クリスマスまであと1か月。クリスマスといえばプレゼント、プレゼントといえばサプライズ! ということでドンデン返しミステリーをどうぞ。

ドンデン返し×16ジェフリー・ディーヴァー『クリスマス・プレゼント』

クリスマス・プレゼント!
ディーヴァーの初めての短編集。
ドンデン返しといえば『ボーン・コレクター』からはじまるリンカーン・ライムシリーズでお馴染みのジェフリー・ディーヴァー。長編も良いですが、いろんなタイプのサプライズが楽しめる短編集『クリスマス・プレゼント』はタイトルからしてこの時期に読むのにぴったり。

本書には16編の小説が収められています。強盗と捕らえられた男の心理戦「ウィークエンダー」、精神科医が陥った巧妙な罠の行方「サービス料として」、ある男が愛する女性を奪われないために立てた殺人計画の顛末「三角関係」など、気をつけて読んでいてもいつのまにかくるっとひっくり返されてしまう作品揃い。しかも表題作はリンカーン・ライムシリーズの唯一の短編。初めてディーヴァーを読むという方にもおすすめの1冊なんです。

なかでもガイドが一番「おお!」と思ったのは「被包含犯罪」。街でも札付きの悪人が、殺人罪で起訴されます。証拠はじゅうぶん、逃げ場はないはず。なのに被告は余裕しゃくしゃく。検察官はいぶかしみながらも公判にのぞみます。すると、被告に有利な証人が次々とあらわれるのです。どう見ても金で買収している。でも、それを明かす手立てはありません。このままでは人殺しが無罪になってしまう。検察側は大ピンチです。

ずっと打撃でダメージを与えられていたのに、関節技で逆転。みたいなラストが鮮やか。クールな検察官トリボウがカッコいい!

次ページでは思わず呼吸を忘れる緊迫感!『奇術師の密室』をご紹介>>>

思わず呼吸を忘れる緊迫感!リチャード・マシスン『奇術師の密室』

奇術師の密室
真実は二転三転!
『奇術師の密室』の語り手は植物状態の老奇術師、エミール・デラコート。彼は脱出マジック中に脳出血を起こし、今は息子夫婦の家で暮らしています。

植物だけに、悩みの種はある。

なんて自虐ギャグを飛ばしつつ、自分を“見えない人”扱いする面々に淡々とツッコミを入れる、シニカルなキャラクターが魅力的な老人です。

毎日、奇術道具だらけのマジックルームの車椅子の上でじっとしているエミール。ある日、しゃべれない、動けない彼の目の前で、殺人劇の幕が開きます。息子で奇術師として活躍するマックスとその妻カサンドラ、カサンドラの弟ブライアンとマックスのマネージャーのハリー。主な役者はこの4人。たった4人なのに人間関係は複雑に絡み合っています。騙し、騙され、最後に笑うのは果たして……?

思わず呼吸を忘れるほどの緊迫感とドンデン返しの連続に、ページをめくる指がとまらない一冊です。

<新刊情報>
『12番目のカード』…9月末に発売。リンカーン・ライム・シリーズの最新刊です。

『密室と奇蹟』…11月末発売予定。密室といえばカー。豪華執筆陣によるアンソロジーです。
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