第140回直木賞受賞作は山本兼一『利休にたずねよ』と天童荒太『悼む人』の2作が受賞しました。その内容とは?※他の候補作は文藝春秋のサイト参照のこと。

山本兼一『利休にたずねよ』

利休にたずねよ
<DATA>タイトル:『利休にたずねよ』出版社:PHP研究所著者:山本兼一価格:1,890円(税込)
天正十九(1951)年二月二十八日、千利休が切腹した日から時間を逆回転して、死に至るまでの経緯と秘めた恋を明らかにしていく。彼の能力を評価しながらも憎む豊臣秀吉、弟子の古田織部、妻の宗恩など、章ごとに視点を変えることで、美の天才としての利休像が浮かび上がります。凝った構成の時代小説です。

あの日、女に茶を飲ませた。あれからだ、利休の茶の道が、寂とした異界に通じてしまったのは。

と、死の直前に利休は過去をふりかえります。

茶室を極端に狭くした理由。利休が大事に持っていて決してだれにも触れさせない美しい緑釉の香合(茶室で焚くお香の入れ物)の来歴。一服の茶を満足に喫することに命をかけるようになったきっかけ。すべてがひとりの美しい女に通じている。

本書を読むと、茶道という枯れたイメージのある文化が艶めかしく見えてきます。

次ページでは天童荒太『悼む人』をご紹介。


天童荒太『悼む人』

悼む人
<DATA>タイトル:『悼む人』出版社:文藝春秋著者:天童荒太価格:1,470円(税込)
ベストセラー『永遠の仔』から8年ぶりの単行本となった本書。

悲惨な事件が起こった現場を訪れ、亡くなった人の話をきき、ただ悼む。そのために職を捨て、旅を続ける青年・坂築静人(さかつきしずと)。彼とさまざまな人の出会いを描いた物語です。静人は故人の生前の様子を訊くときに、こんな質問をします。

彼女(彼)は、誰に愛されていたでしょうか。誰を愛していたでしょう。どんなことをして、人に感謝されたことがあったでしょうか。

彼は事件とは無関係ですから、当然、その発言は奇異なものとしてとらえられ、不審者扱いされたりもします。ところが、彼の言葉がメディアでは報道されないエピソードを掘りおこし、死者への見方を変えていく。

1人ひとりの人生が唯一無二であるという、著者のメッセージが前面にあらわれた作品です。

【芥川賞の記事はこちら】
第140回芥川賞受賞『ポトスライムの舟』…芥川賞受賞作を紹介しています。



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