2位で悔しい事態

先生:
amazon.co.jpにあるCDは、ジャケ写からリンクできます。(amazon.co.jpにない場合、海外のamazonや他の通販サイトへ)
Dream Fighter
Dream Fighter(初回限定盤)
言うまでもありませんが(でも言う)、Perfumeは、アルバム『GAME』、シングル『love the world』、DVD『Perfume First Tour 「GAME」』によって、三種のフォーマットでオリコン1位を達成しました。武道館ライヴを終えたばかりの三冠王Perfumeには、やはり今までになかった期待がかかります。今回のシングル『Dream Fighter』の週間2位という成績は、“最高を求める”Perfumeにはちょっとだけ残念な気もします。

助手:
しかし、贅沢な話ですよね。週間2位で残念な気がするっていうのも。2年前じゃ考えられないことですよ。いずれにせよ2008年はPerfumeの大躍進というのが、大きなトピックなのは間違いないですよね。ちなみにPerfumeを抑えて1位になったのは・・・?

先生:
1位になったUVERworldっていうバンドですが・・・Underworldだったら、まだ納得がいったんですけど。「Mステ」で共演しているのは、見ましたけど。

助手:
ははは、言うと思いました。僕もはじめてバンド名を見たときに「え?Underworldってマンマじゃん!」って思ったくらいですからね。UVERworldですね。うん。それにしても中田ヤスタカの多作ぶりはすごいですよね。ここにきて一気に畳み掛ける感じで。

リリースラッシュ

先生:
11月は、鈴木亜美のアルバム『Supreme Show』と母体capsuleの『MORE! MORE! MORE!』もリリースしているので、中田Pは大活躍ですね。『MARQUEE』『MUSIC MAGAZINE』『Sound & Recording』の表紙にまでなっていますね、中田P。オマケに『capsule Archive』なんていうcapsule本まで出るところまで時代は来ているんですね。次は、『J-POP批評』あたりが来そうですね。

助手:
その勢いで『SNOOZER』にも是非出てもらいたいですね。

先生:
ちなみに皆さんは、Perfume、capsule、鈴木亜美3枚とも全部購入しましたか?

博士:
亜美ちゃんのは最初買っていなかったんですが、DJプレイを見るために購入しました。

助手:
僕は全部買いました。HMVやタワーレコードに行っても、鈴木亜美はPerfume、capsuleの隣においてありますよね。もう小室ファミリーの印象は薄れていっているのかもしれませんね。そういえば観月ありさや安室ちゃんは、小室哲哉逮捕に関してノーコメントだとマスコミに軽く叩かれてましたけど、鈴木亜美の話題はあまり聞きませんでしたよね。逆に知念里奈が「これからも小室さんの曲を歌い続ける」とかコメントしてて、「え!?知念里奈って小室の曲あったっけ?」みたいな。って完全に話が逸れましたね、すみません。先生、戻してください。

これは応援歌なのか?

先生:
助手は『SNOOZER』と小室ネタ好きですよね。小室ネタなら、番長が得意です。TK AIDをやるとか言っていますから。音楽的な意味ではないですが。

さて、「Dream Fighter」ですが、僕はやはり歌詞が凄いなぁというのが正直な感想です。ここで、人生応援歌を作ってしまうのは、驚きです。人生応援歌と言えば、「世界で一つだけの花」「それが大事」「愛は勝つ」「負けないで」「ガッツだぜ!」とかのジャンルですよ。

だって、僕なんかもそうですが、中田Pはどう見たって、文科系、しかもダウナー系に属していそうじゃないですか? 凄く感動しても、感情を出さないタイプ。でも、理想というか世界観はきっちりある。それが、あそこまで、体育会系かつアッパー系の歌詞を書いてしまうとは! そこには、星飛雄馬(=Perfume)を鍛える星一徹(=中田P)のような図式さえ見えてきます。

でも、この手の歌って、下手すると、歌詞やサウンドから“あざとさ”が滲み出てきます。そんなに応援してくれなくっても、いいよみたいな。でも、「Dream Fighter」はその辺を見事にクリアしていますね。「最高を求めて~」と超ポジティヴなサビから始まる曲ですが、「なんだかんだ」とか「実際はたぶん」とかあいまいな表現のAメロで中和、Bメロでうまくサビへもう一度つなぐという・・・天性なのか完璧な計算なのか? 「ツンデレーション」でも同じような危ない橋を渡りましたが、チャレンジャー中田Pはベタなことを天才的に処理しますね。

博士:
応援ソング的な“くささ”は第一印象として禁じえない部分はありあした。 「White Love」で神がかりな完成度を見せたSPEEDが「ALL MY TRUE LOVE」「Precious Time」あたりで急に説教くさくなって来て、徐々に斜陽に向かって行きました。若者への応援歌というのは解るのですが、刹那的で退廃的な歌詞が逆に共感というパターンもあるのです。大人が作為的に歌詞の中で「頑張ろう!」と言った瞬間、くさくなってしまいます。

ところが「Dream Fighter」をよく聞くと、彼女達は「負けるな!」って言ってるんじゃないんですよね。普通はどちらかと言うと理想であり、その理想さえ満足できない、つまり最高を目指す! まさに戦士を宣言していますね。 これは今まであった歌詞のステレオタイプからは外れ、頭の固いおじさんでは何を言ってるのかもよくわからないかも知れません。とにかく彼女達の目指すものを表現しているのだと思いますね。

先生:
確かに、これは応援歌ではないかもしれませんね。応援歌は共感を求めていますが、「Dream Fighter」はあくまで我が道を行く求道者の歌ですね。ありふれた世界を変えるという理想さえ、読み取れます。

助手:
でも、あえて言わせてもらうと僕はこの曲の歌詞は好きではありません。例えば、今までどちらかというと歌詞には言及していなかった先生や博士が、まず歌詞の話を出してしまうように、この歌詞はPerfumeの、というか中田ヤスタカの中では「異例」な存在だといえます。

ボクの持論を結論から言うと、この曲は発注ありきで作られていて、それが悪いほうに転がったんだと考えています。例えば、Perfumeの名を広く世間に知らしめた「ポリリズム」も、後のインタビューなどを読むと発注ありきだったそうです。リサイクルのCMで使うということが最初から決まっていて、曲のタイトルも最初は「ポリリズム」ではなく「リサイクル」だったと。さすがに「リサイクル」はそのまんまじゃん!ってことになって「ポリリズム」になったそうなのですが、おそらくこの曲も「武道館のタイミングに合わせて、夢を実現する応援ソングを!」というお題が最初からあったんじゃないかなあ、と思うんです。もうこれただの妄想ですけどね。

で、たとえば「リサイクル」という行為であったり「バレンタイン」というシーズン性であったりをお題にすると、“ここまではやりすぎだな”というボーダーラインが引きやすいんですが、「応援する」という行為に対するお題の場合、そのボーダーラインの引き方が非常に難しい。結果として“世間一般で言う応援ってこんな感じかな?”という落としどころに落ち着いた印象が否めません。逆にカップリングの「願い」の歌詞のほうが、中田ヤスタカのいい部分が全面に出た「(結果的に)応援ソング」になっていると思うんです。むしろ「願い」をリードにしてもよかったんじゃないかなあ。

先生:
今回、歌詞についてはかなり意見が分かれましたね。基本的に毒のある歌詞が好きなんで、言わんとする事は分からないわけじゃないですが、僕のこれはギリギリOKです。

じゃ、今までのPerfume曲と比べて、楽曲に関しては新しい発見はありますか?

サウンド解析

博士:
「Baby cruising Love」以後、三連続でそうですが、第一印象はやや期待はずれって感じなんです。でも、私の場合添付のオケを聞いて再認識し、やがて“スルメ化”という傾向がここのところ続きますね。 前作の「love the world」に感じたような神がかり的な処理は感じず、サビに続きお決まりの間奏からA~Bメロの続く本来の中田P唄モノの定番を踏襲したオーソドックスな仕上りですね。

オケを聞くとドラムは割合ナチュラルな手弾き風、電子音エレワ風のギターも抑え目で終始ピアノのコードワークと、ブリブリベース以外は意外とエレクトロでもクラブサウンドでもなく普通の歌謡曲の範疇です。中田Pにしては珍しく4拍目から入るメロディアスなメロディーですね。

実はこのサビ、Airaの「ロボットハニー」のサビとマッシュでききそうなのですが、むしろ「ロボットハニー」の方が1拍からガツンと入って当初の中田Pの作風を踏襲していたりします。後半、「ポリリズム」でも見せた鍵盤追尾式のヴォーカルがオブリガートを奏でます。そのとき手振りで手をメガホンみたいにするのですが、あれはシンセ音じゃなく自分達の声だって主張しているみたいにも見えます。

やっと『Sound & Recording』誌に登場し、その製作ノウハウがおぼろげながら見えてきた中田Pですが、やはり以前指摘したように声処理は鍵盤追尾式でやってるみたいですね。しかし、最近モンキーマジック風の駆け上がりフレーズがブームなんでしょうか? また入ってますね。

先生:
余談ですが、コスメティックロボットというPerfumeを意識したアイドル3人組がいますが、彼女たちのデビュー・シングル曲「シリアルナンバー99」も、「モンキーマジック」していますね。しかし、1,999円というシングルの値段には未だに納得がいっていません。

助手:
サウンド面でもやっぱり「Dream Fighter」には、あまりグッと来ませんでした。もちろん武道館で聴いたときは、すごく大バコ向きの曲だなあという印象は受けましたし、俗に言うアイドルポップスやJ-POPという文脈の中ではズバ抜けて素晴らしい出来だとは思うのですが、やっぱり手放しで絶賛できない。よく“Perfumeは期待をいい意味で裏切ってくれる”みたいなことを言われていますが、この曲に関して言えば“期待されるPerfumeをそのまま体現した”というのがサウンド面からも感じられるんです。

変な話、ほんとうにPerfumeの次のステップを考えるなら、こういったキラキラテクノポップな印象を更新するような、それこそ「マカロニ」であったりカップリングの「願い」であったり、あるいは「GAME」や「edge」のような楽曲をシングルとしてリリースする時期に来ていると思うんです。これは愛ゆえの変態的な苦言だと思ってほしいのですが、ホント次のシングルが勝負ですよ。「Dream Fighter」のような楽曲が次も来ちゃうと、世間的には厳しい状況になりかねません。PerfumeにはSMAPのように末永くサヴァイヴしてほしいのです。

黒バックのPV

先生:
珍しく、あ~ちゃんが最初から絶賛しているというところが面白いですね。確かにあ~ちゃんが気に入りそうな曲だとは思いますが。助手、あ~ちゃんにケンカ売っているんですか?

PVは黒バックに光の泡が弾けるCGという比較的低予算っぽい製作ですが、綺麗にまとめていますね。振り付けはますます難易度があがっている気がします。踊らないので、分からないですけど。

博士:
足をパッと開くところが大好き!!

先生:
「ペッパー警部」思い出しました。

今回のからし色のコスは、普段着に着れそうですね。「love the world」のも着れないことはないですが、かなり目立ちますからね。でも、のっちのように一年中、半パンの娘も珍しいですけどね(笑)。半パン似合わないと、のっちは難しい。そういう意味では、かしゆかコスが一番、ど真ん中でしょう。

博士:
映像的には、同じ黒バックの「コンピューターシティ」的ですね。妙にストーリー性のある映像よりリズムに任せて踊り貫くこういった手法は、メッセージが直接伝わってきて的確な解釈だといえます。画像の収録方式がグレードアップしたのか、編集も合成レベルの加工で留め、画像自体CG等でいじりまわしていないせいなのか画像自体が一枚ベールを脱いだようにクリアです。ただちょっと寒々しい感じもしますね。

昔、テレビの時代劇がフィルム録画からビデオ録画に変わった時に感じたような軽い違和感です。映像の異空間と言うよりスタジオの空気感的なものが、良い意味でも悪い意味でも伝わってしまいます。 出来れば泡への合成もモルフィングを使う等、もうひと細工欲しかったかなぁ。ややフィルターの掛かった画像は世界観が強調されるんですよね。「love the world」のフラクタル的な手法もそうですが、最後の玉への写し込みに今ひとつアイデアが乏しい・・・まぁミッシェル・ゴンドリー等、世界的なレベルと比べての話ですが。

助手:
逆に、ボクはこのPVをものすごく高く評価しちゃいます。

先生:
今回は、かなり意見をぶつけて来ますね。

助手:
前回の対談で少し話したように「マカロニ」のPVのときにも思ったのですが、関さんって本当にプロだなあと感じました。このタイミングなら予算もそれなりにあるだろうし、表現者としてはいろんなチャレンジをしてみたくなると思うんです。それこそ博士が言うようにCGをフル活用して凝りまくったPVにすることも出来ただろうし、実際したくなるというのが作家の心理だと思うんですよ。

でも、じゃあたとえばCGを使いまくって凝りまくった映像の映画が、必ずしも面白いかといわれたら、そうでもないと思うんです。逆にそういった効果がノイズになって、作品自体の本質の面白さが伝わらないというケースがしばしば見受けられる。本質を伝えるための技術やアイデアは非常に重要ですが、技術やアイデアありきの作品というのは本末転倒。アーティストではなくプロの表現者として、このタイミングでPerfumeの魅力を伝える映像を考えた場合、このPVは最適だと思います。素晴らしいですよ。

「願い」は僕たちの願い

先生:
カップリングの「願い」・・・泣けます。「wonder2」や「マカロニ」といったシットリ系の曲はありますが、ダウンテンポなバラードは、Perfumeとしては初の試みですね。MEGには「NATALIE」や「CANDY」といった曲も作っていたから、中田Pとしては決してありえないパターンではないのですが・・・。最後のピアノは、内臓までぐっと来ますね。

博士:
最後は生ピアノですね! おそらくソフトシンセの音だとは思うのですが、三人が仲良く爪弾いているようにも感じ。スタンウェイのコンサートグランドと言うよりは、シンセで2番目にプリセットされてる様なベーゼンドルファー系の優しい音色。居間のアップライトピアノをオフで鳴らしてるみたいにも聞こえます。

リズムがR&Bですからね~。転調も要所に見られ、コード進行も頻繁でミニマムなだけのクラブDJでは絶対出来ない彼の真骨頂を見せてくれた楽曲です。やっぱり彼はDJと言うよりアレンジャー、MIDI系のミュージシャンですよね。

助手:
さっきも少し言いましたが「願い」は名曲ですよ! なんでこっちをリードにしないかなあ、マジで。これはもうPerfumeにおける「I WISH」(モーニング娘。)のような楽曲です。もしくは平成の「彼と彼女のソネット」(原田知世)です。いや、念のため言っときますけど、純粋な褒め言葉ですよ、これ!

アレンジも歌詞も最高ですよね。「I WISH」をはじめて聴いたときもそうでしたが、もう無条件で涙が出ましたもん。大袈裟だったり比喩的だったり、そういうことではなくジンワリと目に涙が。「一番大事な気持ちを後回しにしてきたね」とか「もう少しの勇気があれば叶うかもしれない」というフレーズとか、いまのPerfumeに歌わせるところが素晴らしいですよ。加護ちゃんに「人生って素晴らしい!」と歌わせるくらい。今年のベストソングはしょこたんの「綺麗ア・ラ・モード」か、この「願い」で決まりですね。

Perfumeのあなたの願いを叶えちゃるけん!

先生:
あ、、、僕、しょこたんはストライクゾーンから外れるんですよね。確か、TV番組でしょこたんは中田Pに曲作って欲しいとお願いしていましたね。

「願い」に合わせて、初回限定盤の応募券を送ると、抽選で1名で「Perfumeのあなたの願いを叶えちゃるけん!」の権利が獲得できますね。僕も早速送りました。やっぱり、小さな近所のハコに呼んで、ライヴをやってもらう事にしました。

助手:
ボクは引越しの手伝いをしてもらうことにしました。1年近く引越しを検討してるんですが、なかなか腰が重くて。でも、Perfumeが手伝ってくれるなら引越しに踏み込めるかなあ、と。Perfumeの3人に本棚とか運んでもらいたいですね。「それはもっと右だって!」とか、無礼に張り切った指示とか出して。

先生:
Perfumeにあの汚部屋を掃除させるんですか? ヤバい物いっぱい出てきそうなんで、止めておいた方がいいと思います。でも、当選したら、僕も引越し手伝いますけど。で、博士は?

博士:
結婚式に来て唄って・・・なんて話題性が有ってかなえてくれそうですよね!! 私はそれにしようかなぁ。

先生:
どさくさに紛れて、何言っているんですか?博士! でも、実現したら掟さん以来2度目ですよ。
新曲発表の週には、テレビ露出も増えましたね。やぱり、「MUSIC FAIR」でのSPEEDとPerfumeの共演について、「アイドルの法則」において、PerfumeとSPEEDとの関係を論じた博士に語って欲しいものです。

SPEEDとPerfume夢の共演

博士:
SPEEDとPerfumeが、一緒に写ってる光景はなんか不思議な感じ。 まるで私のアイコラみたく何かの冗談みたい。逆に気持ち悪い~あの世の光景みたい。

先生:
SPEEDのhiroなんかは、まだ24歳ですから、それほどPerfumeとは4歳そこそこしか変わらない同世代ですよね。まぁ、女の子の4、5年というのは大きいですけどね。

博士:
夢にまで見たのっちと多香子の新旧美少女対決!
あれだけかっこよく思ってたF14トムキャットの横にF22ラプターが並んだみたいな~わかる!

先生:
F14もF22も知らないですが、お気持ちはご察します。

博士:
当時、何かチャラい印象があったSPEEDですが、現代ダンスで注目されているPerfumeさえ、はるかに凌ぐキレで踊っていた事を再認識しましたね。しかもhiroもErikoもあの声量で歌い上げてるのですから、思い返せば、凄まじいパフォーマンスです。

久しぶりに「Go! Go! Heaven」のPVとか見返すと、千切れんばかりに体動かしてます。Perfumeがあこがれるはずです。キレののっちが、やや抑えて動いているみたいに見えましたから。新曲はやっぱり伊秩弘将なんですね~。久々に見ましたがきっちり伊秩節。こちらも新旧P対決ですね。

助手:
SPEEDって最初出てきたときに「Go! Go! Heaven どこまでもイコウ!」って歌ってて、しかもユニット名が“スピード”って、そのまんますぎる!って思いましたよね。SPEEDでHEAVENに行こう!ですからね。電気グルーヴの「ポポ」以上の意図を感じましたよ。でもたとえば「Body & Soul」におけるChicの「Le Freak」使いとか、個人的には楽曲面もすごく好きな曲が多かったです。まさに90年代のJ-POPって感じで。ただ、今回出た新曲はあまりにもあの当時の音で、なんとなく時代錯誤な印象を受けてしまったのですが。

6位まで上昇

先生:
SPEEDの新曲『あしたの空』は、TVドラマ「OLにっぽん」の主題歌ですね。現在、プロデューサーとしても一躍注目の中田Pですが、僕はTK、つんく♂などと比較されますが、所謂J-POPの職業プロデューサーの中と比べるととても異質なものを中田Pに感じますね。何て言ったらいいのかなぁ・・・違うカルチャーにいる人。

MORE! MORE! MORE!
MORE! MORE! MORE!(初回)限定盤
capsuleのアルバム『MORE! MORE! MORE!』もオリコン週間6位まで入るところまで来ましたね。この手のアルバムとしては大健闘でしょう。ヴィレッジ・ヴァンガードやタワレコは、かなりのPUSHぶり。

博士:
今までのアルバムは、「Sugarless GiRL」などの例外は除いて、さして印象的な曲が無かったのに、今回の成長は芳しすぎます。 今回、もはや歌モノ、インストをあえて構えて区別する必要が全く無いといってよいほどの一体感とグルーブ感がありますね。従来のエレクトロとかいうジャンルではもう無いです。

助手:
正直言って、冒頭で先生が言ったPerfume、capsule、鈴木亜美の3枚の中では群を抜いて今回はcapsuleのアルバムが素晴らしい仕上がりになっていますよね。さすが自分のユニットにはいい曲持ってきたな、っていう。いや、逆にいろんなアーティストに楽曲を提供する環境が出来たからこそ、capsuleとしての作品のあり方を考え直せたのかもしれませんね。中田ヤスタカの作家としての充実が、きれいにアルバムという作品に着地してますよね。ひょっとすると今回のアルバムは過去最高傑作なんじゃないかと思います。

先生:
ひょっとする必要もなく、ベストでしょう。PV製作もされと12インチも切られている「JUMPER」はヤバいですね。中田PのDJで、廻していた時から、この曲はなんなんだぁと思っていたので、今回のアルバムは期待していたんです。常にBETTER THAN BEFOREな出来です。

博士:
日本のエレクトロ~ハウス系は、どこか生真面目な印象があるのだが、capsuleだけはまるで海外アーティストのサウンド。この1曲なら、ダフトパンクを超えた感じがさえもする。

Technologic

先生:
ダフト・パンクを超えたというのは、言いすぎな感もありますが、ダフト・パンク・チルドレンと位置づけてもいい、ED BANGERとかのコンピに入っていても、全然違和感がないでしょう。ちょっと逸れますが、ダフト・パンクって、フィルターハウス全盛の『Discovery』が金字塔で、その後の『Human After All~原点回帰』はかなり苦労したと思うんですよね。でも、あのアルバムの「Technologic」なんかは、やっぱりちゃんと超えているんですよね。2005年の作品として、その後の流れを作っていると。「Technologic」と「JUMPER」と「ニーハイガール」のマッシュアップ、誰か作って欲しい。

助手:
確かにED BANGERやKISTUNEのコンピに入っていても違和感がなさそうな楽曲もありますが、やっぱり根底に流れるPOPさというか日本っぽさ、誤解を恐れず言うならJ-POP的な感覚はED BANGERやKISTUNEにはない個性ですよね。ゴリゴリに走りすぎず、POPに偏り過ぎないまさに絶妙のバランス感覚です。

博士:
しかし、最近「Technologic」がブームなんでしょうか? 「JUMPER」は、一足早かった「ニーハイガール」と微妙にかぶりますね。

PVは安っぽいCGにモルフィング、おシャレ系に良くありがちなチアガールの勢ぞろいと、「いかにも・・・」ってのをわざとやってるみたいな感じが逆にいいですね!! しかし、なぜ中田Pが千手観音なのか不可解です。映像に捻りがない分、中田Pが思いっきり捻られてます。ああゆう感覚も日本人離れしてるんですよね。 意味なんて特になくて「キュー!」としたサウンドだから、「キュー!」って感じの映像みたいな。

また、最近全世界的に来ている三連のべたノリリズムを取り入れてますね。 要するに阿波踊り系のリズムなんですが~最近のR&B系なんかでもまるっきり“阿波踊り”じゃん・・ってのがあったりして驚きます。 バリとかのケチャなんかのリズムがテクノに入ってるとエスニックって感じでかっこよかったりするけど、全世界的に見ると「阿波踊り」もエスニック的なかっこいいリズムに聞こえるのかもしれない。

助手:
それって岡林信康が「エンヤトット」のリズムを追求してたみたいな、そういうのじゃないですよね。あ、ちなみに岡林信康はボクの高校の先輩にあたるんです。まぁほんとに心からどうでもいい情報ですが。

先生:
「e.d.i.t.」や「the Time is Now」とかを聴いていると、中田ヤスタカ名義のサントラ『Liar Game』でやった事がちゃんと昇華されていると、感心します。

ダフト・パンクについても言えますが、手法としては、エレクトロ、しかも攻撃的なんですが、同時にノイズに終わらせずにポップ・ソングに出来るのは、中田Pの才能ですね。ラストの「Adventure」は、その典型と言えるでしょう。

助手:
たしかに、今回のアルバムはいろんな作品でやってきたことが見事にcapsuleのアルバムとして花開いてますよね。ゴリゴリ路線もメロディアスな路線も。ほんと、こんなにいい曲書けるならPerfumeにもちゃんと残しておいてください!てお願いしちゃいたいですよね。これこそが僕らの「願い」ですよ。Perfumeにもいい曲を残してください、っていうね。

16位は不本意

先生:
鈴木亜美ちゃんの話もしましょう。鈴木杏里ではないですよ、助手!

助手:
鈴木杏里。AV女優さんですね。大丈夫です、アヒル口愛好家のボクは鈴木亜美と間違えないです。

先生:
Supreme Show
Supreme Show(DVD付)
アルバム『Supreme Show』は、オリコン週間ランキング16位。そこらの女性ヴォーカルのアルバムなんかよりも、数段いいので、もうちょっと行ってもいいと・・・ 

助手:
同感です。それにしてもオリコン16位というのは、少し残念ですね。

博士:
中田Pにしては逆に珍しい、オーソドックスないわゆるクラブ系ナンバーが続きますね。本家カプセルでもまたPerfume、MEGでも、有り余る才能ゆえか実験的なサウンドに傾倒しがちな中田Pが、潔く クラブDJとしての実力を見せ付けたアルバムです。アイドルとしてではなく、中田Pのクラブユニットとして亜美ちゃんは十分存在価値がありますね。 ノリノリな点では中田P作品中最高じゃないですか!!

先生:
1曲目の「TEN」から「can't stop the DISCO」~「climb up to the top」~「SUPER MUSIC MAKER」へと流れる、エレクトロディスコ炸裂は気持ちいい! 「can't・・・」と「climb・・・」は完全に繋がれていますね。ただ残念なのは、シングル『can't stop the DISCO』とアルバム2曲目~4曲目が完全に被って、シングルの価値がZEROになってしまっている点です。

助手:
ボクも前半の流れが素晴らしいと思います。「SUPER MUSIC MAKER (SA'08S/A mix)」は、最初どうしてまたこの曲が収録されるんだろう?と疑問に思ったのですが、このMIXはメチャクチャいいですね。「SUPER MUSIC MAKER」自体すごくいい曲なのに、さらにこんなに抜けのいいエレクトロディスコにされるともう無条件で降伏ですよ。さっき博士も言ってましたが、DJとしての使い勝手なら鈴木亜美のアルバムが一番いいですね。まぁ、ボクDJは非常に特殊なんで、あんまり参考になりませんが。

メロディーメーカー

博士:
私は、「change my life」が注目ですね。この曲のアレンジはすごく良い。シンセを使っているので一見エレクトロっぽいのですが、すでにエレクトロの範疇じゃない。印象的でクールなブラスにまるでフュージョンの様なトリッキーなバスドラが重なり、シンセマレットが絡み付いてくる~どの音ひとつとっても隙のない完成された“アレンジ”なんです。とにかくコード構成音をアルペジオだのピコピコだの、何でもかんでも重ねていく巷のエレクトロ系DJとはステージが違いすぎます。

先生:
「LOVE MAIL」は松浦亜弥へのオマージュ(「ドッキドキ!LOVEメール」)というのは、悪い冗談だとして、カイリー・ミノーグっぽい(笑)。

助手:
「change my life」とはまた毛色の違った、80'sっぽいチャラさが魅力的な曲ですよね。イメージではこの曲から後半戦スタートといったところでしょうか。それにしても中田ヤスタカは引き出しが多い!

博士:
ただ次の「LOVE MAIL」が連続じゃないんですね。ここをシームレスにすればもっとかっこいいのですが・・・。前記で“オーソドックス”と言いましたが、正しくは決してそうではないんですね。“テクノ”というアイデンティティを主張するあまり、アナログ臭を誇示するだけで終わってしまいがちな最近のクラブDJ系サウンドが多い中、妙な回顧主義はクソ食らえとばかりしっかり前を見据えたサウンドなんです。ともすればDX-7が出始めてデジタル気分最高潮だった1980年代後半のハウスシーンを思い起こさせてくれるようなポジティブな方向性がありますね。とにかく彼はしっかり“アレンジ”しています。そこが巷のテクノ系とは全然違うところなんです。

先生:
Perfumeの「願い」、MEGの「NATALIE」に相当するのが、鈴木亜美の「flower」となりますかね。やっぱり、中田Pは稀代なるメロディーメイカー。

博士:
前記の「change my life」もそうですがメロディーがいいんですよね。なのにシングルカットが、いかにも中田節丸出しの「ONE」なのかなぁと思ってしまいます。

助手:
これ、そのまんまPerfumeの「Dream Fighter」にも言えますよね。「ONE」や「Dream Fighter」じゃなくて、「flower」や「願い」をリード曲に持ってきて欲しいですよね。このタイミングだからこそ、あえてそこはやって欲しい。これも僕らの「願い」ですね。

謎のDJプレイ

先生:
(助手、かなりしつこいな・・・と思いつつ)
初回限定盤を買うと、謎の鈴木亜美DJの様子も収録されたDVDも入っています。自分の曲のDJの部分しか収録されていなかったんで、DJの意味がイマイチ呑み込めていないのも、事実ですが。

博士:
実は、それが見たいためこの高価な初回限定盤を購入したんです。 しかし、ピンクの12インチはいったい何のためにあるのか。時折見せるスクラッチっぽい操作は何をしているのか? 肝心の曲のつながりの部分でボサーっと突っ立ってるのはなぜなのか・・・噂どおり“謎”が多いDJです。

なんか田中麗奈がやってるSOYJOYのCMみたいな舞台裏が浮かんじゃう。 豊川悦司みたいなマネージャーが「今度はDJの仕事ですよ」なんて持ってくる情景が見えそう~。

助手:
いや、このDJプレイの映像こそ最高に素晴らしいんですよ!ミキサー触っても音に何の変化もなかったり、無駄なスクラッチしたり。この間違ったアーティスト志向が逆にどこまでもアイドル的で、何よりも鈴木亜美的じゃないですか。誰もあみ~ゴにジェフ・ミルズみたいなDJプレイを期待してないでしょ?ギター持って歌ってるアイドルに、リッチー・ブラックモアみたいなプレイを誰も期待しないですよね。逆にそんなプレイされたら困るし。

先生:
これは、やはりリアルに鈴木亜美DJに三人で行って検証するしかないでしょう。しかし、今回の対談は延々と続いてしましたが、最後まで着いて行ってくれた読者がどこまでいるのか・・・ 読んでくれた人、ありがとうね!
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。