『生全部広田。~全部ソレっぽいカンジで~』、公演決定

広田さくらの主演舞台が10月に決まった。前作を上回る究極の自己表現を試みる
本コーナーでもお馴染み、元女子プロレスラーで“不世出の表現者”広田さくら(広田さくらの特別コラム/バックナンバーはコチラ)。2005年4月、所属していたガイアジャパンの解散とともにプロレスを卒業。試合後に自身の気持ちを初めて告白したため、その急な決断にファンは戸惑いを隠せなかった。

そんな広田の次なる挑戦は、舞台という新たなるリング。プロレスを卒業した翌年から、精力的に芝居へと打ち込み、2006年3月には本格的に役者活動をスタート。6月には早くも主演舞台を実現させた。もともと、広田にとってのプロレスとは自己表現のための一つの手法。逆をいえば、広田の自己表現とは、それを観る側との“プロレス”でもある。

6月の広田主演舞台では、プロレスをテーマに、彼女は彼女が考える「舞台という名のプロレス」を真正面から観客へと提示。広田さくらという存在自体を曝け出した。特筆すべきは、プロレスを卒業した広田が今もなおプロレスという題材を扱うことで過去の自分への執着や心の迷い、そして葛藤までをも舞台に散りばめたという点だ。それは観る者に対し、己の存在価値を問うているようにも思えた。

そんな広田さくらの次なる主演舞台が10月に決まった。タイトルは『生全部広田。~全部ソレっぽいカンジで~』。広田自身が主演のみならず、脚本・演出・衣装も務めることで、前作を上回る究極の自己表現を試みる。リングで闘うだけがプロレスではない。広田に話を聞いてみることにした。

16面を意識するリングから、1面を意識する舞台へ

ガイド:前回の舞台では、スリムになったと好評でしたね(笑)。

広田:ダイエットしましたね。看板女優ですから(笑)。舞台上で凛としたものを出さなければというのもあって、ブヨブヨよりスリムにシャープに。まあ、引退をした選手が太っている必要もないと思うんですよね。

ガイド:それはなぜですか?

広田:これはプロレスを守っているんですよ。技を受けても耐えれるだけの身体を作っていた訳ですから、引退しても同じ体型だったら、「何だったんだ?」ってなるじゃないですか。

ガイド:ある意味、素晴らしいプロ意識です。

広田:それこそ、現役の選手に失礼ですよね。

ガイド:さて、前回(6月)の舞台はいかがでした?

広田:難しかったですね。リングと舞台、芝居と試合は全然違うということに改めて気付きました。

ガイド:具体的には、どこに難しさを感じましたか?

広田:レスラーやっている時は、(舞台と)通じるものがありますよとかっていわれたんです。確かに表現するという意味では共通するものはあるなとは思いましたけど、それはお客さんの前で何かやるという部分だけで、実際にレスラーとして培ってきたものが出せたかどうかはわかりませんでした。

ガイド:共通するのは、客前という部分だけですか?

広田:長与(千種)さんには、もともとリングでは、16面を意識しろって言われたんですよ。リングサイドの4面と、斜めの4面。あとは、2階席の4面とその斜め(4面)。でも、芝居の舞台って1面だけじゃないですか? 上手から下手を意識すると、私が今まで意識してきた残りの15面はいらないんですよね。

ガイド:細かくは全然違うモノであると?

広田:身体全体で表現するんですけど、常に前から見られているふり幅で表現しなきゃいけないんですけど、私はすぐ後ろを向いてしまったり……。下を向くっていう表現も、少ないふり幅で、大きく表現するのが芝居ですから。