矢作祐輔(やはぎゆうすけ)
本業は某ジャンルを得意とするサブカル系ライター。矢作名義は格闘技ジャンルのみの隠しペンネーム。この名義のデビュー作は、ニッポンスポーツムックNo.35「PRIDE&ヴァーリトゥード最強読本」所載「世界のヴァーリトゥード事情ーIVC、WVCを知ってるかい?」。当時超落ち目だったUFC情報や海外VT情報を日本に伝える事に使命感を燃やし、ゴング格闘技、SRS-DX、ナイガイタイムスなどを舞台に活躍。井田との関係はUFC現場取材を通して。ばうれびメールマガジンの常連寄稿者として、歯に絹着せない辛口批評と、一味違った先読み情報に健筆を揮った。UFCの日本放送開始を機に格闘技関連の執筆からは撤退。現在はもっぱらTV観戦に徹する“鎌倉のご隠居”。オールアバウト読者の皆様には、おなじみになりつつある「狂犬ブラザース」の“噛む方”。


井田英登(いだひでと)
特技=遅筆と惰眠。森羅万象、特に金銭問題に悩めるBoutreview編集長。前回の「狂犬ブラザース」対談の放言の責任を取って頭を丸めて以来、ついに一年間スキンヘッドを維持。その特異なルックスに周囲が引くのが面白いらしい。「狂犬ブラザース」の“吼える方”。





井田「またもや恒例のメッタ斬りの季節が来ましたね(笑)」

矢作「オマエは、また性懲りも無く…勝手に恒例にされて困ってるこっちの立場を考えた事が無いのか、キミは(笑)」

井田「ホントにヤなら、この時期電話を着信拒否にするはずだ(笑)」

矢作「やりかたを知らないんだよ、着信拒否(笑)」

井田「あー、携帯メールもロクに打てないスからね、あなた(笑)でも、毎回どんなムチャを言っても頭剃らずに済むんだから、結構楽しくないスか?」

矢作「俺の言った事で、キミがあちこちに叱られるのは確かに快感なんだが(笑)、世間にキミの相方みたいに思われるのが心外だ」

井田「またまたー、一番仲良しじゃないスか(笑)最近、年末に狂犬ブラザースやらないと、あちこちから催促されんですよ(笑)。センセもネタ切れだと思われるのは心外でしょ、幾らでも面白い事言えるのに」

矢作「だからそのネーミングをやめんかい!」

井田「じゃどうします? 冒険ブラザース?」

矢作「言ってる内容は“冒険”的かもな」

井田「暴投ブラザース?」

矢作「的を外してるのはキミだけだ(笑)」

井田「どっちにしろブラザースはいいんですね」

矢作「よくないっ!(笑)」

井田「じゃ、祐輔と英登“狂犬アミーゴ”」

矢作「……」

【ROUND 1】メジャーの下部構造:格闘インディ団体の地盤沈下


井田「さて、無言の承認が出たところで、最初の議題行きますよ。サイレント・アミーゴ(笑)」

矢作「議題ってなんだよ」

井田「今年の格闘技界見てて、感じた問題点に決まってるじゃないスか」

矢作「問題点ねえ…あると言えばある、無いと言えば無い」

井田「玉虫色の回答ですね(笑)」

矢作「だって、景気もまだまだ良くないってのに、潰れる団体も特になく。少なくともメジャー団体二つは、結構な動員だってキープしてる。年末の格闘技番組だって、また今年もKP対決で続いてる。業界的には万々歳だろうさ」

井田「ホントにそれ本音で言ってます? アミーゴ」

矢作「アミーゴは止せ(笑)。それはともかく、一面の真実ではあるだろうよ」

井田「でも潰れやしなかったにせよ、去年以上にインディ団体の窮状は酷い事になってますぜ」

矢作「はっきり言えば、メジャーに選手をもっていかれる一方の団体はキツい興行にならざるを得ないってことね。こないだの武士道トーナメントなんかでも、パンクラスと修斗の合同興行みたいなラインナップだったもんなぁ…」

井田「NKが無くなって、横浜文体での興行が、今やその辺の中堅団体のマックスサイズの会場になってるんですが。ここでの入りというのをリトマス試験紙にしてみると、動員的にキツかったのは否めない。修斗の8月大会はPRIDEとのコラボでマッハを呼び戻して、ルミナとのそろい踏みを実現させましたからなんとか八割方埋めてみせましたけど。パンクラスはキツかったですねぇ。今年は頑張って4回横文興行をやったんですが、入りはいずれも辛い感じ。特に禁断のリングス勢として金原を投入して近藤に当てた10月大会なんかは、一昔前ならドカンと来ててもおかしくない中身だったんですが」

矢作「あー、アレなあ…機を逸したというか。もう禁断じゃないし、逆に“ここまでやらなきゃダメなのか”って思わしちゃったと言う感じだもんな」

井田「“おーッ!(↑)”、じゃなくて、“へえぇ(↓)”ってなっちゃうのが微妙でしたね(笑)」

矢作「だよなあ(笑)。でも、それって賞味期限の問題って言うより、やっぱりPRIDE効果なんだろうな。どんな豪華なカード組んでも、一枚じゃ足りないんだよ。合わせワザで来られるとPRIDEの厚みには敵わない。まして近藤も金原もパンクラスでしか見られない選手じゃない。武士道GPのミドル級一回戦で実現してても全然おかしくないカードなんだから」

井田「単純に有明の武士道GPと比べたら4分の1というか、第一試合か第二試合に組まれちゃいますからね…」

矢作「まして向こうはライト級の二段トーナメントだったしさ」

井田「ああ、8分の1か…」

矢作「一個一個の試合で言えば、後楽園のメイン級じゃん? メイン8試合の串団子をスタンダードにされたら、どう見たって敵いっこない。PRIDEのやり方は徹底してるよ。覇権ってのはこうやって掴むんだってのを、体現してる。徹底した物量作戦仕掛けて、クオリティで差つけちゃって、それまでのスタンダードなんかたたき壊しちゃう。やられた方はぐうの音も出なくなって、下部構造に取込まれるしかなくなるわけだ」