グラビア界の黒船

先生:
今日はグラビア界の黒船ことリア・ディゾン特集です。日本では2007年紅白にまで出場しました。彼女はラスヴェガス出身ですが、アメリカでは歌手と認識している人はほとんど居ないでしょう。

助手:
amazon.co.jpにあるCDは、ジャケ写からリンクできます。(amazon.co.jpにない場合、海外のamazonや他の通販サイトへ)
リア・ディゾン in USA GIRLS of 360
アメリカではゴーゴーバーでポールダンサーをしたり、ランジェリーモデルをしたりと、決して恵まれているとはいえない芸能活動をしていた彼女ですが、自分のウェブサイトの画像が話題となって日本でのデビューにつながったというのは、なんとも現代的なエピソードですよね。それにしてもグラビア界の黒船というのは、強烈なキャッチコピーです。“言葉の意味はよくわからんが、とにかくすごい自信だ!”的な。

ただ、これはもう単純な好みの問題なのですが、ボクはいまいちグラビアアイドルとしてのリア・ディゾンには興味がなかったんですよ。そういう意味では完全にノーマークだったんです。ところが、リア・ディゾン・ファンの先輩が家に遊びに来たときに無理やりDVD見せられたりCD聴かされたりしたんです。そしたら曲がすごく良くて。

モデルハウスの二つの流れ

先生:
残念な先輩ですね。
Wikipediaとかでも、分類はR&B系になっているんですが、宇多丸師匠が提唱するモデルハウス系の曲もあるところに今回は注目したいです。

助手:
きれいなお姉さんには、夜遊びのにおいがする音楽=ハウスミュージックをやってほしいというアレですね。ボクもその意見には大賛成ですね。ゆるいバラード歌うより断然いいです。あれなんでゆるいバラード歌うんでしょうね?どこにニーズがあるんだろう。ほんっとに謎。

先生:
モデルハウス系だと、他にもMEG、藤井リナ、稲森寿世なども居ますね。

助手:
こう言ってしまうと身も蓋もないですが、いま一番旬なところですよね。モデルハウスや乙女ハウスと言われてる人たちって、実は渋谷系からの流れとR&Bからの流れという2種類があるように思うんです。数年前だと前者はスウェーデンで録音したようなギターポップをやっていて、後者は本格派と呼ばれるR&Bの曲を歌っていたりしてたんだと思います。それが時代の流れのなかで乙女ハウスという場所で合流したんじゃないかと。そう考えるとMEGや稲森寿世は前者で、藤井リナやリア・ディゾンは後者になるんでしょうね。

先生:
助手!なかなかいい発見ですよ!それは。あと、あえて挙げれば、大和ハウスやセキスイハウスなどの正統派モデルハウスですね。

Softly
では、リア・ディゾンをリリース順に攻略して行きましょう。デビュー・シングルの『Softly』(2007年2月)は、ちょっと中途半端なバラードで、いまいちピンと来ません。

助手:
確かにそうですね。グラビアモデルが曲出すなら、こういう感じのR&Bテイストのバラードでしょ、的なわかりやすい展開ですよね。さっき言ってた「どこにニーズがあるのか謎」ってやつに近い。ボクもこのシングルでは完全にノーマークでした。いま改めて聴いてみると、カップリングの「EVERYTHING ANYTHING」という佳曲も入ってるんですけどね。こっちがリードで良かったんじゃないか?っていう。

失敗した・・・

先生:
恋しよう♪
僕の入り口は、『恋しよう♪』(2007年5月)ですかね。作曲者の平田祥一郎は、ジャニーズからハロプロまでやっている元コナミの人ですね。でも、納得いかないのが、『Softly』と同じオリコン7位なんですよね。『Softly』は超えてしかるべきでしょう。

助手:
ボクも『恋しよう』で、リア・ディゾンに注目した口です。やっぱ平田祥一郎さんの出す瞬間最大風速はすごいですよね。作風も幅広く多作なので、たまに「あれ!?」みたいな曲もありますけど、これすごくいい曲!と思ったら平田さんだということが多いです。平田さんの手がけたしょこたんの「みつばちのささやき」とか、メチャクチャいい曲! って、平田さんの話になっちゃいましたが、「恋しよう」で特にボクらの間で話題になったのは、この曲の中田ヤスタカリミックス。

先生:
これ失敗したんです。このリミックス、元々配信限定でしたが、アルバム『Destiny Line』の通常盤にしか入っていないんですよね。DVD付の初回限定盤買って、悔しい思いをしました。この手の差別化って、不親切です。ちなみに、このリミックスは、m-flo & Minmiの「Lotta Love」と並んで、中田DJのセットリストにも良く使われますね。

助手:
ウチのイベントのオーガナイザーもその2曲はよく使ってます。あまりに使うもんだから、またかよ・・・と思うんですが、やっぱし流れると無条件で踊れるんですよね。まさに、すべらない曲です。

先生:
ところで、capsuleの新曲「MORE MORE MORE」が投入されている「エッセンシャル」の宣伝から、リア・ディゾンが抜けてしまった事をどう考えますか?

助手:
わ!なんですか?その唐突な質問は!えーっと、今はしょこたんとスザンヌとしずちゃんでしたっけ?っていうか、やっぱエッセンシャルのCMといえば、川の真ん中で「ダメージをなくそー!」って裸足で叫ぶ永作博美ですよ。あれが最高峰です。あのCMを見て何度悶絶したことか。とまぁボクの好みはそっち系(どっち?)なので、やっぱりグラビアアイドルとしてのリア・ディゾンにはそこまで興味がないんですよね。曲は好きですけど。

ヒヨコ系

先生:
L・O・V・E U
鈴木亜美に永作博美、そして森下くるみ。だんだん助手の好みがわかってきました。これらは、ヒヨコ系と呼ばれる女子群です。また、おこってアヒル口をすると死ぬーみたいな。

そう思うとリア・ディゾンは確かに違いますね。さて、「L・O・V・E U」も同じく平田作曲ですが、こちらはR&BっぽいJ-POP。PVは解答用紙捨てたりして、面白いのですけどね。

助手:
ボクはこの「L・O・V・E U」もすごく好きなんですよね。平田さん特有のPOPで弾けるようなビートが印象的ですよね。先生がいま言ったとおり、これはすごくJ-POPなんです。これぞまさにJ-POPという音。それはアレンジにしても歌い方にしてもそう。で、アイドルやモデルが歌うときは、本格的なR&Bではなく、こういった日本人ならではの解釈をはさんだR&Bにするというのはすごく正しいと思います。それは本格派に劣る存在だという意味ではなく、もうひとつの別の価値観として。たとえばリア・ディゾンはAlicia Keysみたいな曲は歌えないけど、逆にAlicia Keysがこの曲を歌ってもこういう雰囲気は出ないはずです。

運命線

先生:
Destiny Line(通常盤、お勧め)
で、アルバム『Destiny Line』(2007年9月)となるわけですが、オリコン9位というのはモデル系は売れないとい定説を考えれば、健闘していると言えるでしょう。やはりアルバム曲として目から鱗だったのは、カルチャー・クラブの「Time (Clock Of The Heart)」ですね。僕はこれを聴いて、リア・ディゾンはR&Bではなく、UKっぽい80年代サウンドへの相性の良さを感じました。かなりオリジナルに忠実にアレンジですが、リア・ディゾンの声質にもあっているし、ちょっとホワイトレゲエっぽいエレポップが彼女を生かしています。他、「Wonderlin'」もそっち系です。

助手:
これ、すごく不思議なんですが、アメリカ人のリア・ディゾンが、カルチャー・クラブの曲を英語で歌ってるのに、どう聴いても日本の曲に聴こえるんですよね。英語圏の人が英語で歌ってるんだから、向こうの曲だと思いそうなのに。ちなみに編曲は、元電気グルーヴのCMJK。このアルバムでは他にも「Missing」も手がけています。こちらはクレジットを見ないとCMJKだとは気づかないバラード調の曲です。それにしてもこのアルバムは良いですよね。

先生の言うとおりUKっぽい80年代サウンドがやはり光っているのですが、「IMPOSSIBLE」「アイシテル~Love Story」「Drive me crazy」というファンキーでダンサブルな曲も、「Everything Anything」「運命線」というメロディアスな曲も、どの曲もすべて高水準です。ちゃんと作ってる感じがビンビン伝わってきます。

ちょっと残念

先生:
Love Paradox
しばらくお休みして出したシングルが、R&B色がさらに強くなった『Love Paradox』(2008年3月)。個人的にはちょっと残念。

助手:
例の紅白騒動の後ですね。前回のアルバムの内容からこっちの方向も理解できるのですが、個人的には、どちらかというともう少しポップな感じというか、そっちを期待していただけに「ん?」といった印象はありましたね。曲自体はしっかりしていて悪くないんですけどねえ。

ha-jさん

先生:
Vanilla
『Vanilla』(2008年6月)はちょっと黒くてファンキーです。でも、ファンキーならもっとディスコっぽく引っ張ったらよかった思います。カップリングの「LOVE SWEET CANDY」の方が好きです。

助手:
「LOVE SWEET CANDY」は、さっき先生が言っていたホワイトレゲエのテイストもありますね。ボクはリード曲の『Vanilla』もすごく好きです。いいですよ、この曲。こういうギターのカッティングにすこぶる弱いです。サビへの展開もいわゆる良質のJ-POP!って感じで好きです。編曲のha-jさんというのはジャニーズ系の楽曲を多く手がけているようですね。あとはこの連載でも紹介した推定少女の「Chewing Girl」もha-jさんの編曲です。

キラーチューン

先生:
Communication!!!
ちょっと複雑な気分だったのですが、アルバム『Communication !!!』(2008年8月)を僕は買う気になったのは、オープニングの「Step Into My World」です。ガーリーハウス路線がやっぱり合っている事の再確認が出来た気がします。リミックスでさらにハウス度を上げてもいいでしょう。

助手:
「Step Into My World」は良曲の多いリア・ディゾンの中でも一番の出来じゃないでしょうか?もうキラーチューンといってもいいでしょう。DJするときにも重宝しそうです。で、この曲もさっきの「Vanilla」と同じha-jさんです。この曲を聴けば推定少女の「Chewing Girl」を手がけたというのも、すんなり納得できるんじゃないでしょうか? 気になる編曲家のひとりですね。

当然のごとく1stアルバムに続き、2ndアルバムもかなり高水準なんですが、前作にはなかったロックテイストの曲もあります。これは個人的にはいただけないですね。照準がブレてしまいます。冒頭でモデルハウス、乙女ハウスには渋谷系からの流れとR&B系からの流れがあると言いましたが、やはりリア・ディゾンは後者として、R&Bテイストもあるハウスチューンに絞ってほしいです。

先生:
R&B系J-POPでは、「Not Too Bad」が光っていますね。でも、登場週が16位というのはちょっと惜しい感がありますね。

助手:
アルバムとしての完成度うんぬん以前に、リア・ディゾンのタレントとしての人気に左右されている感じはありますが、やっぱりさびしい感じですよね。次はJazztronikあたりとガッツリ組んでアルバムを作ってみたりしたらすごく面白そうです。
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