憧れのコレクションアイテム

「DESIGNED BY Arnold Palmer」。ゴルフの歴史を彩った名器の代表例
ゴルフは道具を使用するスポーツです。初心者からプロまで、どんなゴルファーにも道具には好みやこだわりがあります。そんな中でもクラブを収集したり、実際に使用することを喜びとする、ゴルフクラブマニアの間で取引される希少価値の高いプレミアムクラブが存在します。今回は、そんなコレクションアイテムを紹介しましょう。

ここ数年は、マニア間でもこうしたコレクションアイテムの流通は少なくなってきました。その理由としては、年月が経過し、コンディションのよいクラシッククラブが少なくなってきたことと、何よりコレクションアイテムには欠かせないプロゴルフファーの使用が少なくなったことがあげられます。

薄れゆく伝統のクラブに光を

トッププロゴルファーとプレミアムクラブは切っても切れない関係。多くのプレミアムクラブには、希少性とともに、長年使用したり、そのクラブで劇的な優勝を果たすなどの人気プロゴルファー愛用のエピソードがあるものです。

ところが、テクノロジーの劇的な進歩によって、プロゴルファーが最新モデルを使用するようになりました。特に顕著なのがウッドクラブで、大半のプロが400cc以上の大型ヘッドチタンドライバーを使用し、かつては全てのゴルファーが使用したパーシモン(柿の木)ウッドは完全に姿を消しました。結果、優れたクラフトマンシップを誇るパーシモンクラブを求めるゴルファーも激減するに至っています。

パターでもここ数年同様の問題があります。以前は年代物のクラシックパターを長く愛用するプロが多くいたものですが、現在の主流は「オデッセイ2ボール」に代表されるような大型のマレット型パターです。古いパターを使用していたプロも続々と最新モデルにスイッチしている現状があります。

こうした傾向の是非はともかく、ゴルフの歴史の一端を担ってきた名器の存在感が希薄になっているのは残念な事です。歴史が失われているこのような傾向に楔を打つ意味でもとりわけ有名なプレミアムクラブを紹介したいと思います。ゴルフを始めて間もないゴルファーにも知っていただきたい、出会えればラッキーなコレクションアイテムです。

>>次は、スコッティーキャメロンについて>>


ハンデをも克服したパターの名品
CLASSIC 1 1993Augusta Winner

スコッティーキャメロンの「CLASSIC 1 1993Augusta Winner」(画像をクリックすると拡大します)
現在のパターの主流は、異素材を組み合わせた大型のマレット型パターです。しかし、その他で例外的な人気を誇るのが「SCOTTY CAMERON(スコッティーキャメロン)」のパターです。最初のハイライトはなんと言っても1993年のマスターズで、ドイツのベルンハルド・ランガーがキャメロンブランドのパターである「CLASSIC 1」を使用して優勝したことでしょう。
ランガーは当時、パッティング時に手の動かなくなるイップス病に苦しんでいましたが、特異なクロスハンドグリップとキャメロンパターでイップスを克服し劇的な優勝を果たしました。

その優勝を記念した「CLASSIC 1 1993Augusta Winner」は930本が生産され、プレミアムパターとして人気を集め、そのうちの20本は、当時削り出しパターの材料としては一般的ではなかったステンレス素材で製造され、さらに希少価値が高くなりました。相場価格は、通常タイプで15~20万円くらい、ステンレスで35~50万円くらいです。


>>次は、CLASSIC1(ブラックパール)について>>


丸山茂樹らトッププロが愛用
CLASSIC1 The ART OF PUTTING

キャメロンパターの中でも特に評価の高い「CLASSIC1 THE ART OF PUTTING」。マニア垂涎の一品
キャメロンは1994年にアメリカのブランド、タイトリストと契約し、1995年以降のキャメロンパターのほとんど全てはタイトリストから発売されています。こうした10年以上のスコッティーキャメロンのパターの中でも王様的な人気を誇るプレミアムパターが、「CLASSIC1 The ART OF PUTTING」です。

美しい銀色で光の加減によって黒がかったようにも見える独特のブラックパール仕上げを施されているところから「ブラックパール」と通称されます。後年、ブラックパール仕上げと名づけられたパターがキャメロンブランドから発売されましたが、全く別の風合いです。

日本だけの販売で、300本生産と高額のプレミアムパターとしては比較的生産量は多かったのですが、日本のみならずアメリカでもマニアが殺到。定価15万円のところ流通価格はどんどん高騰し、現在はコンディションの良いものであれば70~80万円の価格で取引されています。プロ支給品のような数本単位の生産の希少モデルではなく、ゴルフショップで販売された通常モデルとしてはこれほどのプレミアムがつくことは例外中の例外といってよいでしょう。

発売当初、ガイドは何度か15万円で販売しているのを目撃していたので、「あの時買っておけば…」と後悔することしきり。出会った時に手に入れる。これはクラブ収集の鉄則でもあります。

筆記体による「Scotty Cameron」刻印はこのモデルだけの特徴
これほどの人気になったのは、パターそのものの美しさや日本限定販売という希少性にアメリカのマニアが飛びついたことに加え、有名プロが多く使用したこともあげられます。
深堀圭一郎選手が10年にわたって愛用していたのは有名な話ですが、丸山茂樹選手や田中秀道選手などトッププロが多く使用。その田中秀道選手が劇的な初優勝を果たした1995年のフィリップモリスでは、藤木三郎選手が、このパターを使用し1ラウンド「18」パットという世界記録をこのパターで達成しました。

>>次は、タイトリスト時代について>>


タイトリスト契約時代とタイガー・ウッズ

マニアの間で評価の高い限定モデル「INSPIRED BY DAVID DUVAL」(画像をクリックすると拡大します)
キャメロンは、1995年にタイトリストと契約して以降、「SCOTTY CAMERON by Titleist」というブランドでパターを発表します。タイトリスト時代のパターは、大量生産され希少性が乏しい事もあり、マニアの人気は、タイトリスト契約以前のキャメロンパターのほうが高くなる傾向があります。

タイトリスト契約時代のキャメロンパターでマニア人気が高いのは、数量限定で生産されたモデルです。美しい仕上げが魅力の「INSPIRED BY DAVID DUVAL」はその代表的なモデル。現在でも探しているマニアが多いパターです。

タイガー・ウッズの初優勝記念パター「LAS VEGAS INVITASIONAL」。優勝ストロークにちなんで332本製造(画像をクリックすると拡大します)
1996年にプロに転向したタイガー・ウッズは長年スコッティーキャメロンを使用しています。初優勝した1996年のラスベガスインビテーショナルの記念パターは、次代を担うスーパースターの初優勝ということで歴史的価値を見込んだマニアの間で価値が高騰。100万円近い値段で取引されたこともありました。プロゴルファーの実力や人気がそのクラブの価値を決定するという典型的な例だと思います。


>>次は、プロ支給品と偽物について>>



プロ支給品と偽物

市販品に独自にヘッド塗装を施し、刻印を入れたパターの例。知識なく真贋を見分けるのは困難(画像をクリックすると拡大します)
現在も続く、タイトリスト契約時代のもう一つのラインナップと呼べるのが、プロ支給品。プロゴルファーに使用してもらうこと前提としたものや新しいアイディアを盛り込んだ実験的なモデルをプロトタイプとして少量生産したものが、一般的な流通を経由せずマニアの間で取引される場合です。希少性が非常に高い事から、数十万円の価格で取引される事が一般的です。

そうした人気を見越して、既存品に手を加えプロ支給品に見立てるパター偽造も後を絶たないようです。最近は、キャメロン側のほうで正規品である事を認める証明書を発行したりすることで、こうした偽造防止に努めています。プロ支給品購入の場合は、こうした注意も必要です。特にオークションを介しての取引は、ショップでの購入に比べ相手がはっきりしない事も多く、リスクを十分に認識してから行いましょう。

次回はさらに時代をさかのぼり、ゴルフ界のビンテージモデルを紹介します。
    


<関連リンク>
中古クラブの買い方・選び方 その1(All Aboutゴルフ)
中古クラブの買い方・選び方 その2(All Aboutゴルフ)
SCOTTYCAMERON.COM(海外サイト)
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