クラブハウスの前で、練習着姿のディバイオ(写真:斉藤健仁)
2001-02シーズン、パルマ時代にセリエAで20得点を挙げたマルコ・ディバイオ。その翌シーズンにユベントスに移籍してから親交がある彼に、2年半ぶりにイタリア・カルチョに復帰した心境を訪ねてみた。
(インタビュー・訳 野辺優子)

スペイン、バレンシアの空港でディバイオにインタビューしたのは、2年前のことだった。当時、バレンシアでは彼をスペインに呼び寄せたイタリア人、クラウディオ・ラニエリ監督が解任され、戦術的に理由から彼は出場機会が減少していた。その翌年に控えていたドイツW杯に出場するためにも、「一刻も早くイタリアに戻りたい」、と心境を語っていたディバイオ。しかし、結局その年彼はバレンシアに残留することとなり、その後、フランス・リーグアンのモナコへと移籍した。

そして、2年半ぶりのイタリアで、ディバイオが選んだのはセリエAのチームではなく、セリエBで昇格圏内にいるジェノアだった。

インタビューは練習後、仮住まいをしているホテルのラウンジですることになった。エレベーターから降りてきたディバイオは、あの時とは見違えるような柔和な表情になっていた。それが、イタリアに帰ってきた安堵感のせいだけでないのは、すぐにわかった。

彼はソファに腰を下ろすとおもむろに携帯電話を取り出し、私に待ち受け画面の愛らしい赤ちゃんの写真を見せてくれた。

オーグロ(大黒)とこの間食事したよ

私服はいつもカジュアルだ。最近は「アバクロ」がお気に入りで、ネット通販しているそうだ(写真:斉藤健仁)
――娘さんが生まれたのね。
「ソフィアっていうんだ。去年の夏に生まれたんだよ。まだ見たことがなかったよね」

――マルコにそっくりだね。
「目元がだろ。ソフィアっていうのはいい名前だと思うだろ? そうだ、あとで日本語でソフィアってどう書くか教えてくれないかな。妻が喜ぶと思うんだ。

子どもが生まれて、僕たちは本当に幸せに思っている。僕としては、すぐにでももう一人、そう、男の子が欲しいんだけどね。もちろん、前にも言ったかもしれないけれど、サッカーをやらせたいんだよ(笑)」

――奥さんのマリーザは元気? 娘さんと一緒にローマの家に帰ってるの?
「ああ。君にもよろしくと言っていたよ。実は妻と娘はまだモナコにいるんだ。娘がまだ小さいこともあるし、モナコとジェノヴァは500キロ、車ならそんなに距離はないからね。今は僕はこうして一人でホテルにいて、休みの日に妻がやってきて、一緒に住むジェノヴァで新しい家を探しているところなんだよ。

そう言えば、この間、オーグロ、発音は合っている? 大黒(将志)と先日知り合いになったんだ。モナコの家に遊びに来たんだよ。トリノのステローネは、僕と出身が同じ(ローマ)だから仲の良い友達でね、彼が大黒を連れてきたんだよ。ロベルト(ステローネ)は、中村がいたときにレッジーナにもいたから日本人に縁があるんだ(笑)。

大黒はなかなか面白いやつだったよ。すごく感じのいい青年だね。僕はかなり気に入ったね。イタリア語もだいぶ覚えたみたいだね。結構話していたよ。たしか、トリノへ来る前はフランスでプレーしていたんじゃなかったっけ? そう、グルノーブルだったね」

ヒデとは良い思い出ばかりだ

チームメイトにもすぐに溶け込んでいた(写真:斉藤健仁)
――今、セリエAには3人の日本人選手がいるんだよ。
「モリモト(森本貴幸の)は知っているよ。カターニャの18歳だよね。この間ゴールを決めていただろう。やっぱり、同じFWとして気になっているよ。後は、メッシーナにも1人日本人選手がいるんだよね」

――日本人と言えば、パルマで同僚だった中田英寿が引退したことは知っている?
「ああ、知っているよ。まだやれると思っていたから本当に残念だね。中田との思い出ならたくさんあるよ。もちろん、いつも思い出すし、いい思い出ばかりだ。試合でも一緒にプレーしていたし、プライベートでもよく食事にも出かけたこともあるし、そうだ、よく一緒にミラノへ出かけたね。

それに、何よりヒデは誰よりもプロ意識の高い選手だったことを覚えている。当然、体を張ったプレーだとか、ボール扱いとか、技術の部分は言うまでもないことだけど、とにかく、彼のプロフェッショナル精神にはたびたび感心させられたよ。お世辞抜きで、本当にヒデはビッグクラブで活躍するのにふさわしい選手だと思っていたよ。

日本ではカメラの前で話さないなんて噂も聞いたことはあるよ。だけど、それもヒデのプロフェッショナリズムの表れでもあるんだろうね。確かに、ちょっとはじめの頃は難しい性格だなって思うことはあったよ。だけど、付き合っていくうちに、とても良く話をするヤツだってわかったし、すごく頭の良い男だと思った。それに気持ちのいい青年だ。そして、サッカーに対しては人一倍ポジティブだったしね。その部分では本当に尊敬に値する選手だったよ。

それで、今ヒデは何をしているの? サッカー関係やテレビの仕事とかをしているわけではないの!? やっぱり、あまり人前に出ることは好きじゃないのかな。まあ、考えてみれば、もう働く必要なんか全然ないかもしれないけどね(笑)」

※「footballista」2007年3月7日(第18)号に掲載された記事を一部改編。

インタビュー2に続く



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