Perfume対談、復活です。今回は、Perfumeの『GAME』について博士、助手を迎えてトライアングル対談。
amazon.co.jpにあるCDは、ジャケ写からリンクできます。(amazon.co.jpにない場合、海外のamazonや他の通販サイトへ)
GAME【通常盤】
GAME【初回限定盤】
01. ポリリズム
02. plastic smile
03. GAME
04. Baby cruising Love
05. チョコレイト・ディスコ
06. マカロニ
07. セラミックガール
08. Take me Take me
09. シークレットシークレット
10. Butterfly
11. Twinkle Snow Powdery Snow
12. Puppy love


祝!オリコン1位

先生:
Perfumeの初のオリジナルアルバム『GAME』が遂に発売されましたが、フラゲの4月15日はディリーで1位、一時HYに迫られながらも振り切って、ウィークリーも1位とPerfume黄金期を感じさせます。

博士:
『ポリリズム』発売時、「今がピークなのか?」と思わせましたがそうでは無かったわけです。どんどん来ますよ!! あえて第一次黄金期と言っておきましょう。

助手:
デイリー1位の日は、恒例の祝勝会をいつもの居酒屋でしました。涙が出ましたよ。いい音楽がちゃんと売れた!日本って案外いい国なのかも(?)と思いました。

先生:
お母さん、赤飯炊いてくれたらしいですね。
今回、『GAME』発売まで情報を結構前から細切れに流していったのは巧妙です。「ナタリー」という音楽ニュースサイトがありますが、何故かPerfumeに異常なまでのこだわりを感じます。登録アーティストだけで送ってくれるメルマガも便利です。

助手:
ナタリーの情報の速さは異常ですよね。木村カエラが自身のラジオの生放送に間に合わなくて、ゲストだったPerfumeが代打でパーソナリティーを務めたときなんて、リアルタイムで情報が更新されてましたからね。おかげでボクもラジオを聴くことが出来ました。Mステでt.A.T.uの穴を埋めたミッシェル・ガン・エレファント級の男気でした。ミッシェルの遺伝子を受け継ぐアイドルですよ。

男は2枚買い!

先生:
t.A.T.u.・・・(苦笑)。限定盤と通常盤が出ましたが、博士と助手はどうしましたか?

博士:
一応礼儀上限定版は押さえましたが、私的には通常版のジャケがいいですね。当然、通常版もGETしました。三人おもむろに立ちすくむシンメトリックな構図はそれだけでアートです。是非ポスターが欲しいですね。

助手:
ボクもアートワークは通常版が好きなのですが、DVD特典が欲しいので限定版も買いました。まんまと売り手の狙いに乗っかったカタチです。いいんです!少なくともボクの買った2枚がデイリー1位につながってるんですから。

先生:
もはやPerfumeのジャケ・アートというのは、アイドルのクオリティーではないですね。

博士:
一見ゴスロリ風とはいってもありきたりじゃない。優雅なロココやビクトリア朝とは違ってなんだか大航海時代を思わせるちょっとダーティーなイメージ。女王のようなあ~ちゃん。のっちの王子指数は益々アップ。良く見ると片方の袖が無くなってて超ワイルドですよ!! 特にかしゆかの見下ろす様な不適な表情がなんかぐっと来ますね。拳法の達人みたいです。

先生:
かしゆかは微妙に暗黒度が増してきてイイですね。かしゆかのパッツンも大正解! 最近では中島美嘉がやっていますが、眉が隠れるくらいの長い目のパッツンは、ロックです。

じゃ、サウンドの話へ移りましょう。ずばり、インパクトが強いアルバムです。奇をてらったものではなく、力量を見せつています。

capsuleっぽい?

博士:
全般的なサウンド傾向ですが、アイドルへの意識を払拭し、迎合していません。結果、capsule色が強くなる傾向を感じました。今までの作品は微妙な融合感がいい味出していました。しかし、ここではPerfume自体がもう十分成長してきたので、capsuleっぽいなんて言わせないだけの強さが出てきました。

先生:
やはり「ポリリズム」の成功でPerfumeに対する実験はやりやすくなったのでしょうね。

博士:
むしろ、逆に“Perfumeっぽい”とcapsuleが言われ始めるかもしれません。

助手:
このアルバムを指して“capsuleっぽい”という論調が多いようですが、ボクはそれが不思議でしょうがないす。capsuleがレトロフューチャーっぽいことをやっていた時期はPerfumeもそんな曲調だったし、capsuleがフロア対応しだしたらPerfumeもそうなっていったし。そういう意味で言えば、いつだってPerfumeはcapsuleっぽいし、逆に言えばcapsuleはPerfumeっぽい。中田ヤスタカのその時の気分がどちらにもちゃんと反映されてる。これはなにもこのアルバムから始まったことではないと思うんですよね。「はじめからそうじゃん!」っていう。

先生:
確かにcapsuleとPerfumeは、微妙なタイムラグで同期しています。思うに、中田ヤスタカという人は世間にただ迎合するのではない自分の“流行”を持っていて、それを上手く消化していくのが天才的なんだと。

ポリリズム

先生:じゃ、曲順にGAME批評をしていきましょう。
1曲目の「ポリリズム」は順当なところでしょう。欲を言えば、「ポリリズム」はアルバムMIX収録を個人的には期待していたんです。あれはアレンジでかなり変わる曲だと思いますから。大晦日のZEPP TOKYOで確かやっていたよりエレクトロなヤツなんかをやって欲しかったです。

助手:
これを1曲目にもってきたのは正解ですね。シングルが出たときのインパクトがすごかったのですが、こうしてアルバムに収録されて全体を通して聴いても、この曲の強さは変わらないです。最初にパンッ!と弾ける感じが気持ちいい。これからはじまるぞ!っていう期待が膨らみます。

plastic smile

博士:
「plastic smile」・・・かつてブライアン・メイがギターだけで壮大なクイーン・サウンドを構築し驚かせましたが、もしかしたら、ファインチューン・ボイスをここまで駆使した作品も無かったのではと思える懲り方。少なくとも3声以上、しかもボコーダーまでかぶる処理は、まさにボーカルで作り上げたオーケストラですね。

この一曲でアルバムの方向性をはっきりと感じさせる爽快感のあるサウンドです。今までの中田サウンドにはちょっと無かったポップな傾向ですね。良い意味で雑味、臭みが抜けたマスで通用する仕上がり。スーッと入ってくるサウンドです。今後CM等、一般メディアへの照準を予感させます。

先生:
感嘆語から始まる歌詞で、出だしからツカミが効いているところなんて、技ありですね。

GAME

博士:
「GAME」・・・来ましたね!! 中田サウンド独特のブリブリベース炸裂。エレクトロ仕様capsuleっぽさが印象付けられる一曲です。
「リニアモーターガール」同様、さして意味の無い歌詞ですが、キメと歌詞が巧くまとまっててかっこいい仕上がりです。

先生:
これはぜひライヴで見るのが楽しみな楽曲ですね。欲を言えば、バックを中田ヤスタカで。アイドル楽曲としてはあり得ないレベルのあ~ちゃん的に言えば、バキバキ度。

助手:
この曲以外にも「Take me Take me」や「Butterfly」なんかはライヴでどう表現されるのか(?)が今回のツアーの見所のひとつでしょう。妥当に行けば前回のライヴで披露された「Perumeの掟」のようなスタイルになるだろうし、いい意味で期待を裏切るようなパフォーマンスに期待したいですね

Baby cruising Love~チョコレイト・ディスコ~マカロニ

博士:
「Baby cruising Love」は、先日イベントでダンスを練習したせいか、冒頭で手が動いてしまいますね! ちなみに私の活動を他人事の様に言っていていいのですか? 先生、次はあなたが主役ですよ!!

先生:
へっ、何のことですか(とぼける)?

助手:
「GAME」のゴリゴリの音から「Baby cruising Love」にスーーっと抜けていく感じがたまらなくいいですよね。このアルバムの聴きどころのひとつだと思ってます。1曲だけで聴いていた時には気がつかなかった良さが、アルバムの流れを通して伝わってくるっていうのは、ホント理想的なアルバムのカタチですよ。

逆に次の「チョコレイト・ディスコ」は、アルバムを通して聴くとやっぱり浮いてしまっている印象は否めないです。といっても、「チョコレイト・ディスコ」という曲自体の魅力は、その圧倒的なインパクトと異物感なので仕方がないといえば仕方がないのでしょうが。ただ、ここに「チョコレイト・ディスコ」が入っているおかげで、次の「マカロニ」が新鮮に聴こえてくるという効果もありますね。

セラミックガール

博士:
「セラミックガール」・・・自慢じゃ有りませんが音感はかなり鋭い私です。流石に自然音が楽譜に聞こえるとまでは行きませんが、一度印象に残った曲、特にビジュアルとセットになった場合なかなか忘れられません。「くっそー!!ステンレスガールめ!!あのメロディーがこびりついてセラミックガールがなかなか頭に入ってこない」とばかりは言ってられません。

サビが「VAIO」のCMで先行配信されていましたが、Aメロの露出で再度驚愕された方も多いようですね。これはかなりきわどいです。中間部分が「チャイナ・ディスコティカ」してます。

先生:
「ポリリズム」もそうですが、中田サウンドというのはCMの部分だけでは全体像を予測することが出来ません。余談ですが、この曲はBSフジで放映中の『スミレ16歳!』のエンディングテーマでもあるんですが、あんな不条理な学園ドラマも珍しい。

助手:
近未来3部作から「パーフェクトスター・パーフェクトスタイル」「ポリリズム」あたりまでのPerfumeのイメージを具現化したような曲ですね。「コンピューターシティ」の続編のような歌詞の内容も然り。ここでアルバムの前半部分が終わって、次の曲から後半部分がはじまります。そういう流れを考えても、この曲がこの位置にある必然を感じますね。

Take me Take me

博士:
「Take me Take me」は、ほとんどインストナンバーと言ってもいい仕上がりですね。声もエフェクトが抑え目です。少ない要素でテクノ感を出すのが巧いですね。ヴィンテージっぽいエレピ音は終始いい感じでグルーブしていて、あと生ギター音の処理も以前解説した中田アレンジのセオリーどおり。電子音はわずかにカウンターで入ってるピコピコ音程度。ベースもかなり生っぽく動きます。珍しく変化を見せる旋律で、これで小じゃれたソロでも入れればにフュージョンのインストナンバーとしてまとまってしまいそうですが、あえてそうしていない所が中田節ですね。オシャレとテクノがせめぎあっている地味ですがテクニカルな秀作ですよ。

助手:
アイドルポップスとしては普通ありえないような曲調なのですが、驚くほどアイドルなポップスに聴こえてくるという、なんとも不思議な曲です。ライヴで「Perfumeの掟」を見たときにも思ったのですが、非アイドル的なことをやればやるほど、逆説的にすごくアイドル的に感じてしまうというのがPerfumeの面白いところです。やっぱりPerfumeはアイドルなんですよ、誰がなんと言おうと。

先生:
ミニマリズムの「Take me Take me」は鳥肌で、その後「シークレットシークレット」に続く流れもいい。アルバムの後半に盛り上げれるのはいいアルバムの証拠なんだと。

シークレットシークレット

博士:
「シークレットシークレット」はズバリcapsuleの「Spider」の流れですね。調性が曖昧なサブドミナント・メジャーセブンスから始まる循環系のマイナー的なアプローチです。メロディーはかなりマイナーでシリアスな感じなのですがちゃんとアイス菓子のかわいいイメージとも被る。これは調性が曖昧な循環系コード進行の妙ですね。イントロのシンセがいかにもレトロフューチャーな、往年の進歩的な作家が良く使った手法です。

先生:
今までありそうでなかった革新的なポップソングになっていますね。楽曲も素晴らしいですが、PVが死にそうにいい。これはPV史に残る奇跡的に素晴らしい作品です。ミッドセンチュリーな曲線のセットでの近未来感といい、ダフト・パンクのようなお姉さんといい、「エレクトロワールド」の衣装と振りつけの組み込まれ方といい、パッツンなかしゆかといい、PVで感動するのは久しぶりです。映像ディレクションをやっている人は、安室奈美恵の「60s 70s 80s」のPVも手がけていますが、近未来の世界観がその場限りのセットではなく、愛情を持ったこだわりさえ感じます。

博士:
無音でPVをチェックしていると、冒頭のじたばたダンスが盆踊りみたいでちょっと面白いですね。

先生:
森永Pinoとのタイアップ曲でもありますが、これが巧妙な具合に刷り込まれています。「Pino」が生まれたのは1976年なんですね。ブランドの入れ替わりが激しい食品業界では、超健闘していると言っていいでしょう。

Butterfly

博士:
「Butterfly」は意外とぐっと来ますよ。YMOの『BGM』で言う所の「Mass」みたいな後半の珠玉の一曲。

先生:
イントロがゴダイゴの「モンキー・マジック」に聴こえてしょうがありません。

博士:
でも、メロディーは久石譲みたい。シーケンスパターンまで、ちょと「風の谷のナウシカ」のフレーズっぽくてそのままオーケストラアレンジしたらそっくりにパロディーできそうです。 ガーシュイン・キングスレーの「ポップコーン」みたいな立つ音色といい、何かシンセの原点を思わせる素直な音使いですね。

助手:
ボクも最初に聴いたときにナウシカがメーヴェで飛んでるシーンが思い浮かんだんです。「これ久石譲じゃん!」って。中田ヤスタカの曲ってどこかしらアニメっぽかったりゲームっぽかったりしますよね。「シークレットシークレット」の冒頭の「ランランラン」とかもそうですし。どうしてもDJ KAWASAKIやMAKAIみたいなモテ系になりきれないヲタ感というか、いい意味での童貞臭というか、それがいいフレイヴァーになってる。

先生:
中田ヤスタカのソロ『Liar Game』が乙女的になったような感じでもあります。

Twinkle Snow Powdery Snow

博士:
「Twinkle Snow Powdery Snow」は、改めて聞くと名曲ですね。ファインチューンは強制的に音程をジャストに修正するソフトですが、その性質上、もともと抑揚をつけて歌う人の方が、修正率が上がりフォルマントも変って声質変化が顕著になります。特にあ~ちゃんの場合、コブシが半音音程に強制的に置き換えられていたりして変化が顕著ですね。逆にのっちはもともとがフラットな声質なせいか、ちょっとイコライジングしてる位にしか聞こえないときもあります。この曲の場合、特に上の音程でハモってくるあ~ちゃんの声が絶妙。神のハーモニーですよ!!

Puppy love

先生:
「Puppy love」というタイトルで子犬の歌だと勝手に思っていたんですが、これがツンデレ少女の歌だというのはやられました! 歌詞に出てくる「ツンデレーション」、そこの部分だけとるとちょっと下世話な感じがするんですが、「一方的な表現の・・・」が頭になっていることで、不思議な世界観のリリックになっています。サウンドの方も聴き込むほどに味わいのある万華鏡のようなポップソング。正に中田ヤスタカは現代のポップマエストロ。

博士:
ちょっとフレンチな感じが香る軽快なナンバーですね。 一見クセのある中田風ロックアレンジかと思いきや、結構オシャレな旋律。 タイトなフィルインで決めれば、フレンチポップ的にも仕上がる曲ですが、あえて独特の中田節とギリギリの所でせめぎあっている点が注目ですね。この傾向は「Take Me Take Me」にも感じます。

助手:
どこかしらアジカンやチャットモンチーなんかを思わせるギターポップな仕上がりですよね。博士の言うとおりギリギリのせめぎあいを感じます。Perfumeがブレイクして、自分の周りにもいろんな人が曲を聴くようになったんですが、「どれも一緒に聴こえる」という声をよく耳にするんです。それだけ中田サウンドが特徴的で個性があるということの裏返しなのだと思うのですが。そんな中で「Puppy love」や「マカロニ」のような曲を出していくのは正解だと思うんです。あくまで軸足を中田サウンドに置きながら、幅を広げていく。中田サウンドに近づこうとするフォロアーとはまったく別のベクトルですよね。素晴らしいです。

先生:
ちなみにpuppy loveという久保亜沙香と森下純菜による「史上最強の凶悪に可愛いふたり」と名乗るアイドル・ユニットがあるらしいです。

助手:
ほんとだ。。。うわ、森下さんボクと同い年ですよ。

先生:
でも、助手が好きなのは別の森下さん・・・森下くるみさんです、みなさん。

総評

博士:
今回のアルバムをシングルと歌曲の間を適当なループ系のテクノで埋め合わせたと言ったヤツは、バカヤロウです。すいません、私の第一印象でした。反省しています。ともすれば、間奏曲的な扱いになるだろう「GAME」「Take me Take me」「Butterfly」等の楽曲の完成度が意外と高い。インストが主体のcapsuleでのエレクトロ系ループ楽曲としてのアプローチではなく、あくまでボーカルも含めた上での“楽曲”として作りこまれた完成度を感じます。しかも歌モノは最高の出来栄え。密度が高いと言う感じです。

先生:
前回のアルバム『Perfume~Complete Best~』が初回発売盤で1万枚くらいしか売れていなかったことを考えると、『GAME』の1位というのは正に隔世の感があります。「Perfume対談~ビジネスモデル研究」では、「媚びるのではなく、驚かせる。いい意味で裏切る。それが革新です。」と提言しましたが、理想的な裏切り、つまり革新をしてくれました。畏るべしPerfumeです。
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