《明治がやらねば誰がやる》のもとに

これまで明治大学卓球部の練習場兼合宿所となっていたのは、東京・武蔵野市にある平沼園卓球会館。
一般の愛好者も利用できる民間の卓球場だが、《明治がやらねば誰がやる》と書かれた横断幕が掲げられ、「メイジの練習場」として名高い。

6台から7台の卓球台を置くことができるが、そのうち明治が専用で使えるのは3台。そこに20数名の部員が群がる。
規定の練習時間内では、とても一人ひとりの課題練習にあてる余裕はなく、すべてゲーム練習となる。
勝った選手はそのままゲームを続行できるが、負けた選手は3時間のうち1試合しかできずに終わってしまうこともあるという。

途中、平沼園の建て替えなどで練習環境は多少変わったが、50年にもわたって専用の練習場を持たずに数々の名選手を輩出してきたのは驚嘆に値する。

平沼昇さん
平沼園2代目館長の平沼昇さん
現在の平沼園の館長は、2代目の平沼昇さん(69)。小さいころの昇さんは体が弱かったため、都のスポーツ指導員をしていた亡父の鶴吉さんが、地域の子どもの教育や体力づくりのためにと、卓球台3台のバラック小屋を建てたのが「平沼園」のはじまりとなった。

7人の全日本チャンピオンを輩出

明治と平沼園とのつながりは昭和30(1955)年にはじまる。
一般客に混じって毎日のように練習に通ってくる明治大学の卓球部員がいた。大学の施設はほかの部と共用のため存分に練習ができない、という話を聞いた鶴吉さんは、それならウチで練習したらいいと持ちかけ、当時2階にあった12畳の和室3部屋を提供、レギュラー部の合宿生活がはじまったという。

翌年には世界選手権の代表選手が、昭和34(1959)年には初の全日本選手権シングルス優勝者が誕生した。以来、「平沼園育ち」の明治大出身選手は7人が全日本チャンピオンに輝いているほか、世界選手権、オリンピックにも多数の選手を輩出。関東学生リーグ1部では優勝28回の最多記録を誇っている。

今年2月、明治大学は調布市と、スポーツ活動などを通して地域との交流を深めていく「相互友好協力協定」を結んだ。このため、同市内に新たな合宿所の建設が進められ、6月末に硬式テニス部と共同の合宿所が完成した。

卓球部は7月10、11の両日に引っ越しを終え、この18日、「ありがとう平沼園、感謝の集い」が行なわれた。

「永遠の聖地」に有名OB参集

この日の集いには、1959年世界選手権男子ダブルス優勝の村上輝夫さん、全日本選手権シングルス8回優勝の最多記録をもつ斎藤清さん、「らくご卓球クラブ」の三遊亭小遊三さん、アテネ五輪に出場する松下浩二、田崎俊雄、遊澤亮の3選手ら、約120人が平沼園に駆けつけた。

ありがとう平沼園
「感謝の集い」に駆けつけた明治大学卓球部のOBたち
《私達は明治大学卓球部の原点である平沼園を永遠の聖地として誇りを持って後人に対し伝承していきます》と記された記念の盾、感謝状などが平沼昇さんに贈られた。

壇上に立った平沼さんは、「明治大学の新しい一歩ですが、ここで育った選手の活躍を楽しみにしていた私とすれば、喜んでいいのか悲しんでいいのか複雑な気持ちです。来年70歳になりますが、私の人生があるかぎりこの卓球場もありますので、これからもお付き合いをしていただきたいと思います」と述べた。

その後、OBたちは平沼さんを囲んで歓談をし、記念撮影をした。終わりに校歌を斉唱し、卓球部総監督の児玉圭司さんが謝辞を述べ、3時間ほどの集いはお開きとなった。

新合宿所でさらなる飛躍を

調布市富士見町に完成した明治大学卓球部の新しい合宿所は、京王線の西調布駅から徒歩15分ほどのところにある。地上2階建の鉄骨造で、延べ面積は2335平方メートル。

1階は、朝晩の食事が供される食堂、トレーニング室などのほか、各部専用の指導者控室、シャワー室、ロッカー室がある。2階は選手の部屋で、2人部屋が24室あり、卓球部に14室が割り当てられている。室内にはベッド、机、クローゼット、エアコンなどが備え付けられている。

明治大学卓球部の新練習場
空調設備もある明治大学卓球部の新練習場
1階に隣接している卓球練習室は、天井の高さ8・5メートル、卓球台が10台ほど置ける広さがある。空調設備があり、真夏や真冬でも快適な環境での練習が可能だ。

卓球部OBで、現在監督をつとめる平岡義博さんは、平沼園への想いと新合宿所での抱負をこう語った。

「平沼園では、いろんなお客さんの目があったから手を抜けないという面もあったし、厳しい練習環境のなかでもなんとかしようという気持ちがあったことが、ここまでの実績を残せた要因だと思います。新しい合宿所でも、そういう平沼園のパワーを受け継いでいかなければならない。一方、大学スポーツの新しいスタイル、地域に開かれたクラブ的なチームとしてのやり方を模索しながら、世界で活躍できるような選手を育てていきたい」

********関連サイト*********
明治大学体育会卓球部公式サイト
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