DENPA!!!の成り立ち


ガイド:
はじめまして。DENPA!!!というのは、一つの共通の意思をもった集団と捉えていいのですよね。先ずは、簡単な自己紹介をしていただけると、ありがたいです。

DENPA!!!:
はじめまして。仰る通り、DENPA!!!はイベントの名称であると共に一つの共通意思をもったイベントオーガナイズチームです。

今回は私、DENPA!!!副総帥・王子がインタヴューに参加させて頂きます。私は総帥・点と線と共にDENPA!!!イベントをオーガナイズし、主にWEB周りの仕掛けやWEB自体の制作、仕事としての外部案件の指揮執り、今回のような企画商品のプロデュースを担当しています。

ガイド:
なるほど。「DENPA!!!」というイベントはどのような経緯で始まったのでしょうか?

DENPA!!!:
DENPA!!!というか、イベント活動自体は、私が点と線と出会った頃に、渋谷で『暴力教室』というイベントをやったのが始まりです。これは、「原宿の若い子達にアングラな物を魅せてやりたいね」というどうしようもない考えから産まれたイベントで、当時原宿界隈・ファッション界隈で人気のあった若いDJと一緒に、BDSMやノイズ、催眠術などのサブカルコンテンツを出し物として魅せるイベントでした。

その後、イベントに関わっていたメンバーは離散し、点と線と私だけになった時に「次何やろうか」と始めたのがDENPA!!!です。根本的なイベントの考え方は暴力教室の時からあまり変わっていなくて、常にエッジィな物を発信したい、エッジィと言われる物を既存の価値観と同列に配置したい、というのが暴力教室~DENPA!!!で一貫した考えです。その頃、たまたま僕らにとってアニメ・コミックといったナードカルチャーがすごくエッジィに見えていたからピックアップしただけであって、別段、「アニメのイベントをやろうぜ!」といって始めたわけではありません。
DENPA!!!イベントの様子


イベントとしてのDENPA!!!


ガイド:
今までイベントは何回されたのでしょうか? イベントの規模も数を重ねるに都度、大きくなっていったようですね。

DENPA!!!:
イベントは全部で十二回。ちょうど二年間という時間をDENPA!!!に費やしました。初めは下北沢の小さなハコで数十人の動員だったものの、有り難いことに、二年の間に700人以上のお客さんに来ていただけるイベントになりました。

ガイド:
DENPA WEBにて「我々DENPA!!!は2周年を以って、レギュラーイベントとしての活動の休止を宣言致します。」との報告が2009年9月にされていますが、イベント以外の手段としての活動は継続されるとも書かれていますね。1月27日にリリースされるアルバム『DENPA!!!‐電刃見本市‐』は、その一環ととらえていいのでしょうか?

DENPA WEB

DENPA!!!:
勿論、仰る通りです。2か月に1回のイベント活動とは、DENPA!!!の“一活動”に過ぎなくて、イベントが休止したからといって、僕らの全活動が止まってしまっているわけではありません。寧ろ、DENPA!!!を通して、皆それぞれ強みや、やりたい、試してみたい事が定まってきたので、一度時間を作る意味でも定例イベントを休止し、もっといろんな事を打ち出していけたらな、と思っています。
DENPA!!!イベントの様子


DENPA!!!と電波


ガイド:
DENPA!!!というと、その名前から電波系や電波ソングと繋がっているようにみえるのですが、一つの運動(ムーヴメント)として捉えた方がいいのですかね?目指してきたものは?

DENPA!!!:
勿論、DENPA!!!という名前は所謂「電波ソング」からの影響がある事も否定出来ませんが、どちらかというと、語感から取ったところが大きいです。少しトガっていて、奇妙で、だけどポップ、そんな感じがすごくしっくり来ました。目指してきたものは、先にも述べましたが、「常にエッジィな物を発信したい、エッジィと言われる物を既存の価値観と同列に配置したい」です。

DENPA!!!を始めた当時は、アニメソングや電波ソングといった物は、どうしてもその括りに縛られてしまって、“音楽”という大きなカテゴリから逸脱して愛されるケースが多く思えました。例えば、アニメソングをメインにかけるクラブイベント、所謂ダンパは以前からかなりの数がありましたが、同じクラブという空間で行うイベントであるにも関わらず、エレクトロやヒップホップなどをメインにかける所謂“クラブパーティー”と、件の“ダンパ”との接点はあまり見られませんでした。エレクトロもヒップホップもアニメソングも、同列・同価値の“コンテンツ”として扱えないかと考え、始めたのがDENPA!!!です。アニメを扱う事自体に新しい事や、新しい価値を目指した訳では一切なく、只、心地良い場所を突き詰めた結果なんです。
DENPA!!!イベントの様子


DENPA!!!とファッション


ガイド:
ファッションというのも重要な要素となっているようですが、DENPA!!!の考えるファッションについて教えてください。

DENPA!!!:
DENPA!!!におけるファッションは、矢張り“コスプレ”が大いに目立つ所になると思うのですが、僕らにとってコスプレも“パーティーファッションの一部”として消化、或いは昇華したかった、と思っています。これは、先に述べたDENPA!!!の根幹部分と全く同じなのですが、通常、コスプレとは、「キャラクターに成りきる」のが主題であって、そこにあまり自信のアイデンティティーだとかエゴだとかは入らないようです。

だから、例えば、高校生のアニメキャラクターのコスプレをしている時は絶対に煙草を喫んだり、飲酒をしてはいけないし、“自身”がなるべく忠実に再現、或いは解釈された“キャラクター”にならなくてはいけないのです。私達はそういったペルソナとしてのコスプレ欲望にはあまり関心が無くて、只、“パーティーファッション”の一つとして、コスプレも同じく価値を見いだせるのではないかと考えています。
DENPA!!!イベントの様子


DENPA!!!-電刃見本市-


ガイド:
では、本題のアルバムについて伺います。今回のアルバムは、DENPA!!!がプロデュースしたコンピレーションとなっていますが、自身の曲、カヴァーやリミックスも含めて全曲DENPA!!!が何らかの形で関わっていると考えていいのでしょうか?

amazon.co.jpにあるCDは、ジャケ写からリンクできます。(amazon.co.jpにない場合、海外のamazonや他の通販サイトへ)
DENPA!!!-電刃見本市-
01. Get Wild(原曲アーティスト:TM NETWORK)
02. コンピューターおばあちゃん(NHK「みんなのうた」)
03. 電撃処女なのかもね(DENPA!!!オリジナルキャラクターソング)
04. カチンコチン(DENPA!!!オリジナルキャラクターソング)
05. プリキュア5、スマイル go go!(アニメ 「Yes! プリキュア5」)
06. BAD(CAPTAIN EO)(原曲アーティスト:Michael Jackson)
07. サヨナラリヴァイバル(DENPA rmx)
08. 鳥の詩(アニメ「AIR」OP)
09. 星間飛行(アニメ「マクロスF」劇中歌)
10. ハレ晴レユカイ(アニメ「涼宮ハルヒの憂鬱」ED)
11. D.E.N.P.A(「DENPA-電刃-」公式タイトルソング)
シークレットトラック:coma to daddy(昏睡)


DENPA!!! -電刃見本市-(試聴できます)

DENPA!!!:
選曲、リミックスの方向性、カヴァーアートや、全体のコンセプトをDENPA!!!で文字通りプロデュースさせて頂きました。

選曲のポイント


ガイド:
今回、選曲する上で特に考慮された点があれば、教えてください。

DENPA!!!:
このCDを作る事になった時、はじめに「DENPA!!!の教科書を作ろう」という考えがありました。そこで、客観的にDENPA!!!を俯瞰した時、矢張りアニメのアンセム的な物が大多数で、残りは飛び道具かなぁ、と。

DENPA!!!での確固たる狙いや思惑が私達の中であれど、矢張り多くのお客さんやメディアの方の印象は、まずそこに落ち着くだろうと思って。だから、なるべくコテコテのアニメソングを敷き詰めて、その隙間にちょっとニヤっとするような色物を入れて、曲目だけ見たら玉石混合のカオス、だけど全体的に安心、期待通り。悪く言えば(DENPA!!!として)平坦、普通、新しさが見えないものにしたつもりです。

今回のCDはあくまでも“教科書”に過ぎなくて、客観的に見えるDENPA!!!のお手本、黄金律のような物にしたかった。「DENPA!!!ってどんなイベント?」という疑問を持った人が居たとして、イベントに行った事のあるその友人が「なんか良くわかんないけどアニソンとかが速めのBPMでかかってるよ。楽しいよ。盛り上がってるよ。よくわかんないけど」と、凄くライトに説明するような場面を狙っています。それと同時に、「これからDENPA!!!でかかっているような曲を掘り下げて聴いていきたい!」という人達への、各音楽ジャンルの足掛かりになれば良いな、と思っています。

エクストリームとしての高速


ガイド:
DENPA!!!の存在を初めて知ったのは、今回のコンピにも収録されていますが、Saori@destineyの『JAPANESE CHAOS』に収録の「サヨナラ・リヴァイバル(DENPA rmx)」です。BPMの速さの快感というのは、重要なポイントなのでしょうか?

DENPA!!!:
イギリスのメロディック・スピード・メタルバンド、DRAGON FORCEのCDが日本で評価され出した頃、多くのヘヴィメタルファン達はこぞって、「速けりゃいいんだよ、クソッタレ!」と両手を突き上げ咆哮しました。実際、速けりゃいいって、そんなわけ無いんですが(笑)、遍くエクストリームな音楽には、“極端”なところがあり、そこが尖っているから、エッジィに見えるから、私達は魅力を感じるし、時には両手を突き上げて「クソッタレ!」と興奮します。

DENPA!!!が速さを求めたわけではなく、魅力的な物=エッジィなものをピックアップし、それを“クラブイベント”という箱に納めた結果、“速さ”という極端さが最もその箱に適していた、というだけです。勿論、私達はドゥームやストーナー、ドローンといった極端に遅い音楽も“エッジィ”なので大好きですが、クラブで葬式みたいな音楽流しても、誰も来ませんからね(笑)。
DENPA!!!イベントの様子


時間が止まっている


ガイド:
「ハレ晴レユカイ」は、所謂チップチューン的ですね。今回、他にもアニソンが収録されていますが、DENPA!!!的に人気のある特定のアニメとかはあるのでしょうか?

DENPA!!!:
DENPA!!!におけるアニメソング嗜好の不思議な現象として、色んな方々に「時間が止まっている」とよく言われます。通常、アニメソングを主題としたイベントでは、特定のアニメ縛りで無い限り、その時々で旬なネタで盛り上がるのが常ですが、DENPA!!!では2009年の8月に行った二周年イベントでも、いまだに数年前のハルヒの曲でお客さんが大盛り上がりする、という事が多々ありました。ですから、特定のアニメ、と限定はしづらいのですが、皆それぞれ熱くなったアニメのアンセムを、気持ちを劣化させずにずっと持ち続けているのだと思います。今回のCDにおけるアニメソング選曲では、極力そのあたりの熱さを感じられる選曲にしたつもりです。

コンピューターおばあちゃん


ガイド:
アニソン以外にも、邦楽、洋楽に渡って、ジャンルレスなカヴァーが収録されていますね。「コンピューターおばあちゃん」のカヴァーなんかは完全に世代的にはリアルタイムじゃないと思うのですが、今の世代の人にも訴えるものがあるのかなぁと嬉しくなります。

DENPA!!!:
こんな事を言うと怒られるかもしれませんが、私達には、「コンピューターおばあちゃん」やマイケル・ジャクソンといった、自分の世代以前の物に対してのリスペクトはあまり無くて、寧ろ、時代背景や偉業に起因する畏敬とかの意識は邪魔でしか無く、それ単体が持つ“ポップ・アイコン”としての価値を凄く気に入っています。

正直なところ、「コンピューターおばあちゃん」については少し、飛び道具的な扱いだったな、とは思いますが(笑)、それでも、私達は現代のアニメソングと、コンピューターおばあちゃんやマイケル・ジャクソンに特別な差を見出してはいません。どちらにも、同等の価値を感じるし、同じようにDENPA!!!らしい音でリミックスしてみたい、と思いました。
DENPA!!!イベントの様子


DENPA!!!の音楽的ルーツ


ガイド:
今回のコンピを聴いてみて、DENPA!!!の方々がどのような音楽的ルーツを持っているのかとても興味が沸きました。アニソンなども重要な要素だと思いますが、80年中盤から90年代にかけてのハイエナジー、最近のエレクトロなどの影響を感じます。そして、あくまでも今の日本的な解釈がされているのではないかと。そのあたり、どうでしょうか?

DENPA!!!:
皆それぞれバラバラなので、ひとつの理想の音、というものは存在しないのですが、矢張り今回のリミックスでみられた、ブレイクコア、チップチューン、ハードコアテクノあたりが共通認識としてはありますね。只、総帥の点と線は昔はヒップホップを主に聴いていましたし、スタッフの一人はかなりコアなロックファン。私なんかは酷くて、ブラックメタルやポルノ/ゴアグラインド、フュンネラル・ドゥームといった、クラブミュージックとはかけ離れたものばかり聴いてきました。しかし、そういったバラバラなルーツを持ちながらも干渉し合えた柔軟さこそが、現代日本的であり、DENPA!!!のルーツなのかな、と思います。

次は?


ガイド:
今回のアルバム・リリース以外にも、今後の活動予定などありましたら、ぜひ教えてください。

DENPA!!!:
現在進行しているものとしては、総帥・点と線と、スタッフのトシくんが立ち上げたお店『Amen』や、今回CDジャケットのデザインをしてくれたスタッフの金田くんとアパレル・ブランド『galaxxxy』とのコラボ商品など、ファッション周りの活動があります。

私は、本職がWEBの人間ですので、年明けくらいにWEB周りでひとつ、大きな仕掛けを見せられるよう、目下準備中です。もし、機会があればこういった教科書的なCDと共に、ヘッドフォンを投げ捨てたくなるようなトガったCDも作ってみたいですね。両方が混在して、「これがDENPA!!!の音だ!」と唾吐き散らしながら言えたら、とても理想です。

ガイド:
どうもありがとうございました!
最後にライヴ告知です。

「電刃見本市場-サヲリ、再来電-」
日程:3月6日(土)
会場:タワーレコード渋谷店 B1 STAGE-ONE
時間:OPEN/START 19:30
料金:無料(1d別途) 
出演:Saori@destiny/DENPA!!!メンバー
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。