サッカーのユニフォームと言えば、ミラン、ユヴェントス、バルセロナと縦縞(タテジマ)のイメージが強い。だが、もともと区別のために用いられた縞模様は、ラグビーのように横縞(ヨコジマ)も存在し、最近では世界的に少しずつ増加中である。

愛称にもなったセルティックのヨコジマ

日本でもすっかりお馴染みになったセルティックのユニフォーム
2008年1月に日本復帰の噂も出ている中村俊輔選手。スコットランドに渡って4季目、すっかりセルティックのユニフォームに馴染んでいる。だが、最初に彼のユニフォーム姿を見たとき、ちょっと違和感を覚えなかっただろうか。 

サッカーでは一色もしくはタテジマのユニフォームが多い中、セルティックは、チームの愛称「The Hoops(輪っか)」の通り、緑白の“ヨコジマ”。緑と白はアイルランド国旗に由来し、緑はカトリック、白は平和を象徴するという。ちなみにアイルランドの国旗は一色オレンジを加えたものだが、オレンジはプロテスタントを表す色なので、カトリック系のセルティックのユニフォームには使われていない。

もともとセルティックは1887年にグラスゴーにおいて、貧しい子どもたちを救済することを目的として神父が創設したチームで、アイルランド系移民の多かったエジンバラのハイバーニアンをモデルにしたという。

緑一色だったハイバーニアンとの区別のため、緑と白のものを採用したのは用意に想像できる。しかし、どうしてヨコジマになったのか……。ライバルのレンジャーズがラグビークラブの色を真似たように、ラグビーを真似たのか、はたまた天使の輪をイメージしたのか。

セルティックが産声を上げた19世紀後半は、起源を同じくするスポーツであるラグビーとサッカーが分かれて間もない頃。ユニフォームを作った業者がたまたまヨコジマにした、というところが実情ではなかろうか。とにかく中村選手の活躍で、日本においてセルティックのヨコジマは、すっかりヨコジマは市民権を得たと言っていいだろう。

少数派だが、世界各国に存在するヨコジマ

バイエルンは昨シーズンから横縞を採用
そう言えば、かつて中田英寿氏が活躍した、イタリアのパルマも1998年から2004年まで青と黄のヨコジマを採用していたものの、このデザインを採用した理由は不明である。現在は創設当時のデザイン(十字柄)に戻しているが、ヨコジマ時代の方がUEFA杯やイタリア杯優勝など好成績を残しているために、ヨコジマは縁起のいいデザインとして復帰を望む声が高い。

他にヨコジマのユニフォームといえばどこが思い浮かぶだろうか。ポルトガルのリスボンやドイツのグロイター・フュルトのユニフォームもセルティックと同じ緑白のヨコジマだ。因果関係は詳しくわからないが、両チームともセルティックより後の時代にできたチームである。イングランドのレディングやQPRなどのユニフォームもヨコジマであり、各国に少なからずヨコジマが存在する。

やはり、ユニフォームの色や柄は、他クラブのユニフォームとの区別することが第一義的な目的である。サッカーのクラブがヨコジマのユニフォームだってまったく問題はない。現在のように、タテジマはサッカー、ヨコジマはラグビーといったイメージは19世紀後半や、20世紀前半にはあまり強くなかったのでは。

ついに日本でも採用されたヨコジマ

今季から、ついにJリーグにも赤と青のヨコシマなクラブが誕生した。それは、鹿島アントラーズだ。最初見たときに、かつてジーコが活躍し、1981年のトヨタ杯でも来日した「ブラジルのフラメンゴのよう」と思った人も多かったはずだ。

ヨコシマなユニフォームの由来は下記のようなものである(公式HP抜粋)。赤は茨城県の県花であるバラから、青は鹿島灘の海の色から採用されたカラーで、生まれ変わろうとしているクラブの象徴として、ユニフォームを斬新に「衣替え」したのこと。

新しいファーストユニフォームは、そのディープレッドとディープブルーによる斬新なホリゾンタルストライプ(横縞)としました。4本のディープブルーのストライプはそれぞれ太平洋、利根川、霞ヶ浦、北浦の「水」を表します。水郷筑波国定公園に位置し、水に恵まれたホームタウンエリアを象徴しています。また、その4本のストライプによって分けられた5つのディープレッドの部分は、鹿嶋、神栖(かみす)潮来(いたこ)鉾田(ほこた)行方(なめがた)のホームタウン5市の大地を表します。

上記にあるように、サッカーではタテジマのイメージが強いため、“斬新さ”を求めてヨコジマにしたのだ。

ヨコジマクラブも“ボーダー”レス化

ジーコが在籍していたフラメンゴも横縞が伝統だ
ちなみに、1895年創立のブラジルのクラブ・デ・レガタス・ド・フラメンゴは赤黒のヨコジマである。フラメンゴはもともと、女の子にもてようとした青年たちがレガッタクラブとして設立された経緯を持つ。そのため、ヨコジマを採用したのは、そのあたりが要因であろう。

また、昨シーズンからドイツの強豪バイエルンも昨季から赤白のヨコジマとなった。70年代や90年代はタテジマだった時代もある中で、ヨコジマを採用した。どうやらサプライヤーの関係のようだが、赤一色時代よりもスタイリッシュである。バイエルンのクラブカラーの赤白は、バイエルンの紋章に見られる熊手模様(上が赤で下が白の、広い意味でのヨコジマ)であり、タテジマにしなければいけない理由は見あたらない。

やはり、強いチームに憧れるのは世界共通。ヨコジマのクラブがもっと活躍すれば、ヨコジマのユニフォームを採用するクラブも増えていくのでは……。今後、タテジマのクラブだけでなくヨコジマのクラブも“ボーダー”レスになりそう。



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