脅威の粘りで激闘を制し、ついに決勝へ
高かったカベをようやく超えた玉田

中国・済南は夜21時30分を回ろうとしていた。シンガポール人主審のホイッスルが山東スポーツセンタースタジアムに鳴り響いた。その瞬間、殊勲の玉田圭司(柏)、痙攣を起こしながら120分間走り続けた鈴木隆行(鹿島)、途中出場の小笠原満男(鹿島)がピッチに倒れこんだ。キャプテンの宮本恒靖(G大阪)も、攻撃の要・中村俊輔(レッジーナ)も、よろけそうななりながら歓喜の抱擁を交わす。2試合続けて前後半、延長戦を戦った選手たちは満身創痍を通り過ぎていたが、2大会連続決勝進出という大きな収穫を得た。しかもその相手はホスト国の中国。6万5000人収容の北京・工人体育場は「反日感情」をむき出しにする中国人でごった返すだろう。この過酷な環境で勝利をつかんでこそ、真のアジア王者といえるのだ!

中国で開催中の2004年アジアカップ。準決勝に進出した日本代表は3日、18時から済南でバーレーンと対戦。先制されて追いつき、再び逆転を許すも再逆転して4-3で勝利。2試合続けて脅威の粘りを見せつけた。午前中から雷雨となったこの日の済南。雨のおかげで気温が下がり、涼しくなると思われたが、夕方には蒸し暑さが戻ってきた。試合開始時の気温は33.6度、湿度は65%。ここまで4試合を戦った重慶以上にプレーしづらいコンディションだった。それに加え、ピッチ状態の悪さ、中2日という試合間隔の短さ、移動による疲れもある。

中国人の反日ムードも重慶に匹敵するレベルだった。観客が3万2000人とやや少なかったため、重慶ほどの迫力はなかったが、国歌斉唱時のブーイングや起立拒否は相変わらず。日本がミスをするたびに沸き起こる大歓声も一緒だった。我々日本人記者に見せつけるかのように、大声でバーレーンを応援する中国人記者もいた。彼らのマナーの悪さは目を覆わんばかり。取材者やボランティアの態度を含め、運営面の問題が山積しており、北京五輪をスムーズに開催するには、相当の努力が必要だろう。

準々決勝・ヨルダン戦で奇跡的勝利を挙げたとはいえ、ここで負けたら全てが水泡に帰す。大いなる屈辱を味わないためにも、絶対に勝たないといけない。ジーコ監督はこれまで4試合と全く同じスタメンをピッチに送り出した。GK川口能活(ノアシャラン)、DF宮本恒靖(G大阪)、田中誠(磐田)、中澤佑二(横浜)、右サイド・加地亮(FC東京)、左サイド・三都主アレサンドロ(浦和)、ボランチ・福西崇史(磐田)、遠藤保仁(G大阪)、トップ下・中村俊輔(レッジーナ)、FW玉田、鈴木隆行(鹿島)という顔ぶれだ。右ヒザを打撲し、出場が危ぶまれていた玉田は自ら強行出場を申し出たという。
対するバーレーンは3-4-3システム。注目は五輪代表FWでもあるA・フバイル、FWアリらだ。

この大会に入ってからというもの、前半はいいリズムをつかめなかった日本。だがこの日はしっかりとボールポゼッションをし、攻撃を組み立てようとした。相手守備陣の寄せが甘く、中盤にスペースがあったことも有利に作用。早い時間帯にゴールが生まれそうな雰囲気も漂った。ところが開始6分、要注意プレーヤー、A・フバイルにたった1度のチャンスを決められ、いきなり先制点を奪われた。堅守を誇ってきた最終ラインは明らかに動きが悪く、1次リーグのタイ戦、準々決勝・ヨルダン戦と同じ展開を余儀なくされたのだ。

これにめげず、日本は積極的に攻める。12分には遠藤からのスルーパスを受けた玉田の左足シュートがバーを叩くなど、決定的チャンスも何度かあった。鈴木が前線でキープしてタメを作り、その間に三都主や遠藤らがゴール前に上がるなど、攻撃にはリズムがあった。が、肝心の1点を奪うことができない。
そんな日本に追い討ちをかける出来事が前半40分に発生する。対峙したMFサルミーンを振り切ろうと手を払った遠藤保仁(G大阪)に不可解なレッドカードが突きつけられたのだ。本人は「故意ではないし、手が当たっただけ」と言うが、レフリーには肘打ちをしたと取られ一発退場。0-1の状況で10人の戦いを強いられた。

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