたいという人も多いだろうとも思う。
そこで今回は、前回までの2つの設定ができたと仮定して、心得ておきたいスイングのツボを紹介したい。
それは「肩を中心にスイングする」というものである。

肩を中心にスイングする

肩を大きく回してスイングする平岡監督

肩を大きく回してスイングする平岡監督

スイングの方法論として、日本に根強くはびこっているのが、「ヒジを支点に振る」というものである。
構える。ボールが来る。バックスイングをとる。
ここからボールを打つ際に、ヒジの位置はなるべく動かさず(固定し)、ヒジから先の前腕を動かしてスイングするという方法だ。
「それで日本の選手はパワーをなくしちゃうんです」と平岡監督はきっぱりと言う。

「人間の身体には回る関節が2つあって、ひとつが股関節、もうひとつが肩の関節です。パワーボールを生み出すにはこの回る関節を有効に使うことが必要で、それには肩を中心に振るのが大事になります。日本の前腕を重視したスイングだと、肩の動きを使わないままになってしまうんです」

肩を中心にスイングする──これが「設定後」のスイングのツボということになる。
肩を中心としたスイングに、2つの設定をミックスしている典型的な選手がティモ・ボル(ドイツ)だと平岡監督は言う。

「ボルは、腕を曲げたままバックスイングをとるんです。つまり、ヒジの角度を一番強い状態に保ったまま肩を回して振っている。腕を伸ばしてから曲げるという動きには時間がかかるし、ヒジの角度が強い状態から外れやすくもなるので、そのリスクを減らしているんですね。だから早い打球点で何本も打てるんです。まあ、かなり上のレベルの話ですけど」

誤解のないようにつけ加えておくと、腕を伸ばしてバックスイングをとり、そこから腕を曲げてきて打つというフォームが間違っているわけではない、ということである。

ラケットのフォア面が相手に見えるぐらいに肩を回してスイングする

ラケットのフォア面が相手に見えるぐらいに肩を回してスイングする


大事なのは、インパクトの瞬間に理想的なヒジの角度ができていることであって、そのツボが押さえられていれば、ボルのように最初から腕を曲げておくか、腕を伸ばしてから曲げるかは「方法の選択」にすぎない。

フォア面が相手に見えるように

やや話がそれたが、ともかくこの肩を中心としたスイングができるかどうかが、上達を左右する大きな分かれ目となるという。
平岡監督は「意識的に大きくひねるようにするといいでしょう」と言う。
肩を中心としたスイングになっているかどうかは、フォロースルー(打球後の腕の動き)のときに、ラケットのフォア面が相手に見えていること、をチェックポイントとして挙げておきたい。

********関連サイト*********
<連載・平岡監督に学ぶ技術論>
第1回 フォアハンドの設定のツボ(1)
第2回 フォアハンドの設定のツボ(2)
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