前回「ショップへ行って、買い物をしよう!」に引き続き、フライフィッシングをはじめるための基礎講座第5回目。今回は、いよいよキャスティングのテクニックです。

キャスティングを覚えよう

フライフィッシングでもっとも独特なところが太くて重いラインを自在に扱うテクニック。フライのキャスティングはこれから覚える人にとっては難しく見えるかも知れないが、一回基本を覚えてしまえばそれほど大変なことではないのだ。

フライキャスティングは軽い毛針を遠くのポイントへ届けるために発達した独特の投法で、ルアーや投げ釣りのように錘を遠くへ飛ばすためのテクニックとはずいぶん違うアプローチになる。基本的なキャスティング方法を紹介していくので、名手達のように27ヤードのフライラインを全部飛ばせるようになるまで少しずつステップアップしていこう。


ベーシックな方法からチャレンジ

フライフィッシングのキャスティングではなによりもフライラインがループを描くようにすることが大事。逆に言うとこのループが作れないということは、どこかに間違いがあるということなので、ミスがあればすぐに直せるので失敗を恐れなくてもよいという、とても分かりやすいロジックも付いていると取ることもできる。良くも悪くも結果がすぐに分かるので練習はやりやすいはずだ。

さて、キャスティングの前にロッドの握り方を少し解説しておこう。タックルをセットしたら、リールを真下にくるよう手で握ったら親指をグリップの真上にくるようにする。いろいろな握り方があるけど、このサム・オン・グリップと呼ばれる握り方が基本になる。強く握る必要はないけど、ロッドを振っていてもグラグラしないように気をつけること。ちなみにフライラインは人差し指で挟んでおくと一定の長さのまま振ることができる。人差し指を離し、開いている手でラインを摘んでいてもオッケー。後々、飛距離を伸ばすときにはこちらの構えになるので、どちらでも同じリズムで投げられるように練習しておいたほうがよいだろう。

基本的なロッドの握り方はこんな感じ。親指をロッドの真上にくるようにすると、正しい軌道を描きやすくなるのだ。ラインは人差し指で押さえておくとラインは常に一定の長さになる。
フライラインを開いている手で摘むように持ってもオーケー。



ロッドの握り方を覚えたら、いよいよ理想のループを作ることを覚えてみよう。最初の練習としてやってほしいのは前方に伸びたラインを「ピックアップ」して、同じ場所に「レイダウン」すること。これの練習方法は簡単だ。まずはある程度の長さ(最初は5mぐらいでオーケー)のフライラインをあらかじめ出しておく。ロッドとラインが自分の正面に来るようポジショニングしたら、そのままロッドを立ててラインをピックアップする。後方へラインが伸びたらロッドを前方へ倒し、元の場所へラインを置く。たったこれだけだ。

ピックアップ動作のイメージ。前方に置いたフライラインを後方に引き抜く感覚だ。後方に跳ね上げるつもりでロッドを操作してみるとよい。
レイダウン動作イメージ。後ろに跳ね上げたフライラインは力がうまく伝達するとループが解けながら一直線になろうとする。直線に近くなったら今度は前方へラインを押し出す感じでロッドを操作してみよう。
>>まだまだ続きます、キャスティングの基本>>

ピックアップ・レイダウンの次はフォルスキャスト

最初はフライラインが手前にたるんで落ちたり、左右どちらかにずれたりするはず。自分の後頭部をラインが叩いてしまうことだってあるだろう。手前にラインが落ちてしまったり、後頭部を叩いてしまうときはスイングが早すぎるかピックアップとレイダウンのスピードがバラバラになっていることが多い。ロッドから伝わるラインの重みを常に感じながらゆったりと振るようにすればだんだん正確に落ちるようになるはずだ。コツはロッドの運動の頂点(振り上げたときと振り下ろしたとき)で、ちょっとだけロッドをストップしてやること。ラインが行きたいところまで行けるように少しだけ間を空けてあげるのだ。出しているラインが長ければ長いほどこのストップの時間を長くしてやると素直にフライラインが飛んでいってくれるぞ。

また、左右にずれて着地するときは真っ直ぐピックアップできていないことが多い。ピックアップの軌道とレイダウンの軌道が常に直線になるように心掛ければ、まっすぐ落ち着いたループになるはずだ。

これがある程度できるようになったら、いよいよ「フォルスキャスト」の練習だ。ピックアップしたラインをレイダウンするのではなくフォワードキャスト。ラインをそのまま空中に留めて再びバックキャストする。ラインが作るループが前方・後方へ行くときも同じ軌道を描くようにすれば何回でも繰り返せるはずだ。フォワードキャストのときにラインを少しずつ伸ばせばより遠くへラインを届けられるようになるはず。ラインが伸びるほどフォルスキャストのタイミングをゆっくり大きくするのがコツだ。

と、まぁ、口でいうのは簡単だが、なかなかそうはいかないのがこの釣りの面白いところ。まずは、ピックアップとレイダウン、この動作が完璧になれば第一段階は卒業できるのでがんばって練習して欲しい。

前方に伸びたラインをピックアップする。リストよりも腕でロッドの真後ろへラインを抜くイメージだとキレイな線になる。
バックキャストのときはループを確認しづらいが、ロッドに十分重みが乗るまで間を持たせるとうまくいく。
ラインが後方へ伸びきったらフォワードキャストへ移行する。ピックアップのときと逆にリストよりも腕でロッドの真正面へラインを押し出す感覚だ。
ラインが前方へ伸びていく。こちら側だとループの確認ができるのでラインを良く見てみよう。
ループが次第に前方へと移動してゆく。バックキャストのときと同様十分重みが伝わるまで待つ。
ラインが前方へ伸びきった状態。このままロッドを正面方向へ寝かせるとレイダウンになる。フォルスキャストを続ける場合はバックキャストを開始しよう
ロッドを動かすイメージはこんな感じ。ループが常に180度をキープするように心がけよう。渓流などでは地形により前傾になってキャストするときも多いけど、その場合はバックキャストしたラインは高く上がることになる。後ろをよくみておかないとラインが木に絡まってしまうから注意。
>>まだまだ続きます、キャスティングの基本>>

ロールキャストを覚えよう

もうひとつ、即戦力として初心者でもすぐに使えるキャスティング方法を紹介しておこう。「ロールキャスト」と呼ばれる投法で、一回も頭上をラインが通らないので混雑した釣り場でも他人に迷惑を掛けないやさしいキャスティングだ。

投げ方は簡単でラインを出したら、すーっとロッドを直線よりやや外側へ持ち上げる。頭上を越したあたりでラインがティップの真下あたりまで垂れ下がるのを待つ。ラインが落ち着いたら、ロッドをゆっくりと前方に押し出す感覚で振り下ろす。すると、ラインは円を描きながら前方へと走り出すはずだ。

一日あればマスターできるぐらい簡単なキャスティングなので、すぐに釣りにいきたい人にオススメ。このテクニックは上達してからもいろいろな場面で使うことになるので、距離やスピードをコントロールできるとなおよし。ちなみに、マーカーを使った浮き釣りなど、水面下の釣りをしているときは、一度のロールキャストで投げようとせず、一回目は軽くフライを水面近くまで浮上させるためにキャストし、すぐにもう一度ロールキャストするとスムーズに前方へ飛ばすことができるぞ。


ラインを出したらロッドの先端を頭上より後方へもってゆく。このときロッドの先端は直線よりやや外側を通るように若干倒しておく。
ラインがロッドの先端から真下へと(ここは傾斜があるので画像では真下に下がっているように見えないので注意)移動するまで待つ。
ラインを前方へ押し出すイメージでロッドを振り下ろす。
するとラインはロールしながら前方へと移動しはじめる。
力がうまく伝わると、先端のロールがほどけてゆく。
これでロールキャストは完了。後方に振れないときや、混雑している管理釣り場などではこのキャストが有利だ。



地道に練習! こっそり教えます!

キャスティングの練習場所なんてないやい! というあなた! そんな人でもこっそり練習できる方法を教えておこう。用意するのはロッドとヤーンと呼ばれる紐状のマテリアル。ロッドもあり物で十分だし、ラインも少し重みがあってしなやかなものなら手芸用の素材でもオッケー。これを画像のようにセットして、あとはオフィスの踊り場や廊下で振るだけ。スペースが少なければロッドを短く持ってラインを短くしてフォルスキャスト、十分なスペースならロッドを長めに持ってラインも長くとってフォルスキャスト。といった具合に簡単にトレーニングができる優れものだ。とにかくキレイなループを描けるよう一定の軌道で、リストをあまり使わずロッドを操作するのがコツ。これで上手にキャストできるようになればしめたもの。あとは自分のタックルでも同じことができるようにキャストするだけだ。

ありもののロッドと重みのあるしなやかな紐。これだけあればキャスティングの練習はできるのだ。
なんとこんな小さなスペースでも練習できる。短くロッドを持ってバックキャストとフォワードキャストを繰り返そう。


とにかくフライのキャスティングはどんどん振るしかない。イメージをしっかり持って楽しみながら練習して欲しい。

次回は釣りに行く前の準備についてのお話です!お楽しみに!


<関連記事>
フライフィッシングとは、どんな釣り?
フライフィッシング専門用語徹底解説!
釣りに必要な「結び」のテクニック
ショップへ行って、買い物をしよう!

<関連リンク>
WILD-1 HOW TO講座 フライフィッシング
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。