準々決勝ヨルダン戦を控えた日本代表の前日練習の模様をお伝えします。レポートは元川悦子さんです。

<今後の日程>
【準々決勝】 7/31(土)
19:00 日本-ヨルダン 重慶
22:00 韓国-イラン 済南
【準決勝】 8/03(火)
19:00 バーレーン-(日本-ヨルダンの勝者) 済南
22:00 中国-(韓国-イランの勝者) 北京
【3位決定戦】 8/06(金)21:00 北京
【決勝】 8/07(土)21:00 北京

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重慶に珍しい雷雨の中、最終調整
ヨルダン戦勝利のカギはセットプレー?

今日31日の準々決勝・ヨルダン戦に勝っても負けても、重慶滞在はあと1日。35度を超える蒸し暑さに慣れつつあったが、この町を去る直前になってようやく雨に出会えた。それも物凄い雷雨。時折、稲妻が光る中、日本代表選手たちは未知の国との対戦に向け、じっくりと調整した。

攻撃の要・中村俊輔(レッジーナ)もイラン戦で痛めた左足首を確かめるように丁寧にボールの感触を確かめていた。今大会の日本代表は流れの中からゴールが奪えておらず、「攻撃に歯がゆさがある」と彼もいう。「ワンチャンスがすごく大事だし、すごく大きい。それをモノにできるように、自分がどこかで起点になれればいい」と中村は数少ない決定機を得点につなげ、準決勝進出を狙っている。2004年アジアカップ(中国)で大会2連覇に挑んでいる日本代表。ベスト4進出の懸かる大事な準々決勝・ヨルダン戦を控え、30日は16時から重慶五輪競技場でトレーニングを行った。前日はホテルで静養していたスタメン組も全員揃って合流した。

この日は灼熱の太陽が影を潜め、全体練習開始前から真っ黒な雨雲が近づいてきた。そしてウォーミングアップとクロス&シュートの練習が終わった途端、物凄い音の雷が鳴り、スコールのような大粒の雨が降り始めた。ピッチの外で撮影していたカメラマンは一斉に軒下に移動。しかしジーコ監督も選手たちも特に驚いた様子は見せず、淡々とビブスで2組に分かれた。連日、35度を超える猛暑に見舞われた彼らにとっては「ちょうどいいシャワー」だったのだろう。

続いて行われたセットプレー練習の際、レギュラー組に入ったのは、イラン戦と全く同じメンバー。ジーコ監督は「勝っている時はチームを変えない」という哲学を頑なに守り続けている。左足首ネンザの中村もテーピングを巻いて強行出場させるようだ。

ヨルダンの守備陣はイランのように高さがないため、中澤佑二(横浜)、福西崇史(磐田)ら長身選手を擁する日本にとっては重要な得点チャンス。中村か遠藤保仁(G大阪)が蹴ったボールを中澤らが頭でゴールするだけでなく、宮本恒靖(G大阪)が後方から飛び出したり、ペナルティエリア外の三都主アレサンドロ(浦和)がミドルシュートを放つなど、いくつかのパターンが繰り返された。「こういうトーナメントは波が必要。先に点を取って波に乗りたい」と中村も話していた。特にノーゴールの鈴木隆行(鹿島)、玉田圭司(柏)のFW陣には期待がかかる。鈴木も高さを備えた選手なので、セットプレーでも何でもいいから得点してほしいもの。

この後は恒例のミニゲームとPK練習。準々決勝からは90分で決着がつかない場合、15分ハーフの延長戦に突入。それでも勝負が決まらない時はPK戦となる。30日に成都で行われたバーレーン対ウズベキスタン戦もPKまでもつれ込み、最後の最後でバーレーンに軍配が上がった。日本が準決勝に進出した場合はこのチームと済南で激突する。彼らより1日休養日の少ない日本にとってみれば、PKまで試合を長引かせたくはない。実際、GK川口能活(ノアシャラン)が絶好調なのは心強いが、キッカーの決定率が高いともえない。この日も全員が3本ずつ蹴ったが、3本全部決めたのは福西だけ。ほぼ全員が1~2本はGKに当てたり、ワクを外したりしており、やや心配な状況だった。

やはり、日本勝利のポイントは、「先制点」に尽きる。すでにヨルダンのビデオを見たというキャプテンの宮本恒靖(G大阪)は「彼らは人数をかけて守ってくる。左サイドバックの3番とセンターバックの6番は要注意。ギリギリのところで足が伸びてきたりするから」とケアすべき点を説明。さらに「アウトサイドにスペースがあるから、ラインを上げて高いポジションを取るようにしたい」と攻略法の一端を語っていた。

ここ3試合は強烈な暑さもあって、日本の最終ラインは思うように押し上げられず、三都主も加地亮(FC東京)も積極的なオーバーラップを仕掛けにくかった。だが、前線と最終ラインがコンパクトになれば、彼の持ち味であるスピードとドリブル突破力がもっと生きてくる。「サイドがチャンスを作らないと、相手の守備が崩れないことはわかっている。日本の3バックがしっかりサポートをしてくれるし、自分は攻守の切り替えを速くして、効果的な攻めを仕掛けたい」と三都主もポジティブに前向きに話した。

今大会の日本はボールポゼッションが低い。前回優勝の立役者の1人である中村も「伸二(小野=フェイエノールト)やイナ(稲本潤一=フラム)と違って、ヤット(遠藤)とフクさん(福西)は、そんなに前に出るタイプじゃない。だから自然と守りの時間が長くなる」と分析する。しかし「ヤットたちもタイミングを見ながらいい上がりをする。自分が出したボールをタマ(玉田)がヤットにつないでシュートという形がイラン戦でもあったけど、そういう崩しが理想的。ワンチャンスがすごく大事だし、すごく大きな意味を持つ。自分も我慢して、どこかで起点になれるといい」と、工夫しながら、流れの中からの得点を演出するつもりだ。

前回の中村は名波浩(磐田)にリードしてもらう存在だった。が、今や彼は最も国際経験豊富な選手。日本代表を力強くリードしなければならない。今日のヨルダン戦では、またもや中国人サポーターからブーイングを浴びるだろう。ジーコ監督も「国歌斉唱の際のブーイングは許せない」と激怒していたが、状況が大きく変化するとも思えない。絶対的アウェーの中、中村俊輔が4年前の名波に匹敵するリーダーシップを発揮できるのか。決勝トーナメントに突入した今こそ、彼の真価が問われる。

●練習後のジーコ監督・選手コメント(2P目)