パプア・ニューギニアには風を食べて飛び続ける鳥がいるという。その“風鳥”は一生飛び続け地上に降りることはない。自由だが過酷なその生き方は、まるで画家の人生のよう…。

日本画家的視点でとらえた日常を、エッセイと作品で紹介する新シリーズ「portrait2」の第一弾は、2年前インドから帰国した山田真巳さんに登場していただきます。画家らしいボーダレスな精神で接した人たちとの日常を、軽快なエッセイと思い出の作品で綴る、痛快な画家人生の一コマを連載でお送りいたします。(毎週木曜日掲載)

あとがき「2006年日豪交流年記念プロジェクトに向けて」
最終回「カルの意味」
第39回「高価な美しい石」
第38回「牛の神様」
第37回「ヒマラヤ・ラダックのお祭り」
第36回「ヒマラヤ通の青年」
第35回「インドの歌舞伎カタカリ」
第34回「水郷のケララ」
第33回「ラクダに乗った少年」
第32回「タージ・マハール」
第31回「レンタ象」
第30回「ゴロスケホーホーとの別れ」
第29回「知恵の神様」
第28回「森の守護神」
第27回「イカコンピューター」
第26回「黒鳥」
第25回「いたずら者のオウム」
第24回「オーストラリアの犬と猫」
第23回「ブッシュファイアー」
第22回「迷子の羊500匹」
第21回「食べられる救世主」
第20回「巨匠は放浪の吟遊詩人」
第19回「何かというとすぐにビールで乾杯」
第18回「いろんな巨匠がいるものだ」
第17回「オーストラリアの巨匠」
第16回「黒潮がはこぶもの」
第15回「わらいかわせみ」
第14回「これが絵になるとは…」
第13回「ウオータールーの英雄」
第12回「地球のおへそ」
第11回「赤道直下の三日月」
第10回「海底90メートル」
第9回「髪の毛の量で決める」
第8回「パプアニューギニアに行ってきた」
第7回「ジムとは六本木で会った」
第6回「出会いはいつも偶然」
第5回「そして海外へ」
第4回「知らぬ強みで」
第3回「マッチ箱に載ったイラスト」
第2回「鳥の女王と貧乏絵描き」
第1回「風を食べて飛び続ける鳥」
ふとした縁

6年間のインド生活を終えて日本に帰国してみると、世の中が大きく様変わりしていて、少々オーバーだが浦島太郎になった気分だ。特に銀座界隈は、画廊に代わって海外有名ブランドの進出には目を見張るものがある。だが私は古い銀座も大好きだ。二丁目の裏通りを散策中、“菊屋”の看板が目に入った。以前友達から古い居酒屋だと聞いたことがあったので、まだ外は明るかったが、ちょっと中を覗いて見ることにした。階段を下り中に入ると、そこはタイムスリップした様な、飾り気のない昔風の飲み屋だった。まだ早いせいか文士風の客が一人テレビを見ながら一杯やっているだけ。「どうも」と私と客は互いに軽く会釈した。その瞬間、私は彼と何処かで会ったことがある様な気がした。そうだ昨年私の個展に来て下さった方だと思い出した。お礼を兼ねてご挨拶のつもりで、ちょっと隣に腰掛けたが、話がはずみ、なんと看板まで話し込んでしまった。この方が松原洋一氏である。このご縁で今回の連載をお引き受けすることとなった。(日本画家・山田真巳)


山田真巳氏

オーストラリア・コロンバン・バード・サンクチュアリーにて<クインズランド新聞社撮影>

山田真巳略歴




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