CTO LAB.とは?


ガイド:
CTO LAB.のみなさん、よろしくお願いします。polymoogさんとはELEKTELとして以前インタヴューさせて頂きましたが、岡田徹さん(Moonriders)、イマイケンタロウさん(エイプリルズ)、polymoogさん(ELEKTEL)の三人でユニットを作ったきっかけを教えてください。

(L→R)polymoog、イマイケンタロウ、岡田徹


岡田:
ポリさんから、ポリさん周りの集いに何回かお呼びがかかり、そうこうしてるうちにガジェットでテクノやろう、という話しが盛り上がり、学研のイベントでポッとデビューしてしまいました(笑)。

poly:
夜カフェお茶会ですね。みんなで集まったり、岡田さんと2人でガジェット機材の情報交換したり(笑)。そこで岡田さんに、ガジェット好きミュージシャンで心当たりはいないかと聞かれて真っ先に思い浮かんだのがイマイさん。イマイさんとはそれまでもフューチャーポップ界隈のイベントなどでご挨拶したりはしていましたが、新宿の8ビットカフェで偶然出会ったりする中で親しくなっていったんです。

ガイド:
CTO LAB.という名前の由来は? CTOってChief Technology Officerではないですよね。

イマイ:
CTOは、Compact Techno Organizationの略でして、つまり、ガジェット楽器でテクノを奏でる集団と言ったニュアンスです。そこに研究所(Laboratory)という意味のLAB.をつけてCTO LAB.(シーティーオー・ラボ)というユニット名にしました。

ガイド:
それは、やはりTot TaylorのCompact Organizationというのもモチーフなんでしょうか?

岡田:
多少あるかも(笑)。あとC.T.F.も候補にあったんですよ。この場合、モチーフはB.E.Fですね。
リアルタイムで経験した者にとっては、夢のようなレーベルですものね、Compact Organizationは。レーベルのイメージがぎっしり詰め込まれたピンクのボックスの中身にワクワクしたものです。

大人の科学


ガイド:
amazon.co.jpにあるCDは、ジャケ写からリンクできます。(amazon.co.jpにない場合、海外のamazonや他の通販サイトへ)
大人の科学マガジン別冊 シンセサイザー・クロニクル
2008年8月に行われた「大人の科学マガジン『シンセサイザークロニクル』」発売記念イベントでライヴデビューという事ですが、この時点から今回のアルバムを作る事を想定されていたのでしょうか?

岡田:
この時点ではボンヤリ何かカタチには残したいな、ぐらいでした。去年の秋のロフト・ライヴで「CD作ります!」宣言ですね。このイベントでCTOのライヴスタイルの手応え得たので、宣言してしまいました(笑)。

poly:
この発言が出てからというもの、岡田さんが飽きないうちにCD作っちゃえ!という感じで(笑)。でも岡田さんもその間ムーンライダーズでいろいろあったり、イマイさんもエイプリルズの新譜作ったりとかで、結局このタイミングになったという所だと思います。

ガイド:
僕も当然、この号の大人の科学マガジンは購入しました。往年のテクノポップ系の雑誌を彷彿とさせる内容且つ、SX-150の工作も楽しみました。大人の科学に関わったきっかけは?

poly:
学研・大人の科学マガジンとの関係は、2001年にリリースされたPOP ACADEMY RECORDS(!)のコンピ『Futuretron Sampler』や翌年のELEKTELの1stアルバムにも収録した楽曲「恋の電子ブロック」にさかのぼります。編集部から相方のウエケンに「電子ブロックを楽器として使用する方法」という記事の執筆のお話をいただいたのがきっかけでした。その後しばらく間があって、大ヒットとなった2007年の「テルミンmini」号で、電子楽器の歴史の記事や松武秀樹さんへのインタヴューなどの記事の執筆を担当し、以降、大人の科学マガジンの電子楽器系の企画や記事の執筆に関わらせていただいています。

Okie Dokie!


ガイド:
『Futuretron Sampler』!「恋の電子ブロック」!!懐かしい!!!
今回の作品『Okie Dokie!』は、大人の科学マガジンと同様にテクノポップ好きの人にはぜひ揃えていただきたい内容です。これはやはり、大人の科学的な要素を持ち込もうと考えがあったのでしょうか?
Okie Dokie!
01. 2001:Space Odyssey
02. クラッシュ万事休す
03. Flashback
04. C.DISCO
05. Chemi-con
06. one more thing
07. Dream Child
08. Pack up my sorrow
09. TELEVOX
10. Theme of SX-150
11. 親切な人


poly:
大人の科学ってまじめな勉強という要素と、マッドサイエンティストへの憧れみたいな、両方の要素があると思うんですが、そういう所はこのアルバムのテイストと共通してるかもしれません。

岡田:
コンパクトがユニット名にある以上当然のことです(笑)。

ガイド:
レコーディングは岡田さんのAMOR Studioでされたのですか? 僕の勘違いかもしれませんが、AMORは『Adventures in Modern Recording』(Bugglesの2ndのタイトル)と関係あるのでしょうか?

岡田:
AMORはBugglesの2ndのタイトル『Adventures in Modern Recording』からきています。この言葉を糧に日々スタジオ・ワークに励んでいます!

イマイ:
レコーディングは、岡田さんのAMOR Studio、polymoogさんのStudio Sci-Fi Lounge West Tokyo & Annex、僕のBoy Meets Sounds Studioと、各自のプライベートスタジオで行っています。データはMacServerというオンラインのストレージサービスでやり取りしながらって感じです。

クラッシュ万事休す


ガイド:
2曲目の「クラッシュ万事休す」は、元々プレステのアクション・ゲーム「クラッシュバンディグー」のテーマ曲で1997年にリリースされていますよね。これは今回CTO LAB.としてどのようにアレンジを変えていったのでしょうか?

岡田:
アルバム制作にあたり、どんな曲を集めようか、ということでこの「クラッシュ万事休す」をとっかかり曲、リファレンス曲として僕がアレンジしたものをメンバーに聞かせました。

ガイド:
PVの方は、タイチさんとサキさんが躍動的なダンスを披露されて、ジーニアスとのコラボとも言える作品に仕上がっていますね。これはどこかのビルの屋上ですね?

イマイ:
はい。渋谷の某ビル屋上です。今回のPVはジーニアスのインパクト溢れるダンスを360度のパノラマで撮影するという内容がまず決まっていたので、河川敷、地下鉄、公園、スクランブル交差点など様々な候補地でテスト撮影をして、一番雰囲気が良かったこの場所に決めました。このPVは、YouTubeで絶賛公開中なのでまだ未見の方はぜひ見てください。ジーニアスのダンス、面白いですよ!

one more thing


ガイド:
「one more thing」は、全曲英語のせつな系のテクノポップ。僕も好きな1曲ですが、Daft Punkが好きな人なんかもきっと好きではと。この英語詞は、以前インタヴューしたPatrick Bennyさん(東京レコハンとして)ですね。人脈は繋がっているな~と。

poly:
英語ではないんです。Patrick Bennyさんに作詞してもらった部分は、中間のソロでロボットボイスが喋っている仏語の部分。それ以外の、イマイさんが歌っている部分は……何語なんでしょうか(笑)?

ガイド:
失礼!あっ、Patrickさんはカナダ人だから、フランス語にも堪能ですよね。

イマイ:
えーっと自分語ですね(笑)。
この曲はまず、オートチューンの気持ちよさを聴いてほしかったので、一番オートチューンが心地よく聞こえるようにいろいろな言葉を歌って試しながら、歌詞を作りました。ですので、英語っぽくもあり、フランス語っぽくもありと言った不思議な言葉になっています。

poly:
この曲のアレンジは、フェアライトやシモンズのドラム、DX7のベース、といったように、かなりニューロマンティックなMTVエレポップを意識した曲なんですが、楽曲そのものにはDaft Punk的なフレンチ臭も感じるかと思います。その辺はここ数年サエキけんぞうさんと一緒にやっていた、フレンチポップのカヴァーものとかの影響が、まだどこかにあるのかもしれませんね。

TELEVOX


ガイド:
ロボットが好きなので、TELEVOXは、先ずタイトルで反応してしまいました。TELEVOXはアメリカで1927年に製作されたロボットのような通信機器のようなものですよね? 後で調べると、スイスにもTELEVOXがあったようで。TELEVOXの歌を作ろうとした理由は?

イマイ:
この曲はボコーダーを多用していたので、ロボットについてのSFな歌詞を書きたいと思ったんです。ロボットと言っても、ブレードランナーみたいなアンドロイドではなくて、手塚治虫のロビタとか宇宙家族ロビンソンのフライデーのような前時代的な、いかにも合成音でしゃべりそうなロボットです。サビはロボットの名前を連呼すると決めていたので、ロボットの名前についていろいろ調べていたところ、世界最初のロボットと言われているTELEVOXに辿りつきました。おっしゃる通り、TELEVOXはロボットと名乗りながらも、実際は通信機器に顔や手が付いただけのハリボテなんですけど、そんなところも含めて愛らしかったので(笑)。

Theme of SX-150


ガイド:
「Theme of SX-150」は、前述の「大人の科学マガジン」の付録のシンセ「SX-150」のテーマ曲ですが、このミニマリズムの結晶とも言えるシンセを使うに当たって、特に苦労された点は?

poly:
苦労はありませんでした(笑)。というのも、前述の通り、大人の科学マガジン、特にこの「シンセサイザークロニクル」には企画当初から関わらせていただいていたので、開発時に「こういう音が出したい」という、自分の希望を織り込み済みだったからです。そもそもこの曲自体は、リリース前から既に「まともに演奏するのは難しそう」という声があった中で、SX-150でもちゃんと音楽的な演奏ができることを示して欲しい、という編集部からの依頼に応える形で作った曲だったので、SX-150をメロディを奏でることのできる楽器として使用するというのが最大の目的でした。演奏の練習は大変でしたが。お手軽な楽器だからといって、お手軽に使ってるだけではダメ。ちゃんと練習すれば、弾けるんです!!

ガイド:
SX-150を始めとして、新型かつ小型の電子楽器を駆使されていますが、それぞれの楽器は担当が決まっていたのでしょうか(よろしければ、各人がやった楽器を紹介していただくとありがたいです)?レコーディングにあたって、(SX-150以外にも)特に苦労した楽器とはありましたか?

poly:
学研の付録楽器やDS-10(これにも少し関わらせていただいきました)は立場上、自分の担当という所なので、レコーディングでも当然使っています。変わった所では、大人の科学の8ビットマイコンJapanino、という色々な用途にプログラムできるマイコンボードを使ってSX-150の設計者であるGanさんに作ってもらったオリジナル楽器なんかも使ってます。勿論iPadも使いまくりました。
ガジェット楽器は、ライブで使うと電池切れとか断線とか、色々困ったりすることもあるんですが、レコーディングに関しては苦労することは全然ありません。むしろ、スイッチ入れればパッと音が出て、お手軽で便利この上ないです(先ほどの発言と辻褄があいませんが)。

岡田:
実はレコーディングではあまり使っていません。KAOSSILATOR、とかD2とか、iPadは音のパレットとしてもすばらしいですね。

イマイ:
僕はSUZUKIのOmnichordという電子ハープ、Nintendo DSソフトの「M-06」というギターソフト、俗に石橋テルミンと呼ばれるBias BTM-2、KAOSSILATORなどですね。苦労したのはこういうガジェット楽器ってアウトプット端子が貧弱な事でしょうか。ラインで普通に録音するとノイズが載ってしまったり、そもそもラインのアウトプット端子が無かったり。3人とも自らを「ガジェット貴族」と称するほどの筋金入りの小型の電子楽器マニアでして(笑)。本当に様々な楽器を持っているのでここぞとばかりに使いまくりましたね。曲中で使用した楽器はCDの裏ジャケットにすべて記載しているので、ぜひCDを手にとって確認していただけると嬉しいです。

共同作業の感想


ガイド:
岡田さんはMoonridersとして80年代のテクノポップにも大きく貢献された方ですが(僕も根っからのライダーズマニアです)、世代が離れたアーティストとも同じユニットとして活動される姿勢がとても素敵だと思います。今回の共同作業はみなさんにとってどういう点が一番おもしろかったでしょうか?

イマイ:
CTO LAB.は3人とも編曲が出来るので、インターネットでアレンジのやりとりをしながら作っていけたのは面白かったです。エイプリルズではレコーディング以外のミックスはほぼ僕一人で完成させますから。自分が作った曲が岡田さん、polymoogさんによってどんどんブラッシュアップされていくのが新鮮でした。
あとは打ち合わせと称したファミレスでの雑談が一番楽しかったですね。3人で「YouTubeのあのPVがすごい!」とか話したりして。完全に大学生ノリですね。世代間ギャップは僕は全く感じませんでした。二人ともポップミュージックの第1線で活躍しているだけあって感覚が若いですから(笑)。

poly:
自分はもろにライダーズチルドレンな世代なので、岡田さんと一緒に曲が作れる、というだけでもう十分楽しいですね。イマイさんとは年はそこそこ離れているんですが(苦笑)、キャリア的にはエイプリルズの方が1年結成が早いから先輩なんですね。なので一方的にライバル視しつつ。でもそれぞれに違うジャンルのエキスパートというか、腕の立つ人間の集まりだと思うんで(笑)、お互いのスキルやテイストを尊重しあっていて、メンバー間の距離感もとてもいい感じだと思います。その意味でもやはり、そういう立場に軽々と降りてきちゃう(?)岡田さんは凄い人だと思うんですけど。

岡田:
ya-to-iのときも凄まじい世代構成(笑)でしたが、今回も相当なモンです(爆)。何をオモシロがれるかとか、快感原則とか、そういったものが近いと世代間ギャップは感じないですみますが、楽器運びだけはイカンです、オミソです(泣)。

今後の予定


ガイド:
コンセプト的にもサウンド的にも、全世界のテクノポップ・ファンにぜひ聴いてもらいたい内容の作品だと思います。今後のCTO LAB.または各人の主な活動予定などがございましたら、教えてください。

イマイ:
CTO LAB.のおかげで作曲欲が高まっているので、この調子で年内中にエイプリルズの新譜も出したいと思っています。CTO LAB.もアルバム一枚で終わらせず、今後も活動を続けていく予定なのでライブや次回作も楽しみにしていてください!

poly:
ELEKTELの方は楽曲提供とかばかりで相変わらずなんですが、2005年のリリース後廃盤になっていた2nd『bit stream lounge』が、ようやくまたiTunesで配信されることになりました。後は大人の科学で「iPad×iPhone楽器&音楽制作アプリ使いこなしマニュアル」という本を作ったので、そちらも是非。今後のCTO LAB.は、けいおん人気に便乗して、ガールズバンドになるんじゃないかと思います。または「神聖ローマ皇帝マクシミリアンちゃん」に改名とか。

岡田:
黎明期のテクノポップのイディオムと今の音が織りなす新感覚のテクノポップ、堪能してください。C.T.Oに関しては、汲めど尽きないアイディアが湧いている最中なのでバシバシやっていきます(つもり?!)。Moonridersは、来年の35周年に向けて何かと動きが活発に。こちらもどうかご贔屓に!

ガイド:
凄く濃いインタヴューになったと思います。ありがとうございました!

テクノポップ定点観測(こちらで動画も含めCTO LAB.について記事を書いています)
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。