1960年代のもう一度観たい名作映画のベスト5の第三弾はヨーロッパ編、邦画編に続きまして取りを飾るのはアメリカ映画です。

サイコのアンソニー・ぱパーキンス
『サイコ』のアンソニー・パーキンス
イラスト:志賀コージ
まずは60年代アメリカ映画史で語られている10本を選びます。
年代順10本=『アパートの鍵貸します』(60年/ビリー・ワイルダー監督)、『サイコ』(60年/アルフレッド・ヒッチコック監督)、『ウエスト・サイド物語』(61年/ロバート・ワイズ、ジェローム・ロビンズ監督)、『奇跡の人』(62年/アーサー・ペン監督)、『大脱走』(63年/ジョン・スタージェス監督)、『サウンド・オブ・ミュージック』(65年/ロバート・ワイズ監督)、『俺たちに明日はない』(67年/アーサー・ペン監督)、『2001年宇宙の旅』(68年/スタンリー・キューブリック監督)、『真夜中のカーボーイ』(69年/ジョン・シュレシンジャー監督)、『明日に向かって撃て!』(69年/ジョージ・ロイ・ヒル監督)からガイドの趣味でベスト5を選出しますが、ベスト5候補でも、ジャンル別セレクト10で紹介させていただいたホラー映画の『サイコ』ミュージカル映画の『ウエスト・サイド物語』西部劇の『明日に向かって撃て!』は除かせてもらいます。本来『サイコ』を2位にもってくるところですが……。ファンの皆さまご勘弁を。

※映画の結末まで言及している作品もありますので、ご注意ください。

第二次大戦の捕虜収容所からの脱走映画の決定版!
第5位:『大脱走』

大脱走
THE GREAT ESCAPE
『大脱走』
バイクが最も似合うアクター=スティーヴ・マックィーンは70年代に日本のオートバイのCM出演がありました。また髭剃り後には「ウ~ム マンダム」のチャールズ・ブロンソンなど日本に親しみのある豪華キャストによる快作です!

脱出不可能と言われるドイツの誇るある収容所。英米空軍の男たちが、森へ向けて三本の穴を掘り、捕虜全員の脱走をはかろうという大胆な計画を遂行してゆく前半と、脱走後、次々と捕らえられるハラハラの逃走サスペンスが見ものです。中でもマックィーンが国境線を疾走するシーンは映画史に残る名シーンです。

[作品紹介]
・1963年/上映時間:168min
・監督:ジョン・スタージェス
・出演:スティーヴ・マックィーン、リチャード・アッテンボロー、ジェームズ・コバーン、チャールズ・ブロンソン、トム・アダムス、デヴィッド・マッカラム、ハンネス・メッセマー、ドナルド・プレザンス
 

サラリーマンの悲哀と恋物語を鮮やかに描出した
第4位:『アパートの鍵貸します』

アパートの鍵貸します
THE APARTMENT
『アパートの鍵貸します』
本作後に監督・主演男女優が同じ『あなただけ今晩は』も大好きなのですが、それはまた別のお話(笑)。

独身男バド(ジャック・レモン)は保険会社の平社員で、上司のゴキゲン取りに、逢引き用に自分のアパートを貸して出世の糸口を見出そうとします。ところが部長がエレベーターガールフラン(シャーリー・マクレーン)を部屋に連れ込んだことから事態は急変。何故ならバドはフランが意中の人だったのです。カンニン袋の緒を切ったバドは、辞表を叩きつけて会社を飛び出します。

その夜、フランは部長とレストランへ。そこで今夜はアパートは使えない、と聞いたフランはハッと気づくのです。バドの優しい想いと、自分を本当に愛しているのは誰か、ということを。部長を置き去りに、フランはバドのアパートの階段をかけ上がります。その耳にズドーンという銃声が……。もしや! 部屋に駆け込んだフランの目に映ったのは、他の町での再出発をひとり淋しく祝ってシャンペンの栓を抜いたバドの姿だったのです。

そして、その後のハッピーエンドは、これまた別のお話(微笑)。

[作品紹介]
・1960年/上映時間:126min
・監督:ビリー・ワイルダー
・出演:ジャック・レモン、シャーリー・マクレーン、フレッド・マクマレイ



60年代末のアメリカの風俗描写も見所のひとつ
第3位:『真夜中のカーボーイ』

真夜中のカーボーイ
MIDNIGHT COWBOY
『真夜中のカーボーイ』
何故日本語題名は「カウボーイ」表記ではないのか当時から不思議でしたが、今だに不思議です(笑)。

田舎から都会に一発当てにやってきた男が、都会のカオスに翻弄されてゆくのです。ゴミためのような都市の裏側を這いつくばるように生きるラッツォと呼ばれる文字通りドブネズミのような男と出会い、次第に友情が芽生えるのですが……。

社会の底辺にうごめく人間の価値を問う「都会に埋没」する寂しい男たちの姿に泣かされる、アカデミー賞で作品賞を受賞した名作です。

[作品紹介]
・1969年/上映時間:114min
・監督:ジョン・シュレシンジャー
・出演:ジョン・ヴォイト、ダスティン・ホフマン、シルヴィア・マイルズ

30年代に実在した男女二人組の強盗、ボニーとクライドの凄絶な生きざまを描いた
第2位:『俺たちに明日はない』

俺たちに明日はない
BONNIE AND CLYDE
『俺たちに明日はない』
アメリカン・ニューシネマの原点にして最高作!

大恐慌の30年代、自動車泥棒のクライドとボニーは知り合いコンビを組んで強盗をはじめ、犯行はことごとく成功。そして若者モスも仲間に加わりトリオで盗みを重ねました。ある時からクライドの兄夫婦が入ってきたことで、ボニーとクライドの兄嫁が対立、結果ドジを踏み警官たちと激しい銃撃戦となり、兄夫婦を残して、3人は命からがら逃げ延びます。そして今や札付きの悪党となったボニー&クライドは、どこへ行っても身を隠さねばならなくなります。

あの日、モスの家に身を隠したのですが、モスの父親が、息子の命と引き換えにボニー&クライドの隠れ家を密告。そして車内の二人は、警官たちの銃弾の嵐に絶命するのです。このラストシーンの凄まじさ!銃弾の圧力で人が踊るように身体がよじれます……。犯罪映画としても群を抜く見事な一篇!

[作品紹介]
・1967年/上映時間:112min
・監督:アーサー・ペン
・出演:ウォーレン・ベイティ、フェイ・ダナウェイ、ジーン・ハックマン



映画史上最高作との誉れ高い逸品
第1位:『2001年宇宙の旅』

2001年宇宙の旅
2001: A SPACE ODYSSEY
『2001年宇宙の旅』
遥か昔の地球で、猿がある日、「モノリス」という磁力板のようなキューヴに触れた後、骨という武器を持ったことから進化がはじまり、その骨を天高く放り投げると宇宙船にシフトするという映画史に残る素晴らしいシーン!

「発達したテクノロジーは神」だということは何度か鑑賞して感じるところかもしれません。故に神の不在、大自然の根本にはテクノロジーの究極があるのか、この世のはじまりはビックバーンからだと言われていますが、それすらテクノロジーのなせるワザなのかもしれないと、途方にくれる命題を私たち人類に問いかける哲学映画と言ってもいいのかもわかりません。

美術もまた素晴らしい。暗い宇宙に白く映えるディスカバリー号(宇宙船)。画面の中央から広がりをみせる左右対称の構図の多さ、そしてミニマリズム彫刻を彷彿とさせるモノリスの美しさ……。

ほとんどセリフのない本作は、HAL9000というコンピュータの反乱。モノリスの正体。スターゲイト。スペース・ベイビー。多くの謎を残し、観た者が自ら解釈する作品!ガイドは、劇場で3度、レーザーディスクで何十回と観た本作は、セットや映像のみならず、音楽の構成も素晴らしい映画史上のNo.1作品と言ってもいいでしょう。

[作品紹介]
・1968年/アメリカ=イギリス映画/上映時間:139min
・監督:スタンリー・キューブリック
・原作:アーサー・C・クラーク
・出演:キア・デュリア、ゲイリー・ロックウッド


70年代、そして60年代の日欧米のベスト5をお届けしてまいりました。そして次回のベスト5シリーズは50年代ではなく、80年代でいきたいと思っています。お楽しみに。

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