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読んだ気になるビジネス書 『質問力』

『声に出して読みたい日本語』の著者が書いた実践的な「コミュニケーション力アップ」の指南書。豊富なケーススタディーと卓抜した分類能力で「いい質問」に隠された技に迫る。

執筆者:梅村 千恵


『質問力』

齋藤 孝 筑摩書房 1200円
この本を買いたい!





■コミュニケーション力を必要とするすべての人のための一冊

個人的に、「インタビュー」という仕事が回ってくることが少なからずある。得手か、苦手か、と問われると、苦手である。自分で自分を評価して及第点をつけることができるのは5回に1回程度だろうか。もちろん、インタビュイーのお人柄などにもよる。だが、そんなことは単なる後付けの言い訳似すぎず、私自身の技能がはなはだ心もとないのである。もっと具体的に言うなら、質問が上手ではないのである。テープを起こしていると、まったく、うんざりしてしまう。

だから、この本は、私自身のために買ったものである。にも関わらず、皆さんに「ビジネス書」として紹介しようと思ったのは、プロローグ内の次の一文を眼にしたからだ。

質問するという積極的な行為によってコミュニケーションを自ら深めていく――

コミュニケーションの重要性は、彼が指摘するまでもなく、多くの方がそれぞれの仕事の現場で感じていらっしゃるであろう。営業、会議、ブレスト、接客・・・・・・。コミュニケ-ション力とは具体的にどのような能力をさすのか?豊かなコミュニケーションを成立させるための秘訣とは?そう問われると、明確な答えを出すのはかなり難しい。だが、コミュニケーション技法の研究に携わっている著者(『声に出して読みたい日本語』があまりに売れたため、彼のことを日本語学者だと思っていらっしゃる方もいるかもしれないが、同著は、彼の研究の成果のごく一部であるようだ)の答えは、極めて明確でシンプルだ。
いわく、
いいコミュニケーションの秘訣は、質問力にあり――

確かに、コミュニケーションが双方向を選定をする以上、「問いかけ」のないコミュニケーションは存在しない。そして、「問いかけ」の良し悪しで、同じ相手から引き出せる情報量は、著しく異なってくる。

本書は、インタビュアー、カウンセラーなど「聞く」ことを仕事としている人たちにとどまらず、コミュニケーション力の質によって何らかの形で仕事の成果が変わってくる人すべてに向けて書かれた一冊なのである。さて、そこに書かれている「いいコミュニケーションを成立させるいい質問」とは?
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