『なぜ、エグゼクティブはゴルフをするのか?』
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7月に発売以来ベストセラー『なぜ、エグゼクティブはゴルフをするのか?』(パコ・ムーロ/坂東智子訳 ゴマブックス) |
原題も同じようですが、ゴルフについて書かれているのは13の挿話のうちのひとつだけです。今回は、その回についてビジネスマンとしてではなくゴルファーとしての視点で紹介してみたいと思います。
仕事とゴルフの共通点とは?
そこではまず、「エグゼクティブがこぞってゴルフをするのはなぜだろう? このスポーツのどこに彼らの人気を独占するほどの魅力があるのか? ゴルフには、エグゼクティブの仕事に似たところがあるのだろうか?」という問題提起から始まり、実際にゴルフとエグゼクティブの仕事の共通点が多く指摘されます。例えば、ゴルファーが目標に対して狙いを定めるように、エグゼクティブも何かを始める前に目標設定をするといった具合です。ゴルファーがハザードなど周囲に気を配りながら、もっとも良い結果の出そうなクラブを選択するように、エグゼクティブは入手できる人材や物質から、もっとも良い結果が得られそうな最適の資源を選択します。
言われてみれば確かに共通する点が多いように感じます。ゴルフは戦略性に富むスポーツ。自分の技量を最大限に発揮し良い結果を産もうとするのはどのスポーツも同じですが、ゴルフは考える時間が多いのでビジネスに例えられる余地が大きいのでしょう。
セルヒオ・ガルシアも登場?
ここからは、ゴルファー視点で実際のゴルフプレーに役立ちそうなところをひろってみましょう。例えば、エグゼクティブは改善を怠り、自分流の「スイング」だけに頼って経営管理の仕事を続けていれば、今の時点でたとえ良い業績を残していても、ゆくゆくは確実に労力を無駄使いすることになる。これは自分流のスイングをやめて、レッスンプロ(=コンサルタント?)に習って練習しなさいという意味ではなくて、日々自分のやり方を見直し改善しなさいという意味です。トレーニングを積み重ねてさらに高いレベルに進むことを次のような刺激的な例え話で表現しています。
あの※セルジオ・ガルシアが、こんなことを言う姿を想像できるだろうか? 「僕はもうチャンピオンだ。だから今後はトレーニングは必要ないし、プレーで修正すべき点もない」と(※注:一般的には「セルヒオ・ガルシア」と呼ばれる)
ゴルフに熱中するわけ
読み進めていくとわかるのですが、ちょっと引っかかるところもあります。このエピソードにはエグゼクティブの仕事とゴルフとの共通点は多く指摘してあるのですが、肝心のなぜエグゼクティブがゴルフをするのかについては書かれていません。共通点が多いからといって、エグゼクティブが熱中する理由にはならないと思うのですが……。
仮に、エグゼクティブがゴルフに熱中するということが事実だとして(そうでない方も多いはず)、その理由をガイドなりに考えてみると、人脈を広げる点が大きいのではないかとも思います。一緒にゴルフをすると、よほどマナーの悪いゴルファーでない限り仲良くなれます。共通の話題で話が盛り上がりますし、レクリエーションとしてゴルフは最適でしょう。接待でゴルフが多く使われるのも理由がないことではありません。
そもそもゴルフは、15世紀に法律で禁止されたほど熱中できるスポーツ。ゴルフ本来の面白さが、エグゼクティブに限らず多くの人をひきつける最大の要因でしょう。
<関連リンク>
『なぜ、エグゼクティブはゴルフをするのか?』(Amazon.co.jp)
ゴマブックス