【女子プロレス卒業生、広田さくらによるコラム/秘密の女子プロレス】
今回のテーマは“ジンクスの不思議”です!

世の中には、ジンクスと呼ばれるものが存在します。

例えば、芸能界でいえば“流行語大賞を取ったタレントさんは、翌年人気がガタ落ちする”とか、野球でいえば入団して活躍したルーキーが翌年ダメになる“2年目のジンクス”とか、映画でいえば“戦争映画で故郷で待っている子供と奥さんの話をした兵隊役は、“真っ先に死ぬ”とかです。

以前、当コラムで「信仰の不思議」というテーマを取り上げましたが、今回はその続編ともいうべき、女子プロレスに言い伝えられる変わったジンクスをいくつか取り上げたいと思います。

ジンクス1:試合当日、レスラーが着るTシャツやコスチュームに、はさみや針を入れることはタブー

長与千種&広田さくらのチーム・エキセントリック。試合コスチュームにはさみや針を入れることはタブーとされるが・・・
これは“針を刺す(ダメージを受ける)”、試合を“断ち切る”などにつながり、縁起が悪いと言い伝えられてきました。

でも当日になって「コスチュームが破れた」といったアクシデントもあれば、「俺、入場式でこのTシャツ着るから袖を切って」と言った、ジンクスをまるで無視した急な要望もつきものでしたが、そんな、どうしても針やはさみが必要な場合には、必ずやるおまじないもあります。

それは、裁縫し終わった後にその衣装を叩くのです。

よく洗濯物を干す時に服を叩きますよね?あんな感じで、両側からパシパシと、まんべんなく叩くのです。そうすることによって、清めることになるのだそうです。

私は、長与さんとエキセントリックを組んでいた時は試合コスチュームがTシャツだったことがほとんどで、試合当日に丈を短くしたり、袖を切ったりということをよく頼まれました。控室の片隅でTシャツを切っている時、山田さんから「終わったあと、ちゃんとパシパシやっておくんだよ」と念を押されたのを思い出します。

ジンクス2:リングシューズの紐は一番上まで通さない

昔、頼まれもしないのに北斗晶選手のお世話係をやらせて頂いていた時のことです。
試合前のシューズに紐を通して準備していると、北斗さんは「おめー、一番上まで紐通すんじゃねぇよ」と、デンジャラスに教えてくれました。

私がぽかんとしていると、また山田さんが「一番上まで通すと、怪我をするって言われているんだよ」と教えてくれたのです。

最も、北斗選手のシューズは膝近くまであるロングシューズだったので、そのようなシューズで一番上まで縛ったら足の自由が利かなくなります。それが元になって、生まれたジンクスなのかもしれませんね。

もちろん、レスリングシューズをはく選手は足を固定するためにしっかりと上まで結びます。私はレスリングシューズからいっぱしのリングシューズに変えた時、北斗選手ほど長いシューズではなく、すね辺りのショートシューズでしたが、師である北斗選手の教えを守り、一番上まで紐を通すことはありませんでした。

ジンクス3:○○色のコスチュームのレスラーは大成しない

これはあまり大声で言いたくないのですが、過去、○○色がトレードカラーだったレスラーで活躍した人があまりいない事から、そう言われているようでした。

怪我が続いたり、いい選手なのにいまいちぱっとしなかったりと、この色のコスチュームだった、あんな選手やこんな選手が浮かんでくるのですが、私が言い出しっぺじゃありませんよ。

もちろん、○○色を着て活躍されている選手もいらっしゃいますし、あくまでジンクスですから。

ジンクス4:チャンピオンになる前にそのベルトを巻くと、チャンピオンになれない

HHHベルトを巻かれそうになると、皆、真剣に嫌がったという。しかし、その理由はジンクスとは無関係?
これは“遊び半分でベルトを扱うな”という思いが込められているんだと思います。

長与さんはご自身がAAAWベルトを保持していた時、後輩たちに無理やり巻かせようとして、後輩たちが嫌がるのを楽しそうに見ていました(この段階で既に遊び半分で扱われているような気が・・・)。

実は私も「お前、このベルト(AAAW)巻いてみろよ」と道場で言われたことがあり、私が拒むと「あ、お前も一応狙ってるんだ」と、私にとっては失礼な話ですが、もっともな正論を述べていました。

そんな折、私が自分で作ったダンボール製のHHHベルトを、長与さんが例によって他の選手に巻かせようとしていましたが、みんなAAAWベルトを嫌がるより、HHHベルトを巻かれそうになる方が、真剣に嫌がって必死に逃げていました。

ジンクスとは別次元で拒むこともあるんだと言う事を、みなさんには知っていただきたいと思います。

そして、私自身にも試合前のジンクスが・・・

それは“コスプレ完成間近に、ミシンが壊れる”です。
誰にも伝わりませんが、いつも「後一縫い」というところでミシンの糸が絡まり、完成が遠のいたりしていました。

でも、これは本当に伝わらない私個人で悩めばいい問題なので、なんら女子プロ界には影響はないし、言い伝えられることでもありません。

そんな迷信や言い伝えを重んじるレスラー達ですが、節分の時、道場で吉方を向いて太巻きを食べたことがありました。“吉方を向いて太巻きを食べると、福がきて願いが叶う”というあの行事です。

なぜか長与さんは「笑って食べるといいんだぞ」と言い、みんなで意味なくバカ笑いして食べた記憶があります。別に笑う必要はないし、実はその時の方角も微妙に間違っていたのですが、あの時はそれだけで福がきてくれたぐらい楽しかったです。

このように、女子プロの世界にも一風変わったジンクスがたくさんあります。それらに根拠はないのかもしれませんが、先輩から後輩に受け継がれるものは技や技術だけではなく、怪我をしないための願掛けやジンクスもあるのです。

それらを守ることで、自分を戒める気持ちや、目には見えない物(よく言うプロレスの神様とか)を敬う心を養っていくのではないかなと思います。

今回の秘密の女子プロレス、『ジンクスの秘密』お役に立ちましたでしょうか?それでは、また次回。


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