「クローズZERO」の重要人物・やべきょうすけが男の生き様を語る


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(C)2007高橋ヒロシ/「クローズZERO」製作委員会

「ちょいワル」だったり「プチなんちゃら」だったりな世の趨勢に対するアンチテーゼとして、本物の「ワル」や「男の美学」を描いた生ける伝説のヤンキー漫画「クローズ」が待望の映画化! 祭りと聞いただけで燃えちゃうヤンキー共が久しぶりにガンガン殴り合う、感動的な直球ヤンキー映画の誕生だ。

その中で重要な役割を果たした"僕らのアニキ"こと、やべきょうすけ氏。かつて『キッズリターン』や『TAKESHI'S』などに出演し、その演技力は北野監督からも絶賛される氏にワルが覚醒したヤンキー時代から映画『">クローズZERO』の見所、そしてなぜか向こうから事件がやってくる夜遊びライフと、直角な人生を語って頂きました。

親に反発していたわけではないし
世の中に不満があったわけでもない


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ガイド:
いやぁ、楽しく映画を拝見させていただきました。まさにハマり役でしたね!
 
やべ:
ありがとうございます(笑)。

ガイド:
スクリーンでは鈴蘭高校の悪ガキも矢崎組のヤクザにもバカにされているような駄目チンピラ役でした。まずは、そんなやべさんの学生時代を振り返っていただきたいんですけど。

やべ:
当時は不良がモテたんです(笑)。まだ長ラン・短ランが全盛の頃で…。でも、グレてたわけではないんですね。不良っていう意識は全くなかった。で、当時仲良くしてもらっていた不良の先輩に言われたんです。「女にモテたいならアイドルになるか大人の男になるか、どっちかだ」って。アイドルになってヘラヘラ笑っているのは嫌だったから、これは大人の男になった方がいいな、と思って。そしたらそのまま保健室に連れていかれて頭にオキシドールをかけられて翌日、金髪の不良になっていた(笑)。それが、たしか中学1年生の頃でしたね。

ガイド:
にもかかわらず放送委員になって登校拒否を3人も学校に通わせたりと、かなり正義感の強い不良だったみたいで。

やべ:
よくご存知で(笑)。それは当時番長だったキムラ君の影響が大きかった。登校拒否のコを学校に通わせるように説得したりもしたし、彼がとにかく正義感の強い不良で、学校の仲間が他校の生徒にカツアゲされたと聞けば、野球部に金属バットを借りて彼と2人だけで学校に乗り込んだり(笑)。

ガイド:
ワハハハ! プロレス用語でいう"トンパチ(=トンボにハチマキの意味。常識・既成概念があてはまらない思考・行動をする人間を指す)"というか。

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やべ:本当はカツアゲされたヤツを守ろうとしてやったにもかかわらず、キムラ君は先生に「なんでケンカしてんだ」と怒られても「マジめなヤツがオレらみたいな不良と関わっていたら親が心配する」と、本音を言わないんですよ。そんなキムラ君の"男の美学"みたいなものがすごく面白くて、それから正義感の強い本物のワルの道にのめり込んでいった。だから親に反発していたわけでもないし、世の中に不満があったわけでもないし。

ガイド:
そんなトンパチぶりを見て、中学卒業時に学校の進路担任から吉本のお笑い学校・NSC入りを進められると(笑)。

やべ:
そう! あの時はビックリしました。成績が良くないから「手に職付けろ」なら分かるんっだけど、千葉の中学校なのになんでわざわざ大阪から願書を取り寄せて、「それは違うだろ!」って(笑)。結局、私立の高校に入ったわけですけど。でも、テレビのクイズ番組を見ていて「ギャラも賞金も貰えるなんて、なんて素敵な商売なんだ」って思い始めちゃって(笑)。

ガイド:
そして芸能界を目指し、丹波道場に入門される、と。

やべ:
はい。面接時に今のクイズ番組のくだりを丹波哲郎さんに話したら、「お前の正直な所がいい」って褒められて、「初めて自分の存在を認められた」って嬉しくって。それで帰り際に丹波先生に「おい、やべ! 名前は何だ」って聞かれたから「きょうすけです」と答えたら「バカヤロー! 人に名前を聞かれたら名字で答えるんだ!」ってすごい剣幕で怒られて。でも、オレ、「おい、やべ!」って呼ばれてるんですよ。だから瞬時に「アンタが名前で呼んだからだろ!」ってツッコミを入れちゃったんですよね(笑)。そしたら「ニコッ」って笑って「そうだったか、へへへ」って、こんな見ず知らずの若造にも正直に誤ってくれて。そのとき「この人に一生付いていこう」って思いましたね(笑)。

ガイド:
ワハハハ! 芸能界のドンに対しても臆することなくツッコミを入れちゃうという。まあ、そんな直角に生きるやべさんを瞬時に見抜いて合格になったんでしょうね(笑)。

やべ:
それからお会いする度に目をかけていただけるようになって。去年、亡くなられたときも、何千人と門下生がいるなかで唯一僕だけが遺骨も取らせていただきましたし(しっとりと)。

基本的にケンカ=祭り、みたいなところがある


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ガイド:
それから、俳優になられてからもビデオ屋で偶然居合わせたひったくり犯を携帯電話で実況中継しながら追ったり、その正義感の強いトンパチぶりはカメラが回っていなくてもつづくと。最後は犯人と目が合って「テメー、何見てんだこのヤロー」って叫んじゃうという(笑)。そのときで借りていたのが『もののけ姫』だったというギャップもお茶目だし、刑事気分で「ホシは2時の方向に」ってエピソードも最高です!

やべ:
あのねぇ、何か事件に遭遇することが多いんですよ(笑)。ひったくり事件の時もマスコミからいっぱい取材を受けましたけど、僕にとっては日常茶飯事です。(当然のように)痴漢犯も4人捕まえてます。

ガイド:
よっ、4人も! 宝くじで一等を当てるよりも難しい気が(笑)。

やべ:
多分、僕が電車の中でずっと女のコを見ているのかな、って気はします(笑)。「かわいいなぁ」って見ていたらそのコが「キャー!」みたいな(笑)。他にもカツアゲなんてしょっちゅう見たり、男に殴られたカップルの女のコを助けたり。

ガイド:
一体、どんな所で遊んでいるんですか(笑)。

やべ:
まあ、普段から繁華街の路地裏を歩くタイプなんで。基本的にケンカ=祭り、みたいなところがある。よく酔っぱらいのケンカにも遭遇するんですけど、気がついたら無意識のうちに止めに入ってるんですよね(笑)。

キャバクラで楽しんだことないですもん、楽しませてばかりで


ガイド:
最近はどんな夜遊びをされてるんですか?

やべ:
ダーツに嵌ってますね。六本木にいい店をみつけて、よく店員のオネーチャンと「勝ったら電話番号ね!」なんて冗談を言いながら勝負をするんですけど、一回も勝ったことがないっていう(笑)。ダーツって精神的なゲームなので、集中力が非常に大事なんですよ。

ガイド:
あっ、エッチが頭に浮かんで集中できない(笑)。

やべ:
そう。またピチピチのTシャツにホットパンツのようなイヤらしい格好をしてるんですよ。だから完全に集中力を乱されまくりで。『クローズZERO』でもダーツのシーンがあって、撮影の合間に共演者たちとみんなで遊ぶんですけど、撮影本番は完璧なのに夜の本番ではハズしまくりですね(笑)。

ガイド:
その鬱憤を晴らしにオネーチャンのいる店に行ったり?

やべ:
自分からはあまり行かないですけど、打ち上げで「キャバクラに連れていって下さい」的なビームは出しますね(笑)。飲み屋では僕の鉄板ネタがあって、まず名前を聞く前に「美しいっていう字が付くよね」から入って、付かなければ「うそ! 名は体を表すって言うのに。美しいって付かないわけないじゃん」って。それで「ユウコです」って返ってきたら「優しいっていう字? やっぱりな、優しさが滲み出てる。オレにも優しくして!」とか(笑)。あとは「ユウコ? やっぱりな、死んだじいちゃんがユウコっていう名前に悪いコはいないって言ってたもんな」なんて。で、みんなに「生きてるだろ!」ってツッこまれるんですけどね(笑)。

ガイド:
でもソレ、たいていヤレないパターンですよね(笑)。

やべ:
はい。それで口説けたことは1回もない。いつも「面白い人」で終わるっていう(笑)。キャバクラで楽しんだことないですもん、楽しませてばかりで。だから『クローズZERO』で合コンのシーンがあるんですけど、あれは全部アドリブです。監督も「やべさんが面白くしてくれるから、リハーサル無しで行きましょう」って(笑)。

映画を見て「オレは片桐拳にならない」って思ってくれたら嬉しい


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(C)2007高橋ヒロシ/「クローズZERO」製作委員会


ガイド:
そんなやべさんの生き方すべてが『クローズZERO』の「片桐拳」役に要約されていますね。

やべ:
そうですね。脚本家の武藤さんにも「役作りしなくても普段着のやべさんのママでいいんじゃないですか」って言われたんですけど、「ノンフィクションじゃないんで、ちゃんと役者として演じさせてください」ってお願いしたくらいで(笑)。でも、オレの中で「片桐拳」はダメ人間だと思ってます。人に言われたことも出来ない、自分でも決められない、何か目標があるわけでもない、ましてや他人に自分の夢を勝手に背負わすという。ただの救いのないヤツだなぁ、と。

ガイド:
でも、「片桐拳」は正義感だけはあったわけですよね。

やべ:
はい。正直でいることがどういうことか、というか。でも、大人になって『クローズZERO』に自分を投影しているようではダメだと思うんですよ。仲間を大切にしたり、人との繋がり、絆、痛みを分かる人間にならないと人生、「片桐拳」みたいになっちゃうよって。だから格好付けるのはいいけど、中途半端は止めなさい。それでダメだと分かったら、ちゃんと引きなさいっていう。当たり前のことだけど、それをするって本当に難しいことだと思うから。映画を見て「オレは片桐拳にならない」って思ってくれたら嬉しいかなぁ(しみじみと)。

ガイド:
役者も遊びも、不良するにしても振り切れ、と。

やべ:
そうですね。「今が良ければいい」っていう生き方が大嫌いなんです。昨日より今が良くありたいし、今より明日って思いたいし、常に一歩でも半歩でもネクストを大切にしたい。人生、走るだけじゃダメだと思うし。振り返ったときに、人生、何だったかって忘れてもいけないと思うんで。ただ「片桐拳」の場合は、進んでないから。とにかく一歩踏み出して欲しいし、主役の小栗旬くんが演じる「滝谷源治」の場合は何がてっぺんなのかを探しながら動いていて、他の不良連中も明日に向かって歩き出している。みんな上も下も右も左も見ながら演じている作品だと思うんで。男にはスクリーンの中の誰かに自分を投影して何かを感じてもらいたいし、女性の方には「男ってこういう生き物なんだ」と、少しでも理解してもらえればいいと思う。

ガイド:
(恥ずかしそうに)僕も『クローズZERO』を見て、若い頃、やべさんも出演されていて、役者で食いたいと思うきっかけになったという『キッズリターン』を見たときのことを思い出しました。「バカヤロー、まだ始まっちゃいねぇよ」っていう。

やべ:
ただ、僕が一番心配しているのは、映画を見て「片桐拳が最高、素敵!」っていう女性は注意して欲しいな、と。こんなヤツを好きになったら男で人生をダメにするって(笑)。

ガイド:
でも、ハッキリ言ってやべさんが演じる「片桐拳」は素敵です。女性はもちろん、男でも惚れちゃいますよ(笑)。

やべ:
 (ニャッとして)嬉しいねぇ。でも、本当のオレは「片桐拳」と違って本気で生きているから。実は、普段はお酒を全く飲まないんですよ。でも酒の席では自らガブ飲みして、真っ先に酔いつぶれる。なんか中途半端に断るって場をしらけさせるのが嫌なんで。『クローズZERO』のときも大阪のキャバクラに撮影スタッフと飲みにいって、飲めないくせに毎回違うメンバーを連れて5日連続で通ったんですけど、最終日に店長からドンペリをプレゼントされたからね。「毎日来てくれてありがとうございました」って(笑)。

ガイド:
ワハハハ! 女のコのウケはいいわ、お金は落としてくれるわ、その上、真っ先に酔いつぶれるっていう。「この人はいったい何者なんだ!?」って(笑)。

やべ:
そうそう。苦しくても楽しくっていうか、常に一生懸命で、それでいてサービス精神も忘れずにいたい。チャラチャラとルンルンは違うからね! 

インタビューを終えて


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映画『クローズZERO』や「人生感」を真剣に語っていたかと思えば、最後はキャバクラでの夜遊び談をしてくれたり。取材後に「嘘八百はただの嘘ツキだけど、嘘八億まで来ると本当に面白いヤツになれる」なんて座右の銘を教えてくれたかと思えば、2分後にはまた新たな座右の銘を語りだしたり…。

この部分だけを抜き出せばただのお調子者のようにも聞こえるが、その徹底したやりたい放題ぶりはいつ、何時も自ら作り出した「やべきょうすけ」本人のイメージを演じているように思うし、ティーンの頃から限りなく直角に生きた人間・「やべきょうすけ」の現実を凌駕せんとするフィクションのようにも思う。なんだか分かりにくいが、つまり、俳優に全力投球するも「やべきょうすけ」であり、キャバクラで全力投球するのも「やべきょうすけ」なのである。そこに優劣の差は生まれない。

そして『クローズZERO』での"愛すべきバカ"っぷりは、ヤンキー直撃世代ならずとも目頭が熱くなること間違いなし。救いようのないチンピラ役なのに、なぜか登場人物の中で最も印象深い大人に映るのは、「やべきょうすけ」の人間力あってこそだろう。

最後に「この人は近い将来きっと、映画賞を総ナメにするような名俳優になる」なんて、チンピラというかきんぴらな風の僕が願望的希望を言って、終わりにしたい。

人間、やれば出来る! (了)

次のページで、映画「クローズZEROをタップリ後紹介!
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(C)2007高橋ヒロシ/「クローズZERO」製作委員会


">『クローズZERO』
10月27日全国東宝系にて公開
出演:小栗旬、やべきょうすけ、黒木メイサ、高岡蒼甫、山田孝之ほか
監督:三池崇史
原作:高橋ヒロシ(秋田書店 少年チャンピオンコミックス刊)
公式サイト: ">http://www.crows-zero.jp/

※ 高橋ヒロシさんの「高」は正しくは旧字体です。 環境により表示できないため、高を代用文字としています。

あらすじ:
鈴蘭男子高等学校、通称・カラスの学校。不吉な嫌われモノ=カラスのような不良学生たちが集まる、偏差値最低・品性最悪の男子校。最強かつ最凶の高校として悪名を轟かせている鈴蘭であったが、不良達が多すぎてまとまりがなく、多数の派閥が覇権を巡って勢力争いを繰り返している。しかしいまだかつて、鈴蘭を統一・制覇したものは、誰もいなかった…。

3年の芹沢多摩雄(山田孝之)率いる“芹沢軍団”を筆頭に、芹沢軍団に敵対する第2、第3の勢力が存在する群雄割拠の鈴蘭に、ひとりの男が現れた。

3年の転入生、滝谷源治(小栗旬)。不可能と言われている鈴蘭制覇を本気で狙っている源治の登場によって、学内派閥の勢力図が大きく塗り替えられる。

群れることを嫌い単独行動する源治だったが、ふとしたことで知り合った元鈴蘭OBで早秋一家矢崎組のチンピラ・片桐拳(やべきょうすけ)と友情を深めるようになる。源治の父親が組長をつとめる劉生会滝谷組と矢崎組は敵対組織だったが、いつしか拳は、自分が果たせなかった鈴蘭制覇の夢を源治に託すようになっていた。

拳のとりなしによって、これまで一匹狼で生きてきた源治にも、共に戦う仲間達が集まってきた。
かくて鈴蘭史上最大の抗争が幕を開けた…。

食ったぞ! ワルメシ屋!!


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「クローズZERO」×スタミナ元気軒のタイアップ店舗が期間限定でオープン中。特別メニューのやべさんが考案した、「ちんぴらごぼう丼」も大人気メニュー!早速ガイドが食べてきたところ……


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はっきり言って大盛り! ていうか、肉やキンピラがテンコ盛り! そしてウマい!! 半分はそのまま食べて、残りは温泉卵をトッピングするのがオススメ。とにかく早くて安くて旨くて、腹一杯になる。食べ物を残すようなオンナ・コドモは食わんで良し!…なんて、ちょっと言い過ぎかな(笑)

ワルメシ屋



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